始まり
「え? 今なんて?」
「…あ、ごめん。ちょっとビックリして。まさか、そんな風に思ってもらえてるとは思わなかったから」
「ああ、誤解しないで。実は、ずっと好きだったんだ。でも、言わないでいた方が君が幸せになれると思ったから…。
うん。ずっと君が好きでした」
「え? いつから好きだったかって…?
(苦笑)良かった。気付いてないって事は、君の友人役ちゃんと出来てたんだ。
そうだな、いつからか自覚したのは、移動教室の時かな。
覚えてる? 宿舎の屋上で花火見たの」
「(笑)そう。それ。
あの時、花火そっちのけで星空見てたじゃん?その時の無邪気な顔が可愛くてさ…」
「(笑)君も覚えてるんだ。あの時の事。
あの時さ、体が勝手に動いた。星座講座なんてこじつけ。ただ物理的に君に近付きたくて、肩を抱いたんだ。
ああ、愛おしいな。できたらこのまま、自分の物にしたいなって」
「何? そんな驚いて。(笑)信じられない?だよね。頑張って気付かれないようにしてたから。
それに、今日、卒業式終わったら誰にも会わないで、この先いようと思ったから(苦笑)」
「うん。勿論友達としても会わないつもりだったよ。卒業してからまで、気持ち隠す自信なかったし。かと言って、君に気持ちぶつけることしたくなかったし?
君には幸せになって欲しかったからさ(苦笑)。
多分、この好きはただの好きじゃないから。
ずっと側にいて、手離したくなくて、一生一緒にいたいと思ってるから。
こんな重い気持ち、未来ある君に言うなんて出来ないからね。全部隠して目の前から消えるつもりでいたんだ」
「そうだよ。ずっとこう思ってた。
(笑)友人役の演技、上手かったでしょ?演劇部舐めんなよ(笑)
…で、君はいつから好きだったの?」
「……は? 嘘だろ。マジか。同じ時に好きになってたのかー(苦笑)。なんだ、両想いだったんじゃん(溜息)」
「ホーント、3年間無駄にした気分だな(笑)。
付き合ってたら、生活変わってたかも(笑)」
「……そうだな。過去は笑い話にでもするか。
(間。少し真剣めに)好きになってくれてありがとう。
……とりあえず、さ。今夜できたら星を見に行かないか? あの時からやり直そう。
見える星は違うけど、当初の気持ち思い出せるだろうから。
見ながら、昔話でもしよう」
抱きしめて、キスをする。
「こうして抱きしめられるなんて、思ってなかった。これからはずっと一緒にいような」
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(C),2019 sakura.




