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醜い嫉妬は偽物です  作者: 宇和マチカ


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8/15

白昼夢を疑って

お読み頂き有難う御座います。


 眼の前の光景は……何?

 確かに……殿下は偶には嫉妬してくれないかなー。クールさも素敵だけど……なんて思いもしたけれど。でも、冷静沈着な殿下がデフォルトでええと……本当に、これは本物の光景?


「ちょ、フォーセット! 兎に角、今はお嬢様も動揺してるから」

「嫌だ嫌だ嫌だああっ! シャルロットに捨てられたら僕は死ぬううう!」


 ……な、なにこれ……。

 何故、私は……フォーセット殿下に縋りつかれて号泣されているの……。引っ張られる腕やら服やらの感覚が滅茶苦茶リアルだわ。

 え。夢? 都合のいいように見せられた、夢……?


「おお、神よ……。わたくし、今即座に死んでも良くてよ……」

「うわああ! 死なないでくれえええ! 僕が不注意だったあああ!」

「落ち着きなさいませ!」

「はわわあ……」


 もうね……。

 夢とはいえ、こんな大騒ぎ経験したことが……有るような無いような。


「国でも有数の高貴な殿下と侯爵令嬢でしょう! お気を確かに!」

「知ったことかあああ! シャルロット、この愚かな僕を思う存分罵ってくれ! あんな痴女を寄せ付けた下々の下賤とか! 下劣な外道とか! 僕の処理を命じてくれ!」

「いや殿下……罵り文句が何時も通り過ぎる。フォーセット!」

「いやだわ、殿下がそんなことを仰る都合のいい空耳が……」

「ほらお嬢様が現実逃避してる! だから、素を見せろとあれ程!」


 ああ、こういう時に失神したいわ……。最近めっきり丈夫な己が憎い……。

 いえ、夢だったかしら。きっとそうよね……。


「はわわ……。か、隔離しましょう……。兎に角、お二方を落ち着かせることが肝要です!」

「ナイスアイデアです、メロ様。殿下は任せましたよジェイル」

「ええー!? 何で殿下に誰も付いてきて無いんだよ!? 役立たずの護衛騎士どもとメイカはどうしたよ!?」


 あ、メイカは殿下の侍女でジェイルの妹よ。あの子、おとなしいけどズケズケしてるのよねえ。何時も付き添ってるけど、何処行ったのかしら。

 ……リアルねえ。


「シャルロット、君の赦しと哀れを乞う為なら何でもするからなあああ!!」

「煩えええ!」


 ……大きい声の白昼夢だったわ。

 あら、カーテンが揺れてる……。海風が吹き始めたのね……。


「お嬢様、いい加減現実逃避はお止めください」

「はっ、お手紙が届いたんだったわね……。後、プヨンプヨンした袋!」

「そ、其処から逃避してらしたんですね……」

「恐らく、脳が処理を拒否したのでしょう。先程のお姿は近来稀な迄に見苦しかったですからね」

「殿下は見苦しくなんて無いわ! 

 ……あら?」


 ……え。

 この、ナキアとメロ嬢の気の毒そうな顔……。


「今、殿下は……本当に、いらしたの?」

「ええ、いらっしゃいました」

「……私、普段着だったわよ」


 しかも、今日は屋敷から出るつもり無かったから、ちょっと古い楽々なドレス……。


「何時も、す、素敵な普段着ですよ?」

「いやああ……!!」

「ああ、本当に似通った婚約者同士ですね……」


 何処が似通ってるのよ!?

 で、でも……あの狼狽えていた方が本当に、殿下なの……?

 そっくりさんを派遣されたのでは……。いや、何の為に……。



フォーセット殿下、実はこんな感じの人です。シャルロットもですが、滅茶苦茶猫を被ってました。

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