また会いましょう、私のお友達!
お読み頂き有難う御座います。
他の作品への誤字報告、誠に有難う御座います!
「うっ、う……」
「ふええええ……」
とうとうこの日が来てしまったわ。
交易都市トリアイを離れる日が……。
毎日、フォーセット様とデートしたり、メロ嬢とお茶会をしたり……。
本当に、物語か夢のように楽しかったのよ。
このまま、ずっとこのままで……時が止まって風化するかして、人生を終えたいくらいに。
「お嬢様も殿下も、滅茶苦茶荷物増えましたね……。何でこんなに買うんですか……。関所が滅茶苦茶困ってましたよ」
「お兄ったら、無粋……」
……まあ、馬車5つはちょっと買いすぎだったかもしれないけど……。喜びでタガが外れちゃって。
「来た時は旅行鞄1つだったのだから、構わんだろう。
それに、シャルロットに似合うものが多過ぎるのがいかんな」
「現地調達にも限度が有るだろ、フォーセット……」
後ろでフォーセット様とジェイルが揉めてるわ……。だって、フォーセット様ったら、あれもこれもお似合いになるんだもの……。つい買いすぎてしまったわよ……。交易都市、欲しいもの多すぎ!
「ぐすっ、あの、シャルロット様。お荷物になるといけないので……酔い止めの薬草茶です。ナキアさんにお渡ししますね」
「有難う御座います、メロ様」
「ぐぐすう……うう……。かさば……ううう」
「シャルロットさまあ……! お泣きにならないでくださいいいい」
なんて行き届いたお友達なの……。形に残るものばかりで良かったのに……。
「メロ様、此方をお持ちください。お嬢様からです」
「はわっ!? こここ、こんな高価なものを……いた……」
「頂いてえええ!」
「はあひっ! 頂きます! うえええん!」
私が泣きすぎて渡せないものだから、ナキアが渡してくれたわ。因みに中見はネックレスよ。近くの貴金属店でウチのダオ家の紋章を急いで彫って貰ったわ。
「ぐずぐす……。ねえ、メロ嬢。王都へ遊びに来てね。来たら必ず迎えに行くからね。
もし行き違いでウチの門番が通さなければ、それを門番に見せつけて……」
「ええ、ええ……はいい! 勿論です」
「うう、手紙を出すからね」
私達は、別れる寸前まで手を握り合っていたわ。
そんな私にずっとフォーセット様は寄り添っていてくださったの。
「妬ける……」
「フォーセット……」
「殿下……女子の友情を温かく見守れないの、無粋……」
ミーナン家の兄妹に窘められながらも……。
ああ、色んなことが有ったわ。
私が貴族として至らないから、嫉妬に苦しんだりして。それ自体があり得ない偽物だったり気付いて……。
偽物でもなんでも、苦しかったわ。
でも、メロ嬢という最高のお友達に逢えた。そして、フォーセット様と通じ合えたの。
「また会いましょうね、私のお友達、メロ嬢!」
「ええ、素敵な私のお友達、シャルロット様!」
メロ嬢の涙に濡れた輝く笑顔を。
馬車の窓から乗り出す私の手をギュッと握りしめてくださるフォーセット様の熱を。
私はきっと一生忘れないわ。
シャルロットの物語はここで一区切り。
まだちょっと続きます。




