邪魔される逢瀬
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「ええと、先ずは……。断罪乙女バッサリの像ですわね」
「トリアイの名物石像だな」
「ええ。高貴なる人物に不貞されてしまった乙女がこの地に逃げてきて、交易都市トリアイを作ったというお話ですわね」
オマケに、何だか新種の揚げ物を滅茶苦茶早く揚げるという凄い力? に目覚めて炊き出し? いえ揚げ出し? をして他国の皇帝やら傭兵やらにモテモテで取り合いになったとか。
幾ら公爵令嬢で王妃教育受けてたとしても、ちょっと眉唾よね……。大分盛ってそうだと思うわ
何故揚げ物なのかしら。
「どう見てもシャルロットの方が美しいな」
「ま、フォーセット様ったら!」
「……」
冷たいジェイルの目が気にならなくもないけれど、仕方ないわよね!
ああ、最初からこの距離感でいたかったわー。
「そうだわ、あちらの海岸に砂浜が有りますのよ」
「珍しいな。大体砂利か岩だろうに」
「そうなんですのよ。何でも海の珊瑚が砕けたとか」
「シャルロットには珊瑚の髪飾りも似合いそうだな。見に行こう」
「では、私は殿下にお似合いのものを探しますわね!」
「……殿下、お嬢様。お下がりください」
「ああ」
え? 殿下が険しい顔に……そんな所も凛々しいわね。どうなさったのかしら。
……って、あ!
あれは……名前は忘れたけれど、メロ嬢のカスな婚約者!
「アレから何度もお手紙を差し上げているんですが、無視とは酷くないですかね……」
「……? ああ、ホヤホヤ男爵家の子息か。何用だ」
数百ある男爵家にもお詳しいなんて素敵だわ、殿下。この輩は早く路頭に迷わせてやりたいわね。
「何だ貴様! 失礼だろうが!」
「失礼なのは何方よ」
「煩え! 王子に棄てられ女が偉そうに!」
「何なのよ、お前」
急にキレ出したわ。
メロ嬢への大罪から細かい悪事迄、全て親にバレたのかしら。いい気味ね。
「お前のせいで、俺の評判は滅茶苦茶だろうが! ポッピーちゃんにもフラれるし、家から追い出されたんたぞ!」
誰よポッピーちゃんって。どうでもいいわ。
「メロ嬢にモラハラしてたお前には、自業自得じゃないの」
「何がだ! アイツは涙を流して喜んでただろ! 俺を愛してたのに」
……鳥肌が立ったわ。何この輩。
閃光を浴びたみたいに、眼の前が一瞬白くなったわ。
怒りって、こんなにクラクラするものなの……。
お友達を愚弄されるって、こんなに内臓を掻き回されるような感覚なのね。
「あのグズを出せ! もっと躾けてやらないと……アイツは俺を崇める為にいるんだからよぉ!」
「お前、いい加減に」
「煩い」
「げっ……ぐ!?」
え。あら?
殿下がススっと動かれたような気がしたけれど……。何をされたのか全く分からなかったわ。
「この街は段差が多いのは良くないなと思ったが、輩が勝手に転ぶのはまあ良いことだ」
「……え、殿下」
「おいフォーセット……」
「どうした? シャルロット」
今、物凄く早い動きで、輩に何かされたように思ったけれど……。
……ジェイルには分かってるみたいだけれど……。
まあ、邪魔者は排除すべきだものね。
「まあ、殿下は不審者に護身術をお使いになられたのね。お強いって素敵ですわ」
「嗜み程度だけれどね」
「……このカップル、まーまー怖いな……。」
ある程度都合の何やらには目を瞑らないとね。
警備騎士がやってきたようだし、お任せしましょう。
「どの道、私達に手を出したのだもの。無事では済まされないわ。うふふ」
「全くだな」
「まあ、そうなんですけど……あーあ」
メロ嬢も輩から解き放たれたようだし、デートも楽しいし。
ええ、いい日だこと。
断罪の乙女は後世にはイメージオンリーで伝わってます。




