第15話:招かれざる者たち──虚数世界《NΦ》へ
最終章:虚数座標世界編へ。
鳳凰(覚)とノヴァ(リリィ)が再定義した異世界に対して、
“上位存在”からの招待が届く。
今までは「転生させられた側」。
だがこれからは、“創られる前の世界”に干渉する物語が始まる。
──シュウゥウ……ン……。
音のない音が、空間の下から響く。
まるで、現実の“裏打ち”が剥がれていくような感覚。
覚とリリィの立っていた大地が、
ピクセルのように分解されていく。
「……消えてる……? いや、違う」
「……これ、移動してるんだ」
重力も風も、音すらも“意味”を持たない。
一瞬の浮遊感。そして……足元に“座標コード”が現れる。
> 【転送座標確定】
経路:NΦ軌道
時間概念:保留中
干渉者:存在未定義
キィィィィィン……!!
視界を白が焼く。
すべての色が――“始まり”に還っていく。
そして、彼らは着地する。
そこは、世界でも宇宙でもない。
——無定義領域。
「……これが……“あの声”が言ってた、次の世界?」
リリィがそっと立ち上がる。
だがその眼には、すでに“ノヴァ”としての意識が宿っていた。
「ここ、存在そのものが定まってない……」
「私たちの“意志”が、地形すら決めてる」
周囲が形を持ち始める。
記憶、思考、感情が、現実の素材になる場所。
目の前に現れたのは――巨大な“書架”。
その中央に立つ者がいた。
???「ようこそ、再定義者たち」
全身を覆う白銀のフード。
顔は見えず、ただ声だけが“直接脳”に届く。
「我々は、この世界の上位概念、観測者階層に属する」
「君たちは、世界を一度“改変”した。
そして、選んだんだ。想いのある世界を、生き直すことを。」
覚は拳を握る。
「言えよ。お前ら、誰だ。なんのためにこんな舞台を……!」
声が重なる。
「──君たちを、選ぶためだよ」
「次の世界を創る、“定義者”として、ね」
《選定開始──次期【定義者】候補》
> 1. 覚/鳳凰継承者
2. リリィ(ノヴァ)/再定義者
3. 残存因子:牙/統合存在
4. 未明の干渉者:クロス(元仲間)※接続中
「最後に訊こう、サトル。
君はこの世界に“何を定義”したい?」
世界の構造、言語、法則、生死の概念、転生の原理。
選べるのはたったひとつ。
「……俺は」
——その言葉の直前、
空間に、ノイズが走る。
バチィィィッ!!!
転送コードが割り込まれた。
【接続干渉:確認】
【未認証因子・クロス、強制リンク中……】
現れたのは――裏切りの元仲間、“クロス”。
「お前ら、まだ“遊んでる”みたいだな」
その口元は、笑っていた。




