目からビーム
おじいさんのありがた~い おはなし。
それから、大名屋敷付近では猫が多く目撃されるようになったそうな。
中には、台所まで侵入したり、夜中に行燈の油をなめたり、階段の踊り場で手拭いをかぶって踊ったりする猫まで現れたそうな。
「立ち位置は確認した?」
「ゼロ番がここかな。フロントの位置はここね。」
「フォーメーションは20匹でいいの?」
ど〇きつねたちが、猫たちが持ち寄った情報をもとに屋敷の見取り図を作成している。
マーキュリーとビーナスが、猫たちの配置を相談していた。
「センターはやっぱり私でしょ!」
「ムーン!ここで主役は私たちじゃないのよ。」
「まあ、センターは内蔵助ちゃんですね。」
「じゃあ、フロントは、安兵衛ちゃん、主税ちゃん、惣右衛門ちゃん、忠左衛門ちゃんかしら。」
リーダー抜きで、話がどんどん決まっていくので、ムーンは思い付きで、
「ねえ、47匹だと半端だから、裏センターに猫またちゃんいれて48匹! RZJ48ってどうかしら、うけるよ。人気出るよ!」
お堂ではマーズとジュピターが猫たちと踊りの練習をしていた。
「あなたたち、選抜に選ばれたんだから、だらっとしないで!」
「アンダーの子たちも……そこで寝ないで!」
猫だけにマイペースすぎる猫も多く、苦労は絶えない。
「ね、みんなかたき討ちだよ。まじめにやろうよ。」
リーダーの内蔵助が猫たちに声をかけているが、相変わらずゴロゴロしている猫がいる。
「おい、リーダーが言ってるんだぞ、ちゃんと聞けよ。ふざけんなよ!」
フロントメンバー常連の安兵衛が、ゴロゴロしている猫たちに蹴りを入れている。
「なにすんのよ。どうせアンダーの私たちなんて誰も見てないし……。」
「あんたたちが、頑張ればいいのよ。」
その様子を見ていた元祖体育会系ジュピターが近寄って、
「あんたたち、そんな根性だからいつまでもアンダーなんだよ。いい、目からビーム、指先からオーラ、目立つ子は後ろにいても輝くのよ。そんなあなたたちを見つけてくれるファンは必ず出てくるの。そんな一人一人のために全力で頑張るの。」
それを聞いて、47匹の猫たち全部が、2本足で立ち上がって、一糸乱れぬダンスを踊り出した。
それから数日後、
「今日はフォーメーションを発表するわ。今回は21匹のフォーメーションよ。」
ムーンが次々と選抜に選んだメンバーを指名していく、
「2列目の中央、裏センターは猫またちゃん。」
47匹の猫たちはシーンとした。中には怒ったり、涙ぐんでいるメンバーもいる。続けてフロントの安兵衛、主税、惣右衛門、忠左衛門が呼ばれ、
「センターは、内蔵助ちゃん。今回は選抜21匹、アンダー27匹。併せて48匹。RZJ48の誕生よ。」
マーキュリーが、補足する。やっぱり細かいことは天才に任せるべきだ。
「アンダーメンバーは、各自潜入して、立ち位置の確保。選抜メンバーは正面から入るわ。」
各自に用意された衣装を渡されて、決行に向けての準備が整えられた。
さて、城下のとある居酒屋で、遊び人の金さんは、豪華な格好をした「貧乏旗本の三男坊」と話をしていた。誰が見ても不自然な情景だが本人たちは気づかない。
「なるほど、この化け猫騒ぎは、そういうことだったのか。」
「はい、敵は黒幕の大名だと。」
「気持ちはわかるが、理由もなく、大名家を取りつぶすわけにはいかないな。」
「そうなんですよ。相手は大藩。」
「まあ、届はでているから、跡継ぎに継がせれば良いんだがな。」
「それができるなら、きつねたちの作戦もうまくいきます。」
「ど〇きつねがからんでいるのか?」
「はい、彼女らが猫たちに踊りのレッスンをしています。」
「踊り?」
「はい。」
「ああ、それで、これが届いたんだ。」
豪華な格好をした新さんは、懐から手紙を取り出した。
ー今度、大名さんちでダンスパーティーやるから来てね。 ムーン ー
人気のない廃屋の中で、3人の男が視線を合わせずにそれぞれ座っていた。
「八丁堀、大名屋敷の様子が変だぜ。」
「ああ、なんか妙なことになっているようだ。」
「そろそろ仕掛け時ですかね。」
主水は預かっていた小判を樽の上に並べた。
準備は整った?