化け猫騒動
おじいさんのありがた~い おはなし。
ど〇きつねたちは裏手に回り、よひょうたちは正面からお堂に近づいた。
あたりが真っ暗な中、お堂の中から灯りがもれている。
中から三味線の音が聞こえてくる。
「何か。明るい曲だな。踊りたくなるだ。」
「しーっ! 又八、おどっちゃだめ。」
「また、しっぽか?」
「まだよ、静かにして。」
一行は、よひょうを先頭に灯りが見えるお堂の横手に回り込んだ。古ぼけた障子から灯りがもれている。
「ん、あの影は」
「ありゃ、猫じゃねえか?」
「二本足の猫?」
「何か踊ってるみたいだ。」
「よひょう ごはん。」
障子には猫たちが、二本足で立ち上がって踊っている姿が映し出されていた。
一方、裏手に回ったど〇きつねたちは、よひょうたちと反対側の側面に回り込んだ。
やはり、古ぼけた障子に映し出される影をみつけた。
「下手な踊りね。」
「リズムが単調なせいでしょうか。」
「あれ、しっぽが二本あるよ。」
「うーん、悪霊退散!」
「だめね。私が教えてあげなきゃ。」
ムーンが、一人でお堂の中に飛び込んでいこうとしたので、ヴィーナスが引き留めて、
「ヒーローは、遅れて登場するものよ。まだ早いわ。」
「ありゃ、酔っぱらって踊ってんのか。」
今にも踊り出しそうなのをこらえていた又八が、中を覗き込もうと近づいた。
「ん、やっぱり2本あるだ。」
二本足の猫の影の一つが、大きくなると古い障子がすーっと開いた。
そこにいたのは頭に手拭いをかぶった老婆であった。
「おいら、遊び人の金さんってもんだが、話を聞かせちゃくんないかい。」
ここで遊び人モードになった金さんが事情を聞こうと話しかけた。
「とりあえず、あんた何者だい?」
「わたしゃ、ただの野良猫さ。そこの男が妙なことをしてくれて、この姿になったのさ。」
よひょうは気まずそうな顔をした。
「婆さんの姿にされたら、しっぽが2本になるやら、角が生えてくるやら」
老婆は手拭いを取ると頭に2本の角が生えていた。
「まあ、2本足で歩けるし、捕まんないように速く動けるようになったから、良いんだけどさ。」
「俺が妖怪、作っちゃったんだ。」
よひょうが落ち込んでいると、さくらが
「私はこの姿になって、幸せになったからいいんだけど、他にいませんよね。」
「生き物に使ったのは3回だけだ。」
お堂の中に入ると、踊っている数匹の猫以外は、ゴロゴロと転がっていた。
「で、婆さんこの猫たちはどうしたんだい。」
「この子たちは、ある大名に飼われていた猫でね。」
「大名?」
金さんは少し考えこんだ。思い当たる節があるようだった。
「それが、ある日追放されてね。100匹以上いたらしいんだけど、今はここにいる47匹。」
「なんで、減ったんだ?」
金さんが、黙り込んでいるので、よひょうが、話に入ると
「何でも飼い主が殺されて、その時に死んだのと、追放された後に自分で餌が取れなくて死んでね。」
「殿さまの猫なら、いい餌もらってたんだろうな。」
「よひょう!ごはん。」
よひょうは袋からチョコレートを取り出した。
「これでも食べて待って」
「それで、私が養っているってわけさ。」
なぜか、老婆もチョコレートをもらいながら答えた。そこで金さんも片手を出しながら
「家臣が家を乗っ取ってできた藩があってな。」
「そんなことできるのか?」
「幕府が家臣を大名と認めたんでな。」
「元の主君や他の家来は納得しないだろう。」
「だから、言うことを聞かないやつは……。」
「猫たちの話だと、元殿さまと、その家族皆殺しだったそうな。」
「それはひどいなぁ。」
「お家騒動ってやつさ、表に出ないけど結構あるんだよ。」
「この三味線は、死んだ猫たちの供養に作ったものでね。」
「三味線の皮か。」
「ああ、この子たちは死んだ仲間の皮を売って、かたき討ちに使ったんだ。」
「仕事人ってやつか。」
「仕事人?」
「金をもらって、恨みを晴らす仕事をするやつらのことさ。」
「そんな仕事があるんだ。奉行は取り締まらないのか?」
「悪人を始末してくれてるうちはまあな。」
「よひょう!猫、お金作る?」
夜は頭が回るつうが、気づいた。
「そうだ。猫がどうやってお金をつくるんだ。」
「ああ、この猫の中にはね。おいで、内蔵助。」
「内蔵助?」
内蔵助と呼ばれた猫は二本足で近づいてきた。
「この子は人の姿になれる猫でね。」
「? まさか化け猫?」
「そう呼ばれているよね。」
「あぶら舐めるやつ?」
「ああ、大好物だね。」
「おいらのあぶらましましラーメン」
いきなり、又八もあぶらという言葉に反応した。
「ってことは、やっぱりあの藩か。」
内蔵助?