ごんのおわび?
おじいさんのありがた~い おはなし。
さて、お堂からの帰り道。
「よひょう、ごはん。」
「つうは、何が食べたい。」
「うなぎが食べたい。」
「うん。今日こそな。罠の様子を見にいこうか。」
二人は川に行くと、昨日修理したはずの罠が、また壊されていた。
「ごん!許さない。私のうなぎ!」
「待てよ。『ごんぎつね』は反省するんだった。」
「反省?」
「おわびに栗の実を持ってくるんだ。」
「おわびもらってない!」
「もしかすると、猫またかもな、今夜は見張っていよう。」
二人は家に帰って、仕方なく、よひょうが出したディナーとスイーツを食べて、その夜、うなぎの罠を修理して、川を見張ることにしたそうな。
「よひょう、何も見えないよ。」
「わかったよ。これでも食べてな。」
よひょうは目にいいブルーベリーを渡した。つうは元が鳥だから、夜は全く見えなかったそうな。そうしているうちに
「ん、気配が……。」
たけぞうモードになったよひょうは、すばやく刀を抜いて切りつけたが、何かが通り過ぎて行った
「ん、何か白いものが……。布?」
また罠が壊されていた。
「よひょう、うなぎ!」
「すまん、逃げられた。」
「もーっ、うなぎ食べたい!」
「何もめてんだい?おいら遊び人の金さんって……」
「おっ、金さん。」
例によってちょんまげを斜めにした男が、桜吹雪をちらちら見せながらやってきた。
「ふん、猫またか。そいつあ眉唾だな。」
「刀が追いつかなかった。切れたのはこれだけだ。」
よひょうは、白い布を渡した。
「こりゃ、手拭いか何かだな。」
「ど〇きつねの話だと、目にも見えない速さで動くそうだ。確かに速かった。」
「見えねえもんは、捕まえらんねえな。」
「よひょう!またたび。」
突然、つうが話に入ってきた。
「またたび?」
「う~ん、猫にまたたびっていうからなぁ。」
「それ、どうやって食わせんだ?」
「よひょう!酒。」
「酒?」
「おっ、またたび酒か。」
「またたび酒をエサに混ぜて飲ませるのか。」
夜になると目は見えないが、頭が回るつうであった。
さて、二人が家に帰ると、玄関の近くに猫が集まっていた。二人が近づくと猫たちは逃げて行った。不思議に思いながら戸を開けると、またたびの実が山積みになっていた。
「よひょう、おわび。」
「ん、ごんのおわびなのか?」
さっそく、またたび酒を作ろうと思ったが、作り方がわからない。そこでよひょうはとなりのお杉母さんに教えてもらいに行った。
「それはのう。できるまでに漬けてから半年以上かかるぞ。」
「そんなにかかるんですか?」
「よひょう、まほう。」
「あっ、そうか。お杉さん取りあえず作り方を教えてください。」
よひょうは家に帰ると教わった通りにまたたび酒を漬けると、出来上がりをイメージした。酒は次第に透明から茶色に変っていった。よひょうがまほうをかけていると、玄関先で、ことりという音がしたので、つうが様子を見に行った。
「よひょう、うなぎ。」
「うなぎ?」
「食べたい!」
なんと、玄関には一匹の大きなうなぎが桶に入ってた。
「おわび?」
「ごん、すまないなぁ」
「それは、おいらだよ。またたび酒は用意できたかい。」
「金さん!」
そこには、泥だらけになった金さんが立っていた。
「あれから、頑張って取ったんだよ。」
3人はうなぎをまたたび酒に漬け込むと、大きなざるに載せた。
「さて、これをどこに仕掛けるかだな。」
「町中に出てっから、どこってってもなぁ。」
「よひょう、うなぎ!」
「ん?」
「おい、もうねぇぞ。」
ざるの上のうなぎはいつの間にか消えていた。
一度も出て来ないのにタイトルになるごんw