〇んぎつね。
江戸ワールドに事件が
悪人は、暗い夜道を逃げていた。
なんだか、もの悲しい メロディーが流れてくる。
「お侍さん どうしたんですかい。」
「おー、お役人さん。あっちで………。」
主水の脇差が 悪人の心臓を貫いていた。
主水が刀を抜くと、ふと目の前に一匹の猫が……。
猫は死体の周りを一周すると、ニャーと鳴いた。するとどこからか、数匹の猫が現れ、悪人の死体の周りを囲んでいる。
「なんか変な感じだな。」
と、つぶやくと主水は、刀を鞘に納め、寒そうに去っていった。
次の日の夕方、隣の家からさんまを焼くにおいがしている。
「よひょう。ごはん!」
「つうや、今日はうなぎの罠を仕掛けておいたから」
「よひょう、うなぎ食べたい。」
やっと涼しくなって、よひょうとつうは北国から帰ってきた。つうの忘れ癖もかなり改善されて、幸せ一杯な様子で、二人はそろって川に行こうと外に出たそうな。
「あっ、どちらまで?」
隣のさくらの声をかけてくる。ご近所づきあいはうまくいっているそうな。
「ちょっと川まで行ってきます。」
「よひょう、うなぎ大好き!」
「かあちゃん好きだったんだよな。」
「よひょうのおかあさん?」
「ああ、死ぬ前に食べさせてやりたかったなぁ」
川に着いて、仕掛けた罠を調べると網が破れて、一匹もかかっていなかった。
「よひょう、うなぎ!」
「また、ごんの奴がいたずらしたのかな。」
「ごん?」
「いたずらきつねがいるんだよ。」
「わたしのうなぎ、返せ!」
「また何か出すから、帰ろう。」
「よひょう、スイーツも」
なんとか、つうをなだめて帰ると、又八の家が騒がしい。
「どうしました?」
又八が家の外をうろうろしている。
「さんま、いなくなった。逃げた!」
「逃げた?」
「いや、焼いておったさんまが、消えたんじゃ。」
と、お杉母さんが、さんまを焼いていたはずの網をもって出てきた。
「こっちですね。」
鼻のいいさくらが、においのする方へ歩いていくので、みんなで後をつけると……、
「ここですね。」
通りをから入る狭い路地に、2匹のさんまの骨が……。
「よひょう、私まだ食べてないよ。」
「うん、食べてないよな。それにしてもこの辺、猫が多いな。」
見ると、へいの上や、近くの低い屋根、そして路地の先に何匹もの猫がいる。
「この子たちですね。においがします。」
近くにいた猫を又八がにらむと、目をそらされた。
「目そらしただ。おらのさんまかえせ!」
猫は逃げて行った。
「今日のそばも豪華ね。」
「金ぴか将軍から、海鮮かき揚げと、特大えび天が届いたし。」
「でも、なんで毎日そばなんだ!」
ど〇きつねたちは、今日もにぎやかにそばを食べていた。
「あっ、わたしの大えび取ったのムーン?」
「私じゃないわよ。あっ、私のかき揚げ。返してマーズ」
「おれじゃないぞ。自分で喰ったんじゃないか。」
「仲良く食べようよ、って私の大えびしっぽしかないよ。」
「なんか変よ。」
「再現動画を見てみましょう。」
マーキュリーが、再生動画を確認した。
「ここで……消えた?」
「消えた?」
「幽霊こわい!」
「悪霊退散!!!」
「ちょっと待って、スローで再生。」
「なんか飛んだ!」
「猫っぽいね。」
「なんだ、猫か。」
「いや、これ1/100の速度よ。こんな高速で移動できる猫って」
「アスリート?」
「ねこのアスリートっていないよ?」
「お化け?」
「お化けこわい」
「怨霊退散!!!」
「ちょっと、これ見て」
「しっぽ?」
「ん?2本。」
「残像でしょ。」
「これ静止画像よ。確かに2本に見えるよ」
第6章開始です。
第2、4章の続きになります。




