第9話:反日感情
ガクガクブルブル(( ;∀;))
「大変ださいとう君! 日本人学校の生徒が襲われたそうだよ!」
2024年6月の頃、ハゲ上司が慌ててやってきた。
その事件は瞬く間に日本国内に広く伝達された。
「生徒をかばって中国人の方が亡くなったそうだよ」
「マジですか? 蘇州ですって??」
蘇州は上海から車で1時間位で行ける場所だ。
90年代から日系企業の進出が多く、尖閣諸島の国有化の時に日本人街もかなりダメージを受けた場所でもある。
「困ったね、反日感情がここまでとは」
「前々からですよ。でも子供狙うとはあの国らしい……」
実は中国はこういった弱者を狙う問題は前からあった。
だが今回はかなり勝手が違う。
この様な問題を起こすのは得てして日本に来た事の無い反日教育による偏見を持つ人物が多い。
現在日本への旅行は大人気で処理水問題をとやかく言ってはいるが今までだって太平洋にしかいない秋刀魚を中国の人々はおいしくいただいている。
もし処理水に問題があるのなら3.11のあの時以降太平洋の汚染は今の比ではないのでその間に太平洋だけで獲れる秋刀魚をおいしく食べていた中国の人々に矛盾が生じる。
なので知識人の人々は政府のそう言った反日思想を煽るようなことに賛同はしない。
中国は日本の約10倍の人口がいる国だ。
日本嫌いがいても至極当然だが、盲目的に反日教育に毒されている人民には同情さえする。
ちなみにほとんどの中国方々も知らないだろうが、「中華人民共和国」の「人民共和国」という熟語は和製漢語である。
そのほかにもいろいろ和製漢語があり「日本語許せねぇ!」とか「中国人なら日本人のコスプレするな!」とか言う人たちにこの事実をぶつけてみたいと常々思っている。
だが私は「君子危うきに近寄らず」で余計な事は「蛇足」になるのでおとなしくしているのだが。
「参ったなぁ…… 所長にも色々聞いてみよう。それと陳さん(仮名)たちにも」
あと数ヶ月でスタッフに事務所閉鎖の通知をしなければならない。
当然ひと悶着あるだろう。
それを最小限にするのが私に課せられた役目である。
「これは色々と荒れるだろうな」
先々の不安を感じつつ、私は上海事務所の所長に連絡をするのだった。
<次回:「終焉」僕にはまだ帰れる場所がある、こんなに嬉しいことはない>
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