第7話:飛び回る男
いいだろう、私の修業は厳しいぞ?
ついてこられるか??
期限まで約一年となろうとしていた。
計画は絶対に秘密裏に、そして2023年は中国が海外に対し渡航を緩和したものの、経済は読者のご存じの通り低飛行を続けていた。
更に不動産バブルが完全にはじけ、大手不動産業者も阿鼻叫喚の時代へと突入し日本同様に大不景気へと突入する。
「さいとうさん、私会社辞めるアルね」
「陳さん(仮名)マジで? それでその後どうするの??」
「すでに日本の会社見つけたアルね。ビザ申請大変アルけど、東京の会社に勤めることにしたアルね!」
「そうか、頑張ってね」
すでに協力会社は大連のお客さんとの紐づけも終わり、上海の仕事はどんどんと減っていった。
中国経済の低迷も受け事務所の現地スタッフも仕事が減っていくは仕方なしという風潮ができ始めた。
有能なスタッフは我先と転職をし、沈没船から逃げ出すネズミのように辞表が一気に出始めた。
「さいとう君、順調だね?」
「所長まだまだですよ。最終オーダーやメンテナンス依頼が入って短期的には忙しくなります。春節前の年末にできる限り仕事をこなして来年は仕事の受注が減るという演出が必要です。それと」
この時点では2023年の年末に差し掛かっていた。
「陳さん(仮名)の辞職につられて追加で数名が春節をめどに辞める予定です。年末ボーナスはしっかり準備してください。多分それがもらえれば辞職一か月前に辞表を出すでしょう。そして有給未消化を加味すれば早めに終わりにできます」
「この辺が辞めるか、しかしそうなると対応できるスタッフがいなくなってしまうが?」
「本社ではビザ取得者が数名、何度か往来しているのでマニュアルは作ってあるので応援と言う形で来られます。お客さんは日本人スタッフの対応であれば満足度もぐっと上がりますよ」
「確かにな。ではこの計画で」
こうして協力会社そして給与の高い有能なスタッフから徐々に事務所を離れる現象が始まった。
まずは人数を減らす事。
そして絶対に気づかれない事。
それが最大限に注意を払う事となる。
* * *
「なので今は秋葉より池袋! あと「と〇の穴」は通販があるので日本全国どこでも買い物はできるよ! あと夏と冬の祭典はねえ~」
「流石さいとうさんアルね! 今はそう言う決まりアルか!」
「コスプレはどうなるアルね?」
「私グッズもっと欲しいアルよ!」
「まぁ、陳さん(仮名)李さん(仮名)張さん(仮名)落ち着いて。順を追って教えるね。あ、そうだ知人で中国人の施さん(仮名)の連絡先も教えるね。日本行ったらLINEっていうSNSがあってそっちの方が便利だよ。ほらこんなスタンプとかもあるしね~」
「おおぉっ! 早く日本行きたいアルね!」
「私もアル!」
こうして彼女たち日本渡航組のアフターサービスも万全にするのであった。
<いよいよ大詰めに入るか、時間も無いが間に合うのか? 次回「試算」レディーGO!>
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