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第三十三話 eater of stranger

今回は、三千字を少し長いです。

「ソウイ、動けるか!?」


「…はい!でも…」


幻想剣は使えない…ならば、どう動けば…。

僕は、その事をずっと頭の中で考え込んでいた。


「幻想剣は、使うな…今の俺なら、心裁判マインド・ジャッジを出せる」


「でも・・・!」


「いいから…言う事を聞け…!」


「…わかりました。」


目の前にいる黒のコートを着た黒マントの男…。

どうやら、真ん中に立っているあいつがリーダーのようだ。


「成程な…やっぱり、お前らだったか…‘太陽‘よ」


リーさんには…相手が誰だかわかっていた。

なら、セツナさんが裏切っていた事も…わかっていたと思うんだ…。


「…リーさん…一つ…聞いてもいいかな」


「…なんだ?」


「リーさんはどこ?」


「え…?」


ほぼ無風。

いや、風すら感じない程度に仕留めた。


「てめぇが、さっきからリーさんを装ってんのは知ってんだよ、アギト…」


「クッ…、成程…やはり…グッ…一筋縄では…行かないのだ…な…」


アギトは倒れて、そのまま息を引き取った。

これで、残る黒いマントの集団はここにいる3人だ。


「どうするよぉ?隊長さん」


「問題ない、即刻ソウイを殺す」


「へいへ~い」


やる気のない会話。

しかし、今僕を殺すと言ったのだから、今狙われているのは…僕だ。


「そのためには、やはり白騎士は要らんな」


「くっ…投影!」


疾風と共に嵐が起きたかのように激しい風が二人の距離を突き離す。

セツナさんは、僕の所へと、そしてあの隊長とか呼ばれてる奴は、元の場所へと。


「やっぱ、赤髪は目立つじゃねぇかYO!てめぇ、やっぱりバカだよなぁ!」


「…うるさい、黙れ」


口喧嘩…か?

いい年してよくやるな…。


「セツナさん、バックアップはお願いします。」


「了解した。」


瞬く間に、僕たちに風が吹き荒れる。

そう、それは投影だ。

風を投影して、僕を上空へと吹き飛ばした。

そして、それを利用して、丁度いい地点で、見えない剣…幻想剣を作り、それを大きく振る。

直接当てずとも、その剣は半自動で標的にぶつかる。

だから、ある程度範囲を決めればいいのだ。


「へっ、やるじゃんYO!」


「幻想剣…成程、流石は輪の息子と言ったところか…だが」


「遅いんよ…君」


一瞬ですぐ横から腹部に蹴りを食らわせられる。

上空…地上から数百メートルも離れているんだぞ!?


「ぐっハッ…」


そのまま投影風でなんとか衝撃を防いで入るが、地面までたたき落とされた。


「クッソォォォオオオ!」


「くっはは、よえぇな!」


また、蹴っ飛ばされる。何度も、幾度も幾度も…。

そして、その回を重ねて行くうちに僕はもう立てなくなっていた。


「ぐっ…ゴホッゴホッ…」


思わず口から血を吐く。

苦しみの顔を僕は表へだすと、直にあいつが来て、今度は僕の首を持って持ち上げる。

その手には、茶色の皮手袋があった。


「御前、やっぱ弱いなぁ」


「…う…るさ…い」


「生意気だぜ?」


膝で何度何度も腹部をけられ続ける。

そんな中、薄れゆく視界に映ったコイツの名前を思いだす。


「か…の…」


「あぁ?」


「花音…か…」


その時、自分では信じられないほどの膨大な力を発揮する。

そう、それは…リーさんの‘心審判‘そっくりで…。


「ここに、心診断マインド・ジャッジメントを開延する!」


そういうと、僕の首にあった手はなくなって、リーさんの出したような空間裁判所が登場する。

でも、僕はリーさんのような力はないから、心審判や心裁判は出せない。

けれど…僕だけにしか出せないこの心診断があれば、十分だ。


「---以下につき、僕は被告人に有罪判決を取る!」


弁護側は、いない。

そして、こちら裁判側にはセツナさんとアユラがついている。

さあ、どうする?


「ククク…おもしれぇな、おい!」


「壊れたか、ならば良いだろう…君は今から無期懲役で魂の墓場にて死ね」


瞬間、花音の胸部から激しい光が出て、それが焼けて行くように、みるみる花音を包み…そして、消えた。


「次は、お前だ…」


赤面の男に僕は心診断を出す。

絶対逃げる事の出来ないこれは、僕にとっての最後の砦。

…だが、これを使えるのは…三回だけ。

しかも、一週間にだ。

だから、その日その日毎日は使えず、その日だけを…というわけにもいかない。

リーさんのように日替わりで使えるようになるほど、僕はうまくコントロールできないのだ。


「残念だが、俺にそれは通用しない…なぜならば…」


心診断が出来上がる瞬間、それと同等…いや、それ以上の大きさの現すのなら、大宮殿の柱が何本も立ち並び始めた。

それがそれぞれ神々しい光を放つと今度は周囲も光り輝いてゆく。

そして…この心診断の裁判所を埋め尽くす。


「俺が、神だからだ」


奴は、そう言って 僕に永久とわざいを執行させた。

永久の罪は、精神攻撃で相手を死ぬ寸前で永久的に苦しめる刑罰だ。

よく、リーさんが使っていたからわかる。


「神…だと…」


光が無限に僕を突きさしてゆく。

段々と視界が光でぼやける。

痛みなどはない。

されど、感覚がない。

腕や足…指の先までもが神経系をぶっ壊されたのだ。

動こうにも動けない。

だが、これは幻覚作用であるがために、僕は口を動かすことはできる。

実際のところ、精神攻撃は相手への直接ダメージにはつながらない。

ならば、なぜ有効に相手を倒せるのかと言うと、精神崩壊セーフティブレイクをさせるからだ。

精神崩壊は、自身を保つことのできないぐらいに吹っ飛ばされる。

例えば、この腕や足の感覚が感じられなくなることと同じだ。

術者と術をかけられる受け身側は常に‘動けない‘のが、これら幻想の弱点なのだが、僕の幻想剣やデルタさんの幻想ノ太刀は、これらには準じない。

この準じないが、幻想の内に入る物が 投影 と呼ばれる幻想だ。

相手にあるものとして扱われて、否定されようのない絶対的な存在感で、この世にない物を作りだすという事でもある。


「我々は、輪に用があるのだ…ギルガメッシュ、その辺にしておけ」


「へいへ~い」


リーダーかくの奴がそういう。

この場を一時撤退するつもりか…?

こちらとしては、確かに助かってはいるが・・・。


「一応聞いておこう…輪とは、誰の事です?」


と、黒のマントの男二人を追う前にセツナさんに聞いておく。

すると、セツナさんはゆっくりと口を開いて…


「輪…そうね、初めて聞くかしら…あなたのそばにいた リー って人の本名よ。」


「リーさん!?え…あ…」


急に、頭に響くこの痛感はなんだ…。

僕は、あまりの痛さに気絶した。


(--- 鳳橋おおとりばし ---)


「成程…ここまでとは…」


「流石に…ここまでひどいと考え物よねぇ…」


そこには、鳳橋など存在していなかった。

あったのは、黒き空間…。

夕日で見えなくなっていたのだ…。

崩れた鳳橋は、もう使えものにならないらしい。


「アユラを探してもう何時間経つのだろうなぁ」


「あの子なら、きっと生きてますよ」


「だれも、死んだとは言ってはないさ」


「私たちも、即急で見つけ出した方がよさそうね」


唯一の移動手段…いや、他にもあるが水に囲まれたこの地での大きな橋であった鳳橋がやられたのだから、これは…どう変えるべきだろうと考えていた。


「‘黒太陽こくてん‘がもう動き始めているからな…」



(--- 夕縁の苑 ---)


「大事ないか…ソウイ」


「ぼ・・・くは、だい…じょぶ」


「無理はしない方がいい。今お茶を作ってきた。無論投影ではあるがな」


セツナさんと倒れていつの間にか起きたアユラが僕を見る。

僕はぎこちない返事を溢しながら申し訳なさそうにセツナさんのコップに継がれたお茶を飲む。

少しぬるま湯だ。

僕の舌は猫舌だからアユラがそれを悟って、お節介をしたのだろうな…。

でも…本当…僕は…どうしようもないなぁ…。


「それで、今からどうする?」


「リーさん…輪さんを、救出に向かう」


「ラジャー、そう来なくてはな」


アユラ、セツナさん、僕の三人は夕縁の苑を抜ける事にした。

…ポルカちゃんは…。

 こ

  だ?

ここにいると思って…居たのだが・・・。


(--- 一方そのころ…。 ---)


ポルカは一人、輪を探していた。

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