第二十九話 解放
「九つの尾鰭…そして、あの禍々(まがまが)しい殺気は、さっきのあいつとは、まったく別物だな…。」
「クソッ!まだソウイは、幻想崩しができねぇのに!無茶して覚醒をさせた上に解放まで…。リーになんて言えば…」
何も…聞こえない。
聞こえる、いや感じるのは、湧き上がる殺意と本能。
あいつを、狩れという捕食本能か?
表すのならば、ただ何かを食らう。それだけ。
赤い何かが、僕を包む…これは…血?
でも、痛くない…だったら…誰の…?
ああ、そうだ。これはさっき殺した奴のだ。
そうに違いない。
あは、あはは、あっはははははh...。
「理性崩壊…積みだな。」
「ふっはははは、あっははははは!!!ひゃっはぁあああああ!!!」
(out side)
ソウイは、舞う。
アギトは、それに合わせて体を軽くひねって、確実にソウイの攻撃を避け…。
「ぐあっ!」
られなかった。
ソウイの攻撃は、一撃二打。
一度目の攻撃は、二度の攻撃と考えてもいいだろう。
ソウイの顔の痣も段々と顔を浸食している事が窺える。
完全に解放状態と化していた。
「まったく…楽しませてくれるねぇ…俺が、口から血を吐いた事は、久しぶりだよ、まったく!」
壁に叩きつけられて、アギトは口から血を吐きつつソウイにそういう。
が、当の本人はまったく聞く耳を立てずに次々と攻撃を仕掛ける。
アギトは、距離を保つために氷の壁を崩れた壁を使って、作り上げる。
しかし、その瞬間にソウイはアギトの真後ろに回り込み、殴りかかる。
その勢いを留める事はなくはなったために、アギトは大打撃を二打食らう。
そして、体を大きく跳ねらせ、再び壁まで飛ばされる。
今度は、突き抜け室内までに浸透していた。
「ぐ…うぅ…がはっ…はぁ…うっぐぅぅぁぁぁ」
「…」
ソウイは、無言となり空を見上げる。
そのすきを見逃すものかと、アギトは立ちあがろうとするが…。
後ろに既に回り込まれていて、またも吹き飛ばされる。
まるでソウイにとって、アギトは玩具。
しかし、意識のないソウイはただただ無邪気にそれを弄ぶのみ。
飽きる事のない冷たい眼差しをアギトに浴びせ続けては、振り回し続けていた。
「このままでは…危険だ…、うぐっ…クソッ…俺は、どうしようもねぇのか…せめて…この腕さえ…あ…」
アユラが自分の失った腕を見ると、砕けていた所が見る見ると回復していき…原形を現すまでに至った。
唖然として見ていたアユラは、ようやく気がつく。
これは、幻覚であった事に…。
「アレも…幻覚…なんだよな…」
「ええ、そうね。少なくとも私には、アギトさんが一方的な攻撃を食らっている他に建物が崩壊しているようなアニメ描写は見えないわ」
「そう、貴方も俺が生み出した---に過ぎないんだがな…?」
そこに現れたのは、もう一人のアユラ…。
しかし、性格がまったくの逆である。
本体アユラが一人称が俺ならば、もう一人のアユラは一人称は私。
これが、アユラの正体…彼女の正体…それは…。
ソウイが覚醒状態から解放状態となり、ついに暴走を始めました。
追申:心審判は、一時放棄し他の小説を進めて行きたいと思います。