第二十六話 2on2(ツーオンツー)
バキンッ!
大きな…何かが割れる音が…した。
僕は…その時…宙を舞っていた。
「御前に…裁きを…」
奴は、そう言って…十字を翳した…。
僕は…そう、負けたんだ…。
そこは…夕日の見える場所。
(夕縁の苑)
「幻想の剣…か。」
「見えない剣って事は…もう、アレしかねぇしなぁ」
知っている…?
幻想剣を知っている…!?
「前に争った奴は、たしか幻想太刀を持ってたからなぁわかるぜぇ?でも、お前が今倒したソイツは知らなかった。それが、敗因だ」
「誰だ…その人は…」
「あぁ?お前と一緒にいただろう?髪の茶髪のスポーツ狩りの兄ちゃんがよぉ」
デルタ…さん!?
「後、もう一人は…あぁあの角刈りの男とかだったか…?」
角刈り…?リーさんは、ポニーテールのような髪型だったはずだ。
では、その場にいたもう一人とは…?
あそこにもう一人いたって…こと?
「まぁおしゃべりはこの辺で終えてよぉぜ!」
黒マントの男がその素顔を見せる…。
その顔は…見慣れた顔…。
「成程、あなたが…」
そこにいたのは…紛れもない。
アギトさんだ。
つまり、ここに誘われたってことだ。
これで、ようやくわかった。
ああ…そうだったんだ。
最初から…。
僕とアギトさんは対峙する…!
(--- 同時刻 ---)
ポチャンッ。
水滴の音が響く。
洞窟…?
いいや、こんな場所…この街にあった?
ない。あるはずが…ない。
こんな遺跡…。
そこには、石垣に囲まれた城…いいや、大聖堂があった。
ところどころ錆びついているが、これはまだ新しい…。
そんな時を感じさせない。
ガラスは、色鮮やかに7色程度を持ちいられて、思い描かれるとしたら…ケルン大聖堂。
この窓ガラスはまさにそれであった。
光がそこだけに漏れている。
外見だけでも壮大である。
「…っ」
頭が痛い。
どうやら上から落ちてきたらしい。
運よくそこの光が大聖堂にも降り注いであるようだ。
しかし、私は一体どうしてここにいるのだろうか…?
いいや…考えても仕方がない。
とりあえず…中へ入ろう。
(--- 同時刻 リー視点 ---)
「なんだ、この音…」
耳をキィィィという黒板を引っ掻いたような音がどこからか鳴る。
そう遠くないらしい。
俺は、足を急がせた。
その直後、俺の足元にひびが入っていた事を、俺は知らなかった。
(--- ソウイ視点 ---)
バキンッ!カキンッ!キィィンッ!
剣と剣がまじあい、そして弾かれる。
『それ』は、今『ここ』にはなく、しかし『それ』はたしかに『ここ』にある物の戦い。
何と戦っているのかさえ、わからない。
ただ、只管に何かと戦っているのだ…。
「その程度か?」
「クッソォォォオオオ!」
突き。
最後の一突きをするように、僕は精いっぱいに剣を突く。
しかし、それをひらりと横にかわされ…。
「御前に、裁きを…」
バキンッ!
何かが割れる音がした。
その目の前には、赤いガラスのようなものが、破片となって、飛んでいた。
そして、僕も…そのガラスのように、飛んでいた。
奴は…十字を翳している…。
僕は…そう、負けたんだ…。
この赤いガラスは…血。
腹部から胸部にかけて、赤き一線がそれを物語る。
痛みはない。
しかし、感覚すらない。
視界は、ぼやけている。
太陽の光が…僕を照らす…。
宙に舞い…そして、落ちる寸前で…誰かに、キャッチされた。
それは、人間の手ではなく、何か柔らかな物。
「…え…アユラ!?」
どうやら、僕はいつの間にか立っていたアユラにキャッチされたらしい。
この柔らかな感触は、どうやら…女性の…胸。
「おい、ソウイ…てめぇ後で覚えておけよ…」
「ギクッ;」
どうやら、怒っているらしい。
目を細くし、眉毛を少し尖らせている。
猫が威嚇しているようにも見えるが、どちらかと言えば、それは虎の捕食者の目。
ああ、狙いを定められたんだ。
そして、その彼女は僕を見て、相手に背中を見せている…。
「あっ危ない、アユラ!」
僕は…そう言って、体を起こそうとするが、傷が痛み思うように体が動かない。
彼女の背後に敵が居る。
あのアギトさんだ。
これではやられる…。万事休すだ。
そう思った矢先に、僕は目を疑った。
ヴィィンと電子音のような音が鳴ると同時に、アユラは背後を見ずに背後に右手を向ける。
すると、アユラの掌からまるで音波が流れるように、見える程度の波が発生する。
それは、アユラの掌を中心として周りへ広がると、赤き丸い物を形作る。
「なっなんだ、これ?」
「お前ら…俺『たち』を甘く見るんじゃねぇ…ここからは、私も本気を出す」
アユラは、そう言って、アギトさんを睨んだ。
今回は、視点変更が多くてすみません。




