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第二十一話 rookie and judgement


(--- 数時間前 ---)


僕たちは、彼らの家…を探していた。

というよりも、僕らにその彼らの家に宛てがあるわけではない。

無我夢中になって、街を散策するほかないのだ。

アギトさんは、無線を通じて僕たちに情報を与えると行って、この街を出た。

御金すら持たない僕らであったが、この街の中をバスで移動するわけでもないので、それは心配いらなかったのだ。


「こちら、ソウイ…アユラ、そっちは?」


耳に付けた無線受信機器についている無線送信機器のスイッチを押し、通信を試みる。

この無線機は、小型式で地上から上空までの電気の通った場所であれば、通信を傍受できる。

アギトさんにも連絡を取ることが可能だ。


「こちら、アユラ…異常というか、手がかりなしだ…ポルカ、そっちはどうだ?」


「こちら、ポルカ…こっちも特に何も…本当にこの街なのか?」


確かに、ポルカちゃんの意見に同感だ。

アギトさんがおろしてくれたこの街。

少しは情報が入ってきてもいいと思うのだが・・・。


「とにかく、手がかりが見つかるまで手当たり次第だ。夕暮れ時になったら鳳橋に集合してね、アウト」


ここで、一度通信を切った。

まもなくして、ポルカちゃんから情報が入る。

僕は、その時ある居酒屋にいた。


「あの、アンナという人とカムツという人を探しています、心当たりはございませんか?」


手慣れた敬語。

僕は、前からこんな所へ来ては、敬語を使って情報を集める言わば情報屋でもあった。

リーさんと共にまだアユラが来ていない時、街中をこんな感じで探索した結果がこれだ。

居酒屋の中では、あまり宜しくない人たちが居たが、僕は気にも留めずバーのイスに腰を下ろす。


「マスター、知らないか?探しているんだ、彼らの情報があれば教えてほしい」


「おい、お前その二人の情報がほしいのか?だったら、二千万払ったら教えてあげなくもねぇぜ!ヒャッハハハ!」


「お前、それはいじめすぎだってのぉ!キヒヒヒ」


一人がそういうと、また次々と笑いだす。

馬鹿にされているのだ。

どうも空気の合わない人が多く、手短に済みそうもない。

入り口には彼らがたむろし、今か今かとケンカを目で売る。

久しぶりの力仕事と見た。


「マスター、金は払うことはできない…この店がつぶれても、文句は言わないでくれよ」


「御客さん、何を…」


僕は、こういった仕事には、手慣れたものだ。

喧嘩を売られれば、何でも買う。

負け戦なら、土下座をついてでもそこを離れようとする。

だが…。


「今日の僕は、腹のいどころが悪いんです怒らせると、谷底に突き落としますよ」


「フン、中二病かよ!アニメの見すぎなんだよっ!ガキィィイイ!!!」


図体の大きな男が僕に右ストレートをかける。

僕は、その右ストレートを相手から見た右ターンで避け、手首にチョップをする。

すると、相手の顔は歪み、そして苦痛の顔となる。

まるでダメだな、こんなんじゃあ僕には勝てない。

次は、誰だ?

ああ、体の細い奴か、やってやるよ、お前らの敗因は今日僕に喧嘩を売ったことだ。

運がないんだよ、今までこんな相手いなかっただろう?

残念だったな、さようなら。


「よえーじゃんかこいつっ!ヒャッハハハ!」


「…」


目を瞑って、ただ相手の攻撃を交わす。

それをすると、背後のバーが崩れてしまう。

最初の大男の一撃を諸に食らった僕はその場に倒れた。

先程までの台詞…カッコつけにしては、ちょうど良い出来だった。

だから、今それを実行するだけだ…。

ロック。


「なっなんだっ!鍵があかねぇ!てめぇ…何をしやがった!」


「まるで、檻の中のゴリラだな、バナナあげるから叫ぶのをやめてくれないか?」


幻想描写。

それは、人が望む世界。

いや、人が想像して生まれるこの世にない世界。

それを相手の脳内にインプット、アウトプットすることによって、あたかもこの世のもののような、そんな錯覚が生まれる。

そう、僕のロックとは、幻想描写…固有結界の事だ。

相手を、自らの幻想の中に閉じ込め、あたかも現実のように思わせるそれこそ、僕がリーさんの元で学んだもの。

リーさんの固有結界の世界が裁判所ならば、僕の固有結界の世界は檻。

ロックは、相手を隔離するための言わば御縄だ。


「さてと…どうするかな…このままここに閉じ込めてもマスターに失礼だが…良い店の看板にもなるだろう…マスター、あんたがこいつをどうにかしてくれ」


そう言って、僕は居酒屋を出た。

僕自身はそう思わないのだが、アユラはお前はソウイか?と時々言われる。

もしかすると、先ほどももうひとりの僕が動いていたのかもしれない。


ピピッと、無線機の音が鳴る。

受信機をつけると、声が聞こえる。

声の主は、ポルカちゃんだ。


「聞こえる!?彼らの情報が見つかった!場所はこの街の東…ヘシータとか言う奴の家が、目撃現場らしい、そこへ向かおう!」


「了解した、じゃあ僕もそこへ向かう、先に着いたらまた連絡しよう」


「こちら、アユラ…俺のところもポルカと同じだ、後は着いてから話すアウト」


こうして、僕らはヘシータの家に向かうこととなった。


次回 第二十二話 outside and judgement

リーを救出するために、三人はヘシータの家に向かう。

その途中、ソウイの目の前にあの時の赤いマントの男が現れ…。

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