第二十話 巫女・危機
「うっうぅ…」
ぐすっ…今までにないほどの…屈辱だ…。
まさか、こんな…格好に…うぅ…。
巫女姿にされた僕は、今神社の御掃除をしている。
髪が短く、結ぶ事が出来ない僕にはうってつけ!と言って、さっき僕の着替えを担当していた巫女さん、山之口 冴子さんがリボンを無理やり髪にくくりつけ、僕が手で触れることができないようにされていた。
…どうも、このリボンには、護符の力があり魔除けとして…らしいのだが、かわいらしすぎて、そう思えない…いや、思いたいくない…。
とりあえず、この魔除けが必要な事でもあるのだろうかと人は考える。
どう考えても、アニメじゃあるまいし、起こりうる確率など、起こらない確率に比べてみれば、かなり低いものだ。
しかし、ここは神社…何か出ても、おかしくはないという…こと…か…?
不意だった、最後のクエスチョンマークは…僕の目の前にいたのは…宙に浮いている…日本ならではの、妖怪の数々・・・・!?
「来ましたねぇ~…まさか、ここまで貴方方が強者であったとは…、ヤヲ街のもう一つの姿…妖怪街と言って、このように力が強い者を求めてここに集合するのですぅ」
「ついでに言うと、ここの神社はそう言った霊や妖怪が具現化しちゃうから、よく姿を見せては人々を驚かせちゃってねぇ~ぜんぜっん人が来ないの」
「にっひひ~僕らじゃあ、手に負えないから、よろしくぅ~にっはは!」
「えっえぇ!?」
三人の巫女が、屋外にそろってそういう。
僕、アユラ、ポルカちゃんは別に強いわけではない…。
力もない。
いや、男一人女二人の時点で、強いとは言えないはずだ。
…訂正する。少なくとも、女一人は男並みの力を持っていた。
「それじゃあ…行くか!ソウイ、ポルカ!」
「おー!」
女二人は、やる気があるみたいだ…。
して、僕はというと…引っ張られる。
「やっやめてくれぇえええ!!!」
神社のさらに屋外ともなると…やはり巫女姿というのは…きついし、恥ずかしい。
というか、この巫女姿…。
東Oの博O 霊夢じゃ…。
黄色いリボンもあれば、そこの服の色も赤。袖は白…頭には、赤のリボン…もう、完璧だ…。
「うわああああ!!!!」
自分の恰好がわかると、こうも恥ずかしさが上がるとは…。
「いいのぉ、いいのぉ、東Oしてると、ここまでもうずうずが止まらないとは…ふははは!」
「へっ変態だ、こいつ!」
目の前にいたのは、ゲゲゲの鬼O郎に出てきそうな、ねずみ男がそこにいた。
どうにも、僕をみている…。
やめてくれ…真面目に見ないでくれ…。
「ソウイ!早くそのリボンを!」
「え?」
しかし、既に遅し…ねずみ男は、近くによって来ていた。
どういうことだ、リボン?リボンをどうすれば…あ…あぁ…視界が段々薄く…意識が…遠く…なって…。
僕は、おそらく目を開けたまま、倒れた。
「ソウイくん、生きてるぅ?」
「はっはい…一応…半分魂を吸いこまれた感じですけど…」
「O夢姿の人は、特に狙われやすいのです、気を付けてくださいね」
やっやっぱりかぁあああ!!!
「山之口さん、ひどいですよ!」
「ひっははは!引っかかるお前が悪いだよ?ひっははは」
「くっクソ…」
罠か…。
まさか、こんなことになるとは…。
「こっこうなったら…意地でも、ここを切り抜けて見せる、うぉおおおお!!!」
走る音、叫び声、そして…僕らは、それを繰り返し、ようやく戦いを終わった。
(--- 数分後 ---)
「あの~、どなたか、いらっしゃいますか~?」
「はっは~い」
とりあえず、難を逃れ、僕たちは神社の中央部に位置する、大仏がいる所で休憩をしていた。
どうしてかと、理由を聞くと、またいつ襲ってくるかわからないからだそうだ。
戦闘とか、そういう戦いではなくただの叩いて防いで、ジャンケンポンッ!というゲームであったことを、ここで発表する。
しかし、あんな感じに追い返すと、意外とモヤがかかるのだと、僕は深々と思った。
その時である。
神社にお参りに来たのか、一人の男性がやってきた。
「あ、アギトさんでしたか来てくださって、感謝します。どうぞお入りください」
「はい」
と、神社の御賽銭箱の前にある襖の扉から、その男性が来る…。
この格好を見られるのは…流石に…。
「大丈夫だに~、他者から見れば、お前も立派な お・ん・な だに~にっひひ」
「くっぅ」
「えと…ミツさん、これを」
「あら、ありがとうございます…せっけん、ですか?」
「はい、特注で買いました使ってください」
「あら、ありがとうございます」
そして…最後の扉が…開かれる。
僕は、身を隠す場所をあたり一面に探したが、大仏の後ろにいるわけにもいかず、あきらめた。
けれど、次の一言で僕は隠れなくてよかったと思った。
「それで、アギトさん 例の失踪した四人の情報が入ったと聞いていますが」
「はい、例の イヴ、アダム、デルタ、そしてリーの情報が入りました。居場所は、カムツとアンナという情報屋の家であるということを聞いています」
「え、あの二人!?」
「しっているんですか?えと…」
「ああ、霊夢と呼んであげてくれ、恐らくその方が喜ぶぞ(誰がですかっ!)いや、君だよ」
ミツさん…あんた、まじでさいっていだ…。
「それじゃあ、霊夢なぜ彼らを知っているんですか?」
「え、いや…僕たちは、一度会ったことがあるんです、それで…」
「フム、接点があるという事だけね」
ミツさんは、納得の素振りを見せると、僕に御札を渡した。
「住所、わかるんでしょ?」
「いいえ、所在は不明です、アギトさんは何か聞いていませんか?」
「あっああ…噂ではあるが、電脳世界に閉じ込められているんだとか…パソコンを開くと、霊が出るという情報が、とある街で起こっているから、もしかするとそこへ行ってみるといいかもしれない」
「わかりました…しかし、僕たちだけではあまり詳細を詳しくないので、道案内をお願いします」
そう、このときはまだ…僕は忘れていた。
だから、後に大変なことになるとは…思いもよらなかった。
特に、アギトさんは…。
「それじゃあ、行くか…準備はいいかな?三人とも」
「「「はい」」」
そして、僕らはまずこの街を出るために、バス停へ向かった。
…そう、なぜ僕らが神社へ向かったのかという事を、僕たちは忘れていた。
「あ…」
「ソウイ、金ある?」
「そっその…」
「まっまさか君たち、お金を持っていないのかい!?」
それを思い出したのは、バスを下りる時であった…。
謝罪の言葉は、僕以外誰も言わず…というか二人は、即バスから逃げた。
というわけで、アギトさんが、自分を含めた4人分のバス代を払う事になった…。
巫女編終了しました。
というわけで、次回は捜索編です!
なんと、電脳世界に閉じ込められたあの二人を救出します。