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第零話 links stage

(--- 数年前 ---)


私は、3歳の時にある神社に修業に来させられた。

その神社の名前は、寡占色神社と言って、その当時季節は秋で紅葉が辺り一面の木々に初々しく芽を開かせているのが印象に残っていた。

最初、私がやらされたのは清めの儀式という物で、邪念を追い払う作業の事を言う。

迷わずその時の当主 上野かみの 莉鷲リジュという人に清めの儀式を行ってもらった。

白いヒラヒラとした紙を何枚も束ね、それを棒きれに付け私の肩にそっと置いたのを覚えている。

しかし、直後に私の肩から黒い煙幕のような物が浮き出て、次第に私を包み込みそして…私は正気を失った。


しばらくすると、時期に目が覚めてそこが自室なのだと天井を見て一目でわかった。

近くには、涙を流し私を抱く母とそれを見て安心した様子を見せる父の顔を今でも覚えている。

私は、尋ねた。


「神社で何があったの…?」


と。

おかしな発言ではあるが、不意にその言葉を漏らした。

理由はわからない。

だからこそ、不安にもなる。

が、両親の内父が口を広げる。


「…もう、神社には行くな」


何があったかは聞けなかった。

自分で確かめたいとも思ったが、私はそれにしたがった。



その一年後、家の玄関の扉の所に生後何カ月かの捨て子が拾われた。

名前は、ソウイ。

名字はないが、下の名前をソウイだとわかるようにか、紙切れが置かれていたのだという。

両親と私はソウイを育てた。

健康に育ち、ようやく6歳になったある日。

ソウイは、一人で家を後にして姿をくらませた。

両親と私の三人は必死になってソウイを探したが、どこにも姿はなかった。

その後…同じ名前の人物が隣町にいるという情報を元に私は故郷から出た。

隣町に着くと、そこから南の方角の大きな山の先にいるという情報が入る。

ついこの間引っ越したそうだ。

私は、またも移動を開始し…出会った。


「はぁ…、はぁ…」


どれぐらいの道を上ったかもわからないぐらいに足がパンパンに膨れ、近くの切り株に腰を下ろした。

鞄の中から水筒を取り出して水分を補給し、もう一度立ち上がろうとした時、バランスを崩して私は倒れた。

坂道であったために、私はその坂をゴロゴロと御結びのように転がって、近くの木に体をぶつけて気絶をした。


私が目を覚ましたのは、何時間後で既に辺りは暗く、周囲を見渡してもほとんど視界が暗い状態であることがわかった。

不安な感情が私を襲う。精神的にこれは応え、肝試しよりもこちらの方が不安で不安で仕方ないと思った。


「う…だ…か…た…すけ…」


声がかすれる。

途切れ途切れになって、言葉が発することができたが、それを誰が聞こえるだろうか…?

おそらく、奇跡が起こらなければ、叶わないだろう。


「う…うぅ…」


きれいな夜空が暗い。

明らかにここが森の奥だと言う事を語るようだ。

私は、擦れる声をただひたすらに開く。

体が動かない。

徐々に感覚もなくなってゆく。


「く…た…す…け…助けてぇえええ!!!」


深い森の中で、私は叫び続けた。

助けなどない…。来ない。誰も…。

だから、体を必死になって揺らし続けた。

そして…ようやく辿り着く。

光照らす場所…。


「何…、あ…れ…」


そこにあったのは…一つの墓場。

その墓場に光が当たっている。

深い森なはずなのに、そこだけ木々が隙間を開けている。

私は、気分が悪くなりそうなぐらいに体を転がし続けて徐々に力を増していた事に気がつく。

私はその力を手足に注ぎ、ようやく立つ。

そして、ゆっくりとぎこちない動きでその墓場の近くまで寄ると…そこにあった名前…。


綾崎あやさき 弓良ゆら…」


そこには、墓石に彫られた綾崎 弓良という名前…その墓石の下に置かれた一枚の写真…。

三人…家族だろうか?両親は隣に真ん中に小さな子供がいる。

その小さな子供は両親と手をつないで写真を取られる彼女は、スカートをヒラヒラと巻き上げてホビングして、笑っている。

恐らく、その子供が綾崎 弓良なのだと私は確信をした。

その時である。

急に体の痛みが蘇ってくる。


「ぐ…ぁ…」


体全身は、もはや指一つ動かすことができず、そのまま体を仰向けにして転んだ。

私は…死ぬのか…?

助けて…。

その一言は、今になっても止む事はない。

助けて…。誰か…。


「俺が、助けてあげようか?」


「…え」


そこにいたのは…もう一人の私。

…一人称が俺って…。

そうは思ったが、気にせず彼女は話を続ける。


「俺が、貴方を助けてあげる。ええ、けれど条件がある」


「何…?」


「それは…」


こうして、私と俺は出会ってしまった。

その場所は、後にこう言われた。


『名も無き少女の墓場』と。

この物語は、第二十九話に続きます。

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