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第十五話 Cry of striker

目の前には、大きな鉄門がある。

これを、二人係で開けるには、かなりの力が必要かと思えた。


「うんっしょ!」


ギギギィィィ...とゆっくりではあるが、鉄門が動き出す。



「「嘘ぉおお!?」」


そう発言したのは、僕とアユラだ。

アユラには、確かに衝撃的であっただろう。

ところで、今リーさんとデルタさんは何をしているかというと…


こそこそと薔薇の花園で煙草を吸っていました。

そこへ一瞬にして現れたポルカちゃんは、その煙草をデルタさんから奪うと、どこから取り出したのか、煙草を入れる鉄の箱の中へと捨てました。


「…一ついいかな…アユラ」


「…何だ?」


「その…ここに何しに来たんだっけ?」


「知るかっ、んなもんあいつらに聞けよ、バーカ!」


なぜかはぶてるアユラ…もしかして、さっき脅かされたときに、背後にアダムが居たことを言わなかったせいかな…?

ま、そんなはずは…あるかも。

と思いながら僕は鉄門へ走るアユラを見送るように立ち止っていた。


「そろそろ入ってきてくださーい」


鉄門を開け、閉める。

この動作がどれだけ大変なのかはわからないが、少なくとも力がものすんごい要る事は明白であった。


…宮殿の中心部・・・。


「ここが…、その中心部コアか…かなり大きいな、あらわすのなら野球とかで使われるドームと言った所か、まあそのぶんドームみたいな席はないがな」


「説明乙、そうだね…でもこうみると本当に殺風景…」


そう僕が言いかけたとき、ドームの中心に誰かがいた。

僕は入り口から下を見るとやはりいた。

その人は赤いマントをまとい、ボサボサとした頭が印象的である。

さらに言うと、手首にはくさりのようなものがある。

いや、手錠か。

…ってえぇ!?


「てっ手錠!?」


「んあ、どうした、ソウイ?」


「あそこにいる人、手錠してますよ!」


「・・・趣味じゃないのか?」


「どうだか…思うに、アレは刑務所のものだな、つまりは…脱獄犯だ」


「むぅ、侵入者がいたねイヴ」


「クスクス、そうだねアダムでも良かったよ彼が‘脱獄犯‘でさ♪」


そういうと、二人は手を握り合い、高い所から芝生のある中心まで走り、そして飛んだ


「…んだ、てめぇらここの人間か?」


「クスクス、脱獄犯は「逮捕デス、」デスゥ~♪」


二人は、握り合った手を勢いよくパッと脱獄犯へとかざすと、まるでOパOダーシOルのように糸を放つ。

その糸は無数に別れ、まるで蚕の糸のように多く、細長い黒い糸が脱獄犯へと延びて行く…そして囲む。


「…これ、なんて戦闘バトルアニメ…?」


そういったのは、紛れもなく僕だ。

…そういえばデルタさんは…あっもうあんなところに・・・。

デルタさんは、もう中心の網のところにいた。

つうか、網の中に入ってるし!


「これが、戦闘アニメなら…おいポルカ、兄貴が死ぬかもしれぬが?」


「私はかまわん…というか、早く死んでほしい」


「(恐ろしい…)」


「スゥ…、俺は困るな…行くぞ、ソウイ、アユラ」


「「ラジャー」」


網に閉じ込められたデルタさんを助けに、僕らは走る。

…しかし、その瞬間ものすごい熱風と共に僕らは吹き飛ばされた。


「みぃぃいいいつぅうううぅううけぇぇえええぇぇたぁああああ!リー!!!!!!!」


「リッリー…にっにげろぉおお・・・ゴホッゴホッ…オエッガハッ…ハァッハァッ…にげろぉぉおおおお!!!」


リーさんの目の前に現れた脱獄犯はものすごい殺意を剥き出しにした目でリーさんに襲いかかる…!!!


「リーさん!」


「クッ、もう二度も心の裁判所は開けない!お前らは逃げろ!早く!」


「…いくぞ、ソウイ」


「でも…!(パシッ)つっ…」


「これは、俺の意思じゃねぇ!これはクソ親仁の…親心だ・・・だから、早く!!!」


「えっ…一体どういう事…!?アユラ!」


僕を無理にでも外へ逃がすため、アユラは僕の手を握って走る。

無論その隣にはポルカちゃんもいた。

…でも…デルタさんやリーさん、それにアダムさんやイヴさんはいない。


アユラの横顔は、チラリとしか見れなかったけれど、その顔の頬には流れる涙と苦情を込めたしかめっ面が見えた。

でも・・・僕にはそれが、悲しみを堪えるものだと…そう確信せざる終えないものだった。

だから…僕は、これ以上あの言葉の追求はしなかった…。

けれど、それは僕にとってはとても心を揺らす言葉でもあった。

やっぱり、親心だなんて言葉は僕にとって刺さるものだった。


…。そうだ…この後でもリーさんに聞こう。

リーさんなら心配要らない。

だって…リーさんはあの時笑っていたから。

リーさんが笑うときは、家に帰ってくる時と僕らと一緒に会話したりする時…。

それと…事務所のリーさんの机の上にあった写真を見ている時だ・・・。

だから、またあの写真を見るために、僕たちと会話をするために、あるいは家に帰ってくるために、リーさんは絶対に…また、心の裁判所で会えるはずだ。


---それまで、さようなら リーさん---



次回 第十六話 

リーさんの指示で、僕 アユラ ポルカちゃん はヤヲ街の美術館へと着く。

そこで会ったのは、僕とアユラをなぜか知っている女性…川上かわかみ さやかさんだった。

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