表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

本編1【うっすら覚えている記憶と不思議な声】

 やっとここまで来たのにお前は邪魔をするのか?そんなことはさせない・・・・・・目の前が真っ白な世界に包まれていた。その世界が途切れた時、知らない場所にいた。うっすらと覚えているのは、今いる世界は、今までとは違う世界にいたということだけだった。あの時の世界に戻りたいか?戻りたくないか?俺は今、自分の気持ちがどっちなのかを考えていた。この世界に来るまでそんな感情が沸きあがる事はなかった。微かに残るあの出来事の記憶を思い出そうとすると頭が痛くなっていた。この世界にやってきたのは数年前だった。微かに残るあの出来事によって今の世界へと何の前触れもなく突然やってきた。やってきた時は、今いる世界がその前にいた世界とは別の世界だとは気づいていなかった。突然の出来事に思考回路が暴走して考える事を止めていた。俺は、ただその場で立ちすくんでいた。長い時間そこにいて雨が降り出したことにも気づかず雨の感覚さえも感じる事が出来なかった。雨が降り注いで濡れているにも関わらずその場にいた。周りにいた人々は、俺に声を掛けず不思議そうに通り過ぎていく。だが人々が通り過ぎていく中、一人の人間が興味を示したのか俺の方へと近づいて来る。ゆっくりとゆっくりと・・・・・俺までの距離を縮めていった。

 ゆっくりとゆっくりと俺に近づいて来る人間がどんな人間なのか?名前さえ知らないその人間は、雨の中で動かない俺にただ興味本位で近づいてくるその人間は、俺に「雨なのになんでそこにいるの?」と問いかけてきた。俺は、その言葉でようやく雨が降っている事に気づいた。俺は、その人間に「俺もわからない」と言った。するとその人間は、俺に名前を聞いてきた。俺は、名前を答えようとした。だがあるはずの名前を答える事が出来なかった。この世界にやって来た時にその時の記憶と共に名前まで忘れてしまったようだ。俺は、近づいて来た人間に「名前が思い出せない・・・・・・あるはずの名前が」と言った。その人間は、今の俺の状況を察したのか自分の名前を先に言ってきた。近づいてきた人間の名前はエリザと言った。エリザは、名前を思い出せない俺に仮の名でオリーと名付けてくれた。そして本当の名前を思い出せない俺をほっとけないのかエリザは、オリーと名付けた俺を自分の住んでいる町へと連れて行こうとした。俺はエリザの後ろを付いて行った。しばらくしてエリザの町に辿り着いた。

 エリザについて行ってエリザが住んでいる町へと辿り着いた俺の目の前には、町というには人の数が少ない集落と呼んだ方がいい光景が現れていた。エリザと一緒にその集落の中に入ると集落の人間は、エリザに近寄ってきた。エリザに近づいてきた集落の人間は、エリザと一緒にいた俺に興味を示していた。集落の人間は、興味を示した俺の事をエリザに聞いていた。その光景を眺めていたが、エリザが俺の方を指さし雨の中何もすることもなく立っていた俺の紹介をしてくれた。集落の人間に紹介されて俺は挨拶をした。俺が挨拶をした後にエリザは歩き始めた。俺は、歩き出したエリザの後について歩き出した。しばらく歩き続けているとエリザの足が突然止まった。それに続いて俺の足を止めた。エリザの足が止まったその場所に建物が建っていた。エリザは、俺に向かってここが自分の家だと言ってそのまま家のドアを開けて中へと入った。俺はエリザの後から家の中へと入っていった。中に入るとエリザは、奥から体を拭くものを持ってきてくれた。俺は、その時まで雨で濡れていた事を忘れていた。俺は、エリザから体を拭くものを受け取って体を拭いた。そして体を拭き終わるとエリザに「一人で住んでいるのか?」と聞いた。エリザは、俺からの質問にちょっと答えにくそうにしていた。その場に沈黙の時間が続いた。エリザが沈黙を破るように明らかに答えたくなさそうに「ちょっとね」と返事をした。俺は、エリザのその言葉にそれ以上聞こうと思わなかった。

 微妙な空気が流れてしばらくしてエリザが「開いている部屋は自由に使っていいわよ」と言ってきた。俺は、エリザの言葉を聞いて空いている部屋の一つを使わしてもらう事にした。その部屋に入った俺は、相当疲れていたのかそのままベッドに倒れ込んで意識が遠のいていった。俺の意識が戻って来た時には朝になっていた。太陽の光が目に刺激として降り注ぎ、鳥のさえずりが耳への刺激となって聞こえてきて俺は目覚めた。目覚めた俺の元に外からさらに集落の人間の活気のある声が聞こえてきて、エリザの元に行くとエリザは昨日の微妙な空気が嘘みたいに「おはよう」と言ってきた。俺もエリザに「おはよう」と返した。しばらくエリザとゆっくりとした時間を過ごしていたが、少し外の空気を感じる為に家の外に出て集落の中を歩き出した。集落を歩いていた俺の後からエリザが追いかけて来た。俺は、エリザと一緒に集落を何気もなく歩いていた。エリザとの時間はゆっくりとして楽しかった。そんなエリザとの時間を壊すように集落の人間の一人がエリザに近づいて来て頼みごとをしてきた。その人間は、集落の近くにある山にある花を採ってきてほしいとエリザに頼んできた。エリザは、その頼み事を聞いて近くの山まで花を採りに行く為の用意をしに家に帰った。俺は、エリザの後に続いてエリザの家へと向かった。エリザと俺は、用意を済ませて集落を出て近くの山へと向かった。近くの山までの道のりは何か特別な出来事が起こることもなく近くの山に辿り着いた。

「戻ってきてしまった・・・・・・またこの世界に・・・・・・運命を変える事が出来なかったか!!」そう呟いた人間は、この世界でまた新たな目的の為に動き出す事を考えた。そう呟いた人間は、一人何処かへと歩き始めた。その人間のオーラは、誰よりもどす黒いオーラで包まれていた。その人間が向かった先には荒れ果てた何もない集落らしきものだった。その人間は、その場所を拠点に目的の為の行動をしてひたすら時を過ごして行く事になる。世界を揺るがすあの出来事のきっかけになろうとはその時誰も知る由もなかった。

 近くの山へとたどり着いたエリザと俺は、山を登り始めた。登り始めてしばらくして俺は突然頭に痛みを覚え始めた。その突然の頭痛がなぜ起こったのかわからないまま突然の頭痛に顔をゆがめた。すると一緒に登っていたエリザが顔をゆがめた俺を心配そうに見ていた。俺は、エリザに「大丈夫だ」と言った。エリザは、俺のその言葉を聞いても少し心配をしていた。俺を襲った頭痛は少し治まりエリザと頼まれた花を採りに咲いている場所まで登っていった。山の上の方まで登ってきて花が咲き乱れている場所が現れた。エリザと俺は集落の人間に頼まれた花を採っていった。そして採り終わって帰ろうとしたその時、また治まりかけていた頭痛が起こった。その頭痛は、先ほどの頭痛より激しさは増していた。エリザも頭痛の激しさで歪んだ顔を見て、また心配な顔を見せてきた。さきほどと違い頭痛は一向に治まらず苦しんでいると頭の中に声が聞こえてきた。

 頭痛と共に聞こえてきた声は、俺の頭の中で「待っている・・・・・・待っている・・・・・・この場所の奥深くの石碑で待っているぞ」と語りかけてきた。俺の頭の中で語りかけてきた声は、その言葉と共に聞こえなくなっていった。だが頭痛はまだ続いていた。頭痛が続いていて苦しい顔をしている俺をエリザは心配し続けていた。頭痛が続いていたが俺は、頭の中に聞こえてきた声の言葉が言っていたこの場所にある石碑に行かなければいけないとなぜか思ってしまった。俺はエリザにこの山の奥深くの石碑について聞いてみたが、エリザは石碑については知らないと答えた。エリザも知らない石碑を探す為にエリザの助けも借りてこの山にあるはずの石碑を探し回った。探し回っている間も頭痛がやむ事はなかった。

 頭痛が治まっていないにも関わらずエリザと俺は、山をしらみつぶしに探していたが、中々見つからなかった。エリザと俺は、石碑が見つからず頭痛がひどくなっていて帰ろうと考え始めていた。そんな事を考えていたその時、俺は草木で見えづらくなっていた一本の道が見えた。俺は、その見つけた道の方へと歩いて行った。エリザも俺の後をついてきた。その道を歩いていると、さらに頭痛がひどくなっていく。その様子にエリザはさらに心配そうな顔をしてついて来ていた。ひどくなっていく頭痛がまるで石碑までの道を知らせるかのように激しくなっていく。その道を俺とエリザは、歩き続けてしばらくすると広い場所に出てきた。その広い場所にはあの声の言っていた通りひっそりと石碑が建てられていた。その石碑を見てエリザは、自分が知らない石碑があった事に驚いていた。俺は、石碑にゆっくりと近づいた。石碑に近づくと頭痛のする頭の中で先ほどの声がまた現れた。声は「ようやくやって来たか?」と語りかけてきた。俺は「お前は一体誰だ?」と声を発していた。その様子をエリザは、心配するように見ていた。エリザには俺が石碑の前で頭痛に苦しみながら独り言を言っているようにしか見えていなかった。俺は、そのエリザの様子は目に入っておらず、頭の中に語りかけてくる声にひたすら対応していた。語りかけてくる声は「お前にはやらなければいけない事がこの世界である。それはいずれわかる」と言って声は消え、俺の頭痛は消えたがその場に倒れ込んだ。エリザは、いきなり倒れ込んだ俺を支えながら町までの道を帰った。

 俺は、気づくと集落のエリザの家のベッドに横たわっていた。石碑の前で倒れ込んだ所までは意識があった。だがその後のことは覚えていなかった。目覚めた時、エリザはかなり心配していたのか不安そうな顔をしていた。頭痛は治まっていたが、疲れは取れていなかった。エリザは、俺が目覚めた事で安心したのかそのまま眠りに落ちた。そんなエリザを見ながら石碑での声が言っていた【やらなければいけない事】が何なのか考え続けた。だがまだその答えが見つかる事はなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ