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七転罵倒

作者: John

土曜の夜。妻が録画して永久保存版にしているサタデー ナイト ライヴを観ている。ブラウン管の向こうではダン エイクロイド、エディ マーフィー、ビリー クリスタルなどがコミカルで軽快なリズムのコメディを披露して躍動している。リヴィングのテーブルの足下には彼女が飲んだビールの空き缶が7、8本転がっている。笑い転げると言う形容があるが、彼女ほど身を以てしてそれを表現する人間はいないだろう。家の壁が無かったら彼女は道路に笑いながら転がって行き、車に轢かれた蛙のようにぺしゃんこになっているだろう。まさしく笑転からの昇天。本当に転がっているのである。七転八倒している腸捻転の患者のように悶絶しながら笑い転げている彼女を私はじっと後ろから眺めていた。七転八倒と言ったが七転八転と言った方が正しいニュアンスかも知れない。1回転、2回転と私は何回転するのか数えていた。日本には、豆腐の角に頭をぶつけて死ねと言う格言があるが、私はそうならないようにボクシングのスパーリング用ヘッドギアを装着させた方がよいのではないかと真剣に考え始めていた。ヘッドギアはアマゾンで32ドルだった。彼女が7回転した時であった。私は彼女と目が合った。彼女が仰向けの状態で私の方をじっと見ながら言った。「何、じろじろ見てんだよ」私は記憶を呼び起こした。そうだった。彼女は酒乱だったんだ。すっくと起き上がり私の方へ歩みを進めてくる妻。眼前に来た彼女が掌でペシペシと私の頭頂部を叩きながら罵倒してきた。「おい、ハゲ、お前はブルース ウィリスを気取ってんのか?えっ、おい、このオカマ野郎。SM好きな変態ゲイ野郎の映画をあたしが撮る事があったらタイトルは『ゲイ ハード』ってタイトルにして、お前を主役に抜擢してやるからな。それまで良い子にしてんだぞ!解ったら冷蔵庫に行ってビール持って来い」私は妻に言われた通りにビールを取りに行きながら自分に言い聞かせた。人間は7回転んでも8回起き上がればいいんだと。

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