寸勁
寸勁
日本に中国武術を紹介した、日本における中国武術のパイオニアであるM老師について。
晩年の迷走がかなり気になっていた。
1日に千本の衝捶を撃てば一撃必殺になるのではないかと試してすぐにやめてしまったり、
色々な八極拳の老師の所に習いに行ったりなど‥‥
これについて師匠の見解は、
「疑問が解けなかったのだろう、
武壇でS老師の技や強さを目の当たりにしながら、
習った自分にそれが出来なかったから、
だから色んな八極拳の老師の所に行ったり、
歴史にヒントがあるんじゃないかと調べたり、
心意六合拳を研究したり‥‥
金属バットでぶっ叩いても平気な頑丈な防具を、S老師が触れた距離から軽く打っただけで昏倒させた寸勁が、
M老師では再現できなかったことが悔しかったのだろう」
と言う事であった。
因みに以前書いた、
M老師と袂を分かった初期の生徒が、
とある空手家A師範にM老師の寸勁の話をしたら、
A氏は「こうか!」と言ってその場でM老師よりも更に高威力の寸勁を再現してしまったそうである。
結局何が足りなかったのか、
師匠はその原因を、こう言った。
「M老師が一番嫌いでやらなかった拳種であるB壇劈掛掌、
あれを徹底的にやっていたら違った結果が生まれたかも知れない」
途中でB家八極拳に行ってしまい、そっちの通備劈掛をやったのが更に不味かったとの事。
B壇系の劈掛掌は当然ながらB壇系八極拳に最適化・マッチングして作られている。
師匠「S老師が劈掛掌をDVDでやっているのを見たか?、
他の劈掛掌ではやらない特徴があったよね、
あれが秘密であり、特徴。
後は『見せたのだから教えた』って便利な事言っておしまい」
因みにB壇系劈掛掌ですらこの特徴の劈掛のやり方は、
S老師にしか見られない。
(やはりS老師のみに他言無用でR公が伝えたのだろうか?)
八極拳は火属性、風属性である劈掛掌に煽られて
より強く燃え上がる。
そして陰陽の原理で、
長砲遠撃たる筈の劈掛掌の練習によって、
実は短距離用の発勁が身につくとの事である。
それがB壇系劈掛掌の(もしかするとB壇系劈掛掌にしかない)特徴だろうとの事。
おそらくは、S老師が習った寸勁の打ち方はこちらだろうと言われる。
李書文の功夫は、
八極拳と言う括りの中でも
『異常』とも言える程の練習量をこなして出来たもので、
弟子対してその練習量を要求する事は無かったと考える。
劈掛掌の使い方を溶け込ませた八極拳で簡単かつ威力の強い寸勁が打てるとのことで、
実際に師匠に具体的な説明を受けて、
生徒達で試した所、
とても不思議な利き方をした。
と同時に、
M老師がやって見せる寸勁と外見上がそっくりになりつつも、
全く違う筋肉の使い方となっている。