活住兄妹の転生:we are the heroes!!
目が覚めると、そこは穴の中だった。
いや、穴と言うよりは地面の凹の中といった方が適切かもしれない。
後頭部にジンジンとした痛みを感じるが、それどころではない。状況確認のため寝転んだまま辺りを見渡してみると、隣には妹の蓮実(まだ気絶している)と、4~5メートル程の巨大な竜の頭部が転がっていた。
「って竜!?はあっ!?」
いやまてまてまてまて、おかしいから、何竜って。
「…」
「死んでる……よな?」
いや、頭部しかない時点で死んでると気付くべきだが、なにしろ竜を見るのは初めてなので首だけで動いてもおかしくないんじゃないかと思う。いやマジで。
「…ん〜っ、おはようお兄ちゃん。あと竜も…って竜!?はあっ!?」
「あぁおはよう。なんだお前、俺と一緒の反応しやがって。芸がないぞ。」
本来ならば妹の覚醒を喜ぶべき感動的な場面だと思うんだが、いつも通り適当に合わせて喋る。
ま、こっちも気が動転してますからね。
「いや、なーんで竜がいんの。おかしいでしょ」
「いやそれな」
「おーい!大丈夫かーい?」
こちらに向かって男がやってきた。年は俺たちより上だろうか。黒髪に黒目であるところを見ると日本人だろうか?だが、竜のいる世界だ、確信は持てない。
「問題ないよ、ところで聞きたい事が数点」
「ありがとうございましたっ!!」
俺の言葉を遮るように男が頭を下げながら言った。
「え?」
「あなた達のおかげで我が村は竜の攻撃から免れました。あなた達が我が村を災厄から救ったのです、我が救世主たち」
「「はっ?はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」
俺と蓮実は絶叫した。
いやだって、俺達が……
救世主ぅぅぅぅぅぅっ!?