6 旅立ち
ザッザッザッ・・・・・・。
「ダグラス隊長、もし住民がいたらどうするのですか?」
ギロッ。
そう聞いてきた兵士を睨む。
兵士は膝をガクガクと震わせ、そして、その場に膝を落とした。
ダグラスという男に飲まれたのだ。
「皆殺しだ」
ふぁーはっはっ!!
そう高笑いしながら歩き出した。
「血が騒ぐぜ~早く殺したい」
そうこの世界に来たのは当然善人だけではない、悪人もいるのだ。
〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇
「よし!準備完了!」
深夜3時、スグル達は準備を終えた。
準備と言っても持ち物はすべてリングで管理できるので別のことだ。
そう先客がいたことをわからせようとちょっとした仕掛けをしたのだ。
「楽しみだわ」
レーヌがつぶやく。アンも微笑む。
「さあ、旅立ちだ」
「ええ」
「いつか、戻ってきたいな」
ここに一番長く住んでいるアンは寂し気に呟いた。
ピトッ・・・・・・。
レーヌはアンに寄り添い、手を握った。
そして、暗闇の中スグル達は旅立った。
目的地はない。
スグル達はこの世界の中枢に近いエンペラーという都市を目指すことにした。
エンペラーまで約3000キロ、日本でいう北海道から沖縄くらいの距離だ。
ほんとに長い旅だ。
「エンペラーまで遠いわね」
「中枢都市からこんなに遠いからここはまだどこの領地にもなっていないんだと思うよ」
日が昇ってきた。
スグル達はアンの能力のおかげもあり、無事軍と接触せず森から抜けた。
〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇
そのころ、キャンベラ王国のダグラス率いる軍隊は到着した。
「燃やせ、壊せ、破壊しろ」
ダグラスの命令と同時に50人の兵が攻撃した。
もちろん、誰もいないので何も騒ぎは起きない。
辺りにある小屋が次々と破壊されていく。
「ん?妙に生活感のある家だな」
ダグラスはアンの家の前に立ち呟いた。
ドアをゆっくり開け、一歩踏み込んだ。
ズガガガ!!
落とし穴だ。
「このっ!!」
それに追い打ちをかけるように水の入ったバケツが傾く。
バシャーーーーーー。
水の威力に耐えられずダグラスは落とし穴に見事に落下した。
ダグラスは落とし穴のそこで泥だらけかつびしょびしょになった。
「はぁ~~~」
大きなため息を漏らす。
水に濡れた前髪の隙間から見えた目は復讐を決意した悪の目だった。
〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇
「今頃成功してるかな~」
スグルは呟く。
「あんなのに引っかかるやつは間抜けの中の間抜けよ」
レーヌはそう返した。
ダグラスが聞いたら怒りを買うこと間違いなしの発言だった。
「さて、とりあえず近くにある町を探して今日はそこに泊まろう」
アンが言った。
「腹減ったー!」
「私も!」
「昨日夜から食べてないからな~」
そういいながらアンはおにぎりらしきものを取り出した。
「さすが!!」
スグルとレーヌは子犬みたいに喜んだ。
空も青々としていてよい旅の始まりとなった。
さらなる出会いがこの先待っていることだろう。
ザッ!
三人をつけるようが人影があった。
次回からは本格的に人物が登場してきます。