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異世界計画  作者: 神島 葵
4/18

4 能力使ってみよう

「うおーーーーーーーー!」


 いかにも中二病全開のような動きをした。

 バッ!!

 手を空高く振り上げた。

 ・・・・・・。

 

「だから、しっかり練習とか特訓しないと魔法は使えないんだよ」


 自分の尻尾をいじりながら退屈そうに言う。


「ここに来る前に希望した能力はすぐ使えるけど魔法は無理なのよ、スグルはここに来たばっかりで属性もわからないし」

「どうやったらその属性わかるの?」

「私が知ってる方法はその属性のものに手で触れてみるってやつだな、見てて」


 そう言ってアンはコップに水を入れて持ってきて、そこに指を突っ込んだ。

 すると、水が増水した。

 バシャーーー!!

 コップから一気に溢れ出た。


「まあ、自分に適応する属性ならこんな感じになる」


 自慢げに微笑んだ。

 この世界に来て2日目を迎えたわけだがここはまだまだ不完全な世界で自分達で手探りで解決していくしかないらしい。


「ちなみに能力は何を希望したの?」


 絶対触ったら気持ちいいだろうなと感じているフサフサの耳をピンッと立てて聞いてきた。


「俺はコピー。俺の想像通りなら見たものを自分で使えるようになる・・・・・・はず」


 まだ使う機会がないから確信は持てていなかった。


「私は感知。危険が迫ってたらすぐわかるわ。半径5キロまで感知可能よ」


 強いスグルは確信した。


「レーヌは?」

「私は能力希望の欄に風って書いたから魔法の属性は風で能力なしって感じみたいなの」


 スグルとアンは「ドンマイ」とでも言いたげな表情でレーヌを見た。


 ブー、ブー、ブー。

 会話を遮るようにしてそれぞれ手首に付いているリングが鳴り出した。

 定期的に異世界委員会からお知らせみたいなのが来るらしい。

 『大型ショッピングセンターまもなく開店!!』

 この広告を見て自分以外にもちゃんと人間はいるなとスグルは感じた。


「こういうお店とか彼らは自分から進んで作ってるの?」

「そういう方もいるとは思うわ。でも、大抵は異世界委員会の指示で動いているわ」

「指示される人ってどうやって選ばれているの?」


 レーヌも疑問に感じたらしい。


「指示されるのは大体第1期でここに来た者ね。でも、細かくはないらしいの。今のこのお知らせだったら『デカい店作れ』って感じで適当に支持指示されるらしいの」

「この世界全体をまとめてるなんて大変ね」

「それが・・・・・・最近勢力が分裂し始めていくつかの国が誕生しているの。だから、全体をまとめてるわけではなくて、その国をまとめている感じね」


 スグルとレーヌがもっと詳しく知りたそうにしていたのでアンも話を続ける。


「だから、さっきの知らせはどこかの国のね。まだ誰が国民なのかはっきりしてないから私達にも送られてきたのだと思うわ」

「争いが・・・・・・起きそうね。勢力が分裂していたら」


 暗い顔をしてレーヌが言った。


「ここはどの国に属しているの?」


 スグルは聞いた。


「その話をする前に経験値稼ぎに行きましょ!」


 スグル達三人は準備をして外に出た。

 この世界はゲーム要素がしっかりあるのでモンスターが用意されているらしい。


 〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇


「私達がいるあの家の一帯はまだどの国にも属していないのよ」


 風が心地よい草原を歩きながらさっきの話をし始めた。


「まだ、ここは私しか住んでいないのよ」

「「え?」」


 スグルとレーヌは驚いて声を揃えた。

 歩いていると三人はかなり大きい湖にたどり着いた。


「ここはね、北、東、西はこの湖。南は森で囲まれているのよ」


 スグルはなるほどと思った。

 森から出ようとしたとき出口が近い所を探して出たからここにたどり着けたのも納得できる。


「レー・・・・・・」


 スグルは言葉を飲み込んだ今は聞くべきだと思わなかったからだ。

 どうやってレーヌはここに来たのか疑問だったが今は気にしないことにした。


「お、いたいた」


 そう言いながらアンが指さした。

 イノシシ?ブタ?そんな感じのがいた。

 

『ブタイノシシ レベル2 30pt 基本的に攻撃しない』


 リングが説明した。

 なかなかいい機能だと感じていた。


「じゃあ、レーヌ行ってみよう!」

「任せて」


 最初レーヌはおとなしい子だと思っていたスグルはかなり頼もしい子で気が強い子だったと印象を変えた。


「見てろよ、魔法の使い方を。たぶんレーヌの元いた世界には魔法が存在しているからかなり上手いぞ」

「・・・・・・」


 パチン!!

 レーヌは指を鳴らした。

 すると、レーヌの周りの空気が野球ボールくらいの球体をたくさん作り始めた。

 レーヌは手を上に振り上げ、ブタイノシシの方へ向けた。

 空気の球体が勢いよくブタイノシシに命中した。

 リアルな死に方ではなく、ゲーム上での消え方のように無数の光になってブタイノシシは消えた。


「すげえ!」


 スグルは目を輝かせていた。

 しばらくするとブタイノシシが少し離れたところに現れた。

 ここに関してはほんとにゲームだ。


「私たちは死ぬけどね」


 スグルは我に返った。

 アンは続けて言った。


「だからいざという時に備えてある程度強くならないといけないのよ」


 レーヌもその通りって感じで頷いた。


「俺もやってみる」


 スグルは目を閉じてさっきのレーヌを思い出しながら周りの空気に神経を張り巡らすように集中した。


「おいおいおい、まじか!」

「信じられない」


 二人の声が微かに聞こえたが集中を途切れさせたくなかったのでそのまま続けた。


「行けーーー!!」


 スグルは目を見開いて手をブタイノシシの方へ向けた。


「あれ?」


 スグルは周りに空気の球体が出来ていないことに気が付いた。

 スグルは二人の方を向いて聞いた。


「失敗・・・・・・」


 ドカーン!!

 ブタイノシシの方からでかい音とともに激しい衝撃波が来た。


「スグルすごいよ!」

「私より威力ある風魔法使うなんてなんか悔しい」


 アンは真上に巨大な空気の球が出来ていたと話した。

 スグルはとりあえず自分の能力がちゃんと発動したことに安心した。


「あとは加減か」


 とりあえず収穫があった三人は嬉しそうであった。

 しかし、この平和な日々がもうすぐ終わってしまうことを彼らはまだ知らなかった。

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