2 出会い
ゴロゴロ・・・・・・・
雷鳴により俺は目覚めた。
大丈夫しっかり記憶はある。
「異世界に来たんだよな」
あまり実感が湧いてこないので声に出してみた。
辺りを見渡してみたが木しかない。誰が見てもわかる。森だ。
生き物がいる気配すらもない。
ただ唯一のメリットは密集率の高い森なので雨に降られないということだ。
ビー、ビー、ビー。
突然、腕が鳴った。もちろんそんなわけない。手首にリングがつけられている。
「やあ!」
聞き覚えのある声がリングから聞こえてきた。ミシェルだ。
「無事着いたようですね」
「まあ、おそらく」
「そのリングはスグル様の世界でいうスマホと似たような働きをするものです。」
「どうも」
そして、ミシェルとの通信を切った。
このリングは画面はホログラムで出てくるようだ。
地図という項目を見つけた。
俺がいる場所が森の深い場所ではないことがわかり安心した。
とりあえず森を抜けるために歩き始めた。
俺は今荷物は何も持っていない。
いや、あのリングからこの世界に召喚できるのではないかと思い早速探してみた。
案の定見つけた。
おそらくこれが初期装備なのだろう。
使用可能アイテム 短剣
所持金 500pt(1pt=1円)
「あとは店探して買うしかないか」
色んなことを考えているうちに森から出た。
雷の音も雨も止んでいた。
青空が広がったいた。
「おお・・・!!」
空中に岩が浮いている。いや、島と言うべきか。遠くにはくっそ高い建物も見える。
俺は感動した。目を輝かせたのは久しぶりだ。
俺は町に向かって走り始めた。
〇〇〇〇〇〇〇〇
しばらく走っていくとチラホラと家が見えてきた。
小さな町に着いたようだ。
この世界観たまらなく好きになっていた。
「あの・・・・・・」
岩の後ろから弱々しい声が聞こえた。
見に行ってみると俺と同じか一つしたくらいの女の子が傷だらけで倒れていた。
俺は急いで辺りを見回してみた。
少し離れたところに小さな家を見つけた。
俺はその女の子をお姫様抱っこして家まで走った。
この行動には自分でも驚いた。
なんたって、生まれてこのかた彼女などいたことのない俺がとっさにお姫様抱っこなんてできるはずもなかったからだ。
「すいません!!誰かいませんか!!」
家に着き大きな声で呼んだ。
しかし、誰も出てこない。
俺は仕方なく次をあたってみた。
ダメだった。
これの繰り返しだった。
そして、10件目・・・・・・
ガチャ。
ドアを開けてくれた。
「どうぞ。」
辺りを警戒するように小さな声で囁かれた。
家に入った。
「お嬢ちゃんをそのベッドに寝かせて。」
俺はその通りに行動した。
家主を見てお礼を言おうとしたとき気が付いた。
人間ではない。
狐のような耳と尻尾が生えている。
「あなたは人間ね。私を見て驚いたでしょう」
「い、いえ、そんな・・・・・・」
「無理しなくていいのよ、皆最初は違う種族を見たときは驚くものよ」
俺の感覚からすると30代後半から40代前半のように感じる。
お母さんのような暖かく包み込まれる感じだ。
「あの・・・・・・」
「なあに?」
「ここへはいつ来られたんですか?」
すでに生活感溢れる部屋に違和感を抱いたのだ。
「八か月前ね、私は第1期でこの世界に来たから住処を確保できたのよ。第1期は誰もいない世界に放り込まれるわけだから費用もいらなかったのよ」
女の子を治療しながら答えてくれた。
「この世界は自分達で作れってことか」
「そうね」
「俺は第何期なんですか?昨日来たんですけど」
「第4期ね、二か月ごとに投入されるのよ」
「あの、すいません、なんて呼べばいいですか?」
自分から名前を聞くなんて初めてだ。
「アンジェロよ、アンでいいわよ」
「俺は霧崎スグル、スグルでいいですよ」
女の子は治療を終え、眠ってしまったようだ。
「スグルまだ住処とか決まってないんでしょ?」
「あ・・・はい」
そういえばそうだ。
「その子の怪我が治るまででもいいから私の家に泊まっていいわよ」
断る理由もなかったので泊まらせてもらうことにした。
「んじゃ、夕飯作るわよ!手伝いなさい!」
俺は感じたアンは寂しかったんだなってことを。
物心つく前に親を失っている俺には、アンの母親のような感じがすごく心に沁みた。
「まかせろっ!!」
俺は息子のように返事をした。