1 異世界へ Here we go!
蒸し暑い。暑さに耐えきれず俺は真夜中目を覚ました。
8月中旬、夏の暑さのピークだから仕方ない。
掛け布団をどかしてしばらく天井を見つめてぼ~っとしていた。
「ん?」
動揺のせいで思わず声が出てしまった。
ベッドの横が明るい。明るいところには机があり机の電気を消し忘れたと思ったけど違うようだ。
とりあえず顔を向け見てみる。
誰かいる。誰かが机の上に座っている。
とりあえず壁のほうを向いて落ち着こうとしてみる。
「え、なに?誰だよ。怖すぎだろ!不審者?不審者なの?いや、目立ちすぎでしょ!なんで堂々と座ってんだよ!幽霊じゃないよな?俺そんな霊感ないよ?よし、とりあえず人間ってことにしよう。でもどうする?話かけるべき?コミュニケーション能力ほぼ0なのに・・・・・・」
ブツブツ・・・・・・
一通り出し切ったところでもう一度見てから決めることにした。
さっきは寝起きでないものが見えてしまったのだと思ったからだ。
俺はもう一度見る。
居る・・・・・・
現実を受け止めるほかなかった。
雲に隠れていた月が顔を出し部屋の中に光が注がれた。
人物の全貌が明らかになった。
見ただけではっきりしたことが一つだけある。
美女だ。大事なことなのでもう一度・・・・・・美女だ。
金髪で、目が青っぽい。顔立ち神。胸良し。スタイル神。言うことなし。
とりあえず、不審者とか強盗とかの類ではないっぽいので少し安心した。
いやいやいや、安心どころじゃないだろ!ほぼ100%そっちだと思ったけど斜め上行きやがった。
いや、斜め上どころじゃない。
美女が俺の視線に気が付いたらしい。
「やっと、お目覚めになりましたか」
ひとつ言っておきたいこの時間に起きる予定などなかったと。
「霧崎スグル様でよろしいですね?」
「はい」
質問されたので反射的に返事をしてしまった。
「プロフィールの確認を行います」
話がいまいちピンと来ないので質問してみることにした。
「あの~いまいちこの状況がわかんないのですが・・・・・・」
「あなたは誰なんですか?」
美女はハッとしたような反応をした。
「申し訳ございません。私、異世界委員会管理局人材収集部のミシェル・ネーヒストというものです。新人なのですいません」
「・・・・・・」
俺は理解するどころか余計わからなくなった。黙って話を聞くことにした。
「じゃあ、プロフィール確認しますね」
俺は黙って頷く。
「霧崎スグル様19歳5月6日生まれ。△△世界○○県××市在住。今は特別な事情によりニート生活」
「次異世界登録用紙に記入お願いしまーす」
用紙を渡された。
「ミ、ミシェルさん、さっきから思ってたんですけど異世界ってなんのことですか?」
ミシェルはよくぞ聞いてくれたって顔をした。俺は先に説明しろよって思いぶん殴りたくなった。
「異世界委員会では今異世界計画というゲームなんですけどリアルっていう、ん~そんな感じの計画を行っておりまして一つの世界に色んな異世界人を連れてきて行うというものです」
こいつ説明下手すぎだろと思いながらも俺はなんとなく理解した。
おそらく異世界委員会って所では色んな世界を管理していて、その世界の住民を彼らが創ったゲーム、異世界に連れていかれるものなのだろう。
「それに霧崎スグル様、あなたが選ばれたわけです」
「なるほど」
さっき渡された用紙に目を通してみることにした。
異世界登録用紙
1 異世界へ行きたいですか? はい・いいえ
2 行く場合一つだけ能力を手にすることができます。自由にお書きください。
( )
3 ゲーム終了は責任者の気まぐれですがよろしいですか? はい・いいえ
とりあえずニート生活に飽きてきたところだったのですべて「はい」に丸して、能力も適当に決めて異世界に行くことにした。
「ありがとうございます!では・・・・・・」
パチン!!
ミシェルが指を鳴らすと視界が歪み始めた。
歪みに飲み込まれ俺は意識を失った。
目を覚ますと俺は異世界にいた。