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See you …… again.

作者: REN
掲載日:2016/07/08

誰もがきっと、小学生の時に純粋な恋愛をしているハズ。


こんな気持ち、覚えていますか……?

ノートを破った切れ端に、


『好きだ』


って書いてあった。


私がそれを読んで、顔を上げた時には、


もう彼は教室を出ていた。






黒木くんってちょっと怖い。


無口で、

いつも男子の中央にいて、

まるでボスザルだ。


ちょっと黒木くんが何かを言うと、手下のサルたちはみんなヘコヘコして彼に従う。



顔が整っているのもまた、怖い。

凄まじく綺麗な顔が睨むとすごい迫力なんだ。



別に素行が悪いとか、

喧嘩っ早いとかではない。

むしろ、頭が良くて、

落ち着いてる方だ。





私は今年、小5で初めて黒木くんと同じクラスになった。

喋ったことは片手で数えるくらいしかない。

目が合っても、怖くてすぐにそらしていた。


でも10月のある日、

黒木からノートの切れ端をもらった。


もらった、というか。

黒木くんが私の席の横を通る時に、私の机に置いていった。


なんだろう、と思って中身を見ると。


手紙というにはあまりにも短い内容がそこにはあった。


なにこれ、と思ったが、

彼はさっさと教室からいなくなっていた。



好きってなにさ。


何が好きなの?

何で好きなの?

何で私に言うの?

よく、わかんない。

本人に聞こうと思っても、怖くて近寄れない。


私のことが好きなのかな?


普通に考えたらそうなのかもしれないが、中々断定できなかった。


だって私、黒木くんとあんまり接点ないよ?






どういうこと?

どういうこと?





私は黒木くんを目で追うようになった。


あ、今日は黒のTシャツを着てる。

あ、今消しゴム落とした。

あ、今窓の方を見た。

あ、今…。




何日も何日も見ているうちに、私は今まで知らなかった黒木くんを知るようになった。




あ、今笑った。




初めて、見た。


黒木くんって笑うんだ。

ちょっと照れたように、はにかんだように笑っていた。


結構可愛く笑うんだ。


整った顔がちょっと崩れて、小学生らしい笑みだった。



黒木くんだって小学生だもんな。


なんだか少し大人っぽいけど、やっぱり彼だって小学生だ。



そう思って見ていたら。


あ、今…あ。


黒木くんがこっちを向いた。

まだかすかに笑みが残った顔のまま。




…。




私は目をそらした。


なんで、こっち向くの。


私は頭に血が上った。


え、なんで私赤くなってるの。


手でペタペタと頬を触ると、やっぱり熱い。

私は逃げるように席を立って、教室を出た。






その次の日、

黒木くんは学校に来なかった。


私の心はモヤっとした。


体調でも悪いのかな?



その次の日も、

黒木くんは学校に来なかった。


私の心臓はとくん、と脈打った。


また、休みなんだ。




そのさらに次の日も、

黒木くんは学校に来なかった。


私の心臓はぎゅっと掴まれたようになった。


何で休みなんだろう。




ようやくその次の日、

黒木くんは学校に来た。


けれど。


朝のホームルームで先生はこんな事を言った。




「ものすごく急な話だが、黒木のお父さんが転勤で、今日のこのホームルームいっぱいでこの学校を去ることになった」




みんな愕然としていた。

特に男子たちは、声すら出ないようだ。




私もまた、愕然とした。


心臓がぎゅーっと締め付けられる。


痛い。

辛い。

なんで。




ホームルームが終わって、みんなで別れを惜しんでいたが、すぐに授業開始の鐘が鳴ってしまった。




「じゃあな、みんな」




黒木くんは落ち着いた感じでそう言った後、教室を出て行ってしまった。




なんで、そんなに軽いの。


私に渡した紙切れは一体何だったの。




ねえ。


待って。

行かないで。




私は授業が始まるのも気にせずに、黒木くんを追いかけた。






「ねえっ!待って!」


歩くスピードの速い黒木くんに追いついたのは下駄箱だった。


「……」


黒木くんは靴を履き替え終わったところで、止まってくれた。


「……ねえ、これってどういう意味だったの」


あの紙切れを見せる。


「……ああ」


黒木くんは紙切れをじっと見つめた。


「そのまんまの意味だよ。」


簡単な返事が返ってきた。


「そのまんまって何?私の事が好きって事でいいの?」


私がまくし立てると、黒木くんは下駄箱の方に視線を向けて、小さく頷いた。


「ねえ、何で私の気持ちを聞かずに行こうとするの」


私はまた質問を投げかけた。


「……だって河野、俺のこと別に好きじゃないだろ。いつも目線そらすし」


そう言った黒木くんの横顔はなんだか寂しそうだった。




「……そんなの、わかんないじゃない」




私がそう言うと、少し驚いたようにこっちを向いた。


「そんなの、わかんないじゃない。なんで勝手に決め付けて、こっちの気持ちも聞かずにいなくなるの。そんなの勝手すぎるよ」


私はそこで気がついた。




私の気持ち?




黒木くんを目で追っているうちに、


私の心は、


いつの間にやら黒木くんに持って行かれていたようだ。




じわっと涙が出た。


こんな最後に気がつくなんて。




「……ごめん」




黒木くんは私の目を見たままそう言った。




「……でも、戻ってくるから」




「転勤っていっても、1年くらいで帰ってくるから」




私は頬に伝う涙を拭いた。


「本当に、帰ってくるの?」


黒木くんは頷く。


「……そう、なんだ」


黒木くんは私の側まで歩いてきた。




「だからさ、帰ってきた時聞かせて」




「え?」

「河野の気持ち」

「……」

「1年もあったら、変わってるかもしれないけどさ」

「……」




「じゃあな」




黒木くんは私に背を向けて歩き出した。




「あ、ちょっと、待って」




もう、止まってはくれなかった。




さっさと校舎を出て、校門の方に歩いて行く。


みるみるうちに黒木くんの後ろ姿は小さくなった。






私はその後ろ姿を見ながら、




「私、待ってるから!1年後も、気持ち変わんないで待ってるから!」




と、大きい声で叫んだ。






黒木くんは振り返らずに、




ひらりと1つ、


手を振った。

なんとなく、私のお気に入り作品です。

その内長編に引っ張れたら……とか思っております。


よんでいただき、ありがとうございました。

また次作もよろしくお願いいたしますm(__)m


(※この作品は「小説カキコ」にて掲載しているものを、少し改訂して投稿させていただきます。「小説カキコ」とは作者名は異なりますが、同一人物でございます。)

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