第1話
告白を断られた和恵が行方不明。
学校の皆が捜索中に主人公正直は教室で昼寝をしていた。
すると目の前に和恵と名乗るリスが現れた。
まだ俺は夢を見ているようだ。
リスが喋るとは普通にありえない。
しかもその喋るリスが今、行方不明になっている和恵とか現実にしておかしすぎる。
俺は思いっきりほっぺたをつねり、夢から覚めようと試みたが、痛いだけでさめる気配はない。
「藤原君、信じて夢じゃないよ」
痛いってことは夢じゃないみたいだ。
夢じゃなかったら熱があるのか?
ちょっと保健室に行って来るか・・・・
机の上にいたリスの幻覚をほっといて俺は保健室に向かった。
「なんだ先生いないのか」
保健室はもぬけの殻で、仕方なく戸棚から体温計を拝借して、熱を測った。
「36度5分か、平熱だな」
多分寝ぼけていたんだろうと、自分なりの答えをだし、教室に戻った。
だがその答えは一瞬にして崩された。
「あ、藤原君。よかった、戻ってきてくれて」
未だ俺の机の上にシマリスがいた。
「一つ聞かせてくれ。お前が岸本さんだという証拠はあるのか?」
「・・・・・・今は信じて、しか言えない」
っとしばらく考えた後にそう言った。
信じようにも、こんなこと非現実すぎる。
だとしたら、他のやつにも聞いてみたらいいんだ。
「ちょっと、俺と一緒に来い」
っと手のひらを差し出し、その上に乗るように指示した。
流石に掴むのはどうかと思ったしな。
俺は和恵と名乗るリスを肩に乗っけて、外に飛び出し、正通か尊子を探した。
言っておくが俺の友達は決してこの二人だけではない。
この二人の言葉が一番信用できるから、その二人に聞くまでだ。
っとちょうどいいところに正通がいた。
「正通ちょうど良い所に」
俺は息を切らせながら、正通の所に駆け寄った。
「やっぱり正直も和恵のこと探してたのか。隠れて探してたって所か?」
別に隠れてもいないし、探してたのは和恵じゃなくてお前だよ。
「か、和恵?私川本君に名前で呼ばれる覚えないけど」
肩に乗っていた和恵がそう言った。
「だそうだとよ」
「ん?それよりお前なんで肩にリスなんか乗っけてんだ?」
こいつ本気でボケてるのか?それとも和恵の言葉が・・・
「おいさっきこいつの言ったことわからなかったのか?」
「はぁ?リスが喋るわけないだろ。正直、お前の頭がおかしくなる理由はよくわかる」
全然わかってないって。
それより本当に和恵の言葉は俺にしかわからないようだ。
「だから言ったじゃない」
いや、まだ俺は信じたわけではないぞ。
この後尊子や他の友達にも聞いたが、みんな揃って同じ答えが返ってきた。
「あとは警察の人に任せて、お前達は学校に戻れ」
先生が俺達を呼びにきた。
ちょうどお昼の10分前ぐらいだ。
「とりあえず、お前の言葉は俺にしか通じないのはわかった。でもお前が本当に岸本さんかまだ信じてないからな」
っと中間報告みたいな感じを言って、俺は教室に戻った。
別に重荷に感じるわけでもないし、肩に乗っけとくぐら構わないだろ。
俺は教室に戻り、いつものメンバー、正通と尊子の3人で机をくっつけて昼食をとった。
尊子も変わり者で昼ぐらい女同士食べれば良いものの、何故かこっちの輪に入ってくる。
「そういや、何でリスなんか肩に乗っけてるんだ?朝は乗ってなかったよな?」
正通が弁当を食べてる途中に話の話題を変えて聞いてきた。
「しかも大分なついてるみたいね。ほら私だと逃げられちゃう」
尊子が和恵の触ろうとして、逃げられた所を俺にアピールした。
こういう時はどういえばいいんだ?
本当のこと言っても笑いもの扱いされるのはわかりきっている。
拾ったと言っても、こんなになつくはずないと反論されるのも目に見えている。
「いつの間にかいた」
「はぁ?」
人間追い詰められると何を言うかわからないものだ。
でもいつの間にかいたのは確かだ。
寝てたらいつの間にか俺の机の上にいたんだからな。
「どこにいたんだよ」
「俺の机の上」
突っ込まれることを恐れず、ぶっちゃけることにした。
ある程度は伏せたが・・・・
「それって鶴の恩返しみたいな感じで、正直に恩返ししに来たんじゃないの?」
尊子がまたわけのわからないことを言い出した。
「おい正直、お前最近リスに恩返しされるようなことしたのか?」
「してねぇ。それに野生のリスなんか滅多に見ないだろ?ここはどっちかというと都会だし」
「それもそうだね。だったらどこかから逃げ出してきたんじゃないの?」
そう考えるのが妥当だろうな。
俺もみんながそう思っていてくれるほうが、後々――――
「よし、このリスの飼い主を放課後にでも探そうぜ」
「それいいね」
なんでお前達はそうなんでもかんでも首を突っ込むんだよ。
「まずはうちの学校の生徒にいないか聞き込みしないといけないな」
「私は部活の後輩達にも協力を頼んでみるよ」
2人はやる気満々で作戦会議みたいのを開いていた。
「何か大変なことになってきたね」
「別に。今日のはただのカラ元気だよ」
和恵がいなくなったうちのクラスでは、落ち込んでいる奴や、泣いている奴も少なくはない。
この2人も無理していつも通りを装っているみたいだが、昔から一緒にいる俺にはすぐにわかった。
「なんか私のせいでこんな空気にしちゃって、申し訳ないな」
「お前のせいじゃないだろ。好きでそんな姿になったんじゃあるまいし」
そう言って、空になった弁当箱をカバンにしまい、教室を後にした。
流石に俺も教室にいたら、気が重くなる。
「そういえばそんな姿になった記憶とかないのか」
校庭で散歩がてらに俺の肩に乗っている和恵に聞いた。
「うん。昨日放課後で図書室で勉強してて―――」
「しててなんだ?」
「藤原君に告白されたこと思い出してたの」
「な、な、なんでそんなこと?」
めちゃくちゃ動揺しまくったができるだけ平静を保ちながら散歩を続けた。
「私、告白されたの初めてだったから」
俺は次にいう言葉がなく、無言でそのまま学校を1週した後、教室に戻った。
「それじゃあ俺は先に帰るわ」
5、6時間目が終わり、正通と尊子に挨拶して教室を出た。
「お前はどうするんだ?」
目線を前に向けたまま、肩に乗っている和恵に聞いた。
「どうするって?」
「言っておくけど、俺ん家ペット禁止だぞ」
「あれ?一軒家じゃなかったっけ?」
そうだけど、ペット禁止の意味はこれ以上ペットを飼えないていう意味だ。
俺の家では既に犬と猫とモモンガを飼っている。
これ以上増えたら親がなんていうか・・・・
それにムゥだけでもラッシュとダークから守るので精一杯なのに、飼えるはずがない。
いつラッシュとダークにムゥを食べられるかわからないからな。
因みにラッシュは犬の名前で、ダークは猫、ムゥはモモンガの名前だ。
しかも妹が2人いるし、こんなシマリスを見つけたらどこに持ち出すかわかったもんじゃない。
「っということでここに泊まれ」
っと俺が連れてきたのは保健室だ。
ここなら布団もあるし、寝るのには困らないだろう。
「私一人で夜を明かすの?それだけは嫌」
嫌といわれても、ラッシュとかダークに食われるよりマシだろ。
「大丈夫、私逃げるのは得意だから」
自慢になってないよ。
でもまぁ、こんな姿になって、話が通じるのは俺しかいなかったら心細いだろうしな。
「しょうがねぇな。家についたら俺から離れるなよ」
「うん」
っと俺は保健室を後にして、岐路についた。
書きなれない恋愛小説にダラダラとなってしまってますが、暖かく見守ってほしいです。