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第9話 連携

 「え?」


 ぐるぐる回る視界の中、ボスがこちらに振り返るのが見えた。


 ヤバイ!


 巨大な曲刀シャムシールが振り下ろされる。


「ターンステップ!」


 俺は咄嗟に身をひるがえしてボスの斬撃を回避した。

 当然極意のおかげで目を回している、なんてことはない。

 しかし……


「じ、自重ってどうすればいいんだ?!」


 ずっと闘技場で戦ってきた俺はいつも全身全霊を尽くしてきた。

 だから俺はセーブした戦い方なんて言われてもやり方が分からない。

 かといって極意を解いて自分で戦ったら瞬殺されるのは目に見えている…どうしよう。


「ああもう!この馬鹿!いいわよ!そのまま全力で戦ってなさい!」


 い、いいのかな……とりあえず敵の攻撃を避けながらターンスラッシュ!


「ネームレス!作戦変更よ!作戦は任せるわ!……『こっちよ!』」


 姫が再び『挑発プロヴォーグ』を発動するとボスが姫の方へと狙い(タゲ)を変える。しかしボスが曲刀シャムシールを大きく振りかぶるのが見えた。このモーション(うごき)は……。


「不味い!範囲攻撃が来るわよ!忍、離れなさい!」


「ま、間に合わない!『ガードインパクト!』」


 俺はボスの範囲攻撃に合わせて防御スキル『ガードインパクト』を発動した。

 ボスが周囲を薙ぎ払い、それに合わせて曲刀シャムシールから衝撃波が広がっていく。

一体どんなチート技だよ……。

 対する俺はそのボスの曲刀シャムシールに向かってクレイモアで斬りつける。

 ガードインパクトとは一見普通の斬撃だ。しかし、このスキルは『敵の攻撃』に攻撃することにって効果を発動する。


 バキン!


 剣が耐久限界を超え砕け散り、俺は大きく吹っ飛ばされ宙を舞った。

 空中でHPを確認すると1/3も減っている。


 おいおいマジかよ……。


 5mほど飛んだところで受身を取って着地する。


「え!?ダメージがほとんどない!どういうこと?!」


 姫の声があがる。

 いや、俺めっちゃダメージ食らってるんですけど……。


「本当です!タンカー2班にも範囲攻撃によるダメージがほとんどありません!」

「『エクストラヒール!』」


 ヒーラーによる回復魔法が俺を包み込みHPが一気にMAXまで回復する。本当にこのゲーム、ヒール効果高すぎだろう……。

 俺はシステムウィンドウを操作してインベントリを開き、予備のクレイモアを装備した。


「忍!今のスキルは何なの!」


 今のスキル……ガードインパクトのことか。えっと、難しいな。どう説明すればいいんだろう。


「詳しいことは後で説明するけど成功すると受けるダメージが減るスキル……かな?」

「そう!その効果なのね!ネームレス!」

「分かってる!忍君、ガードインパクトの再使用時間は何秒だ?」

「武器防御からの派生スキルだから再使用はない!」

「そうか!みんな聞いてくれ!作戦変更だ!タンカー2班のヒーラー紗枝さえ・アクエイリアスはアタッカー4班のアーチャーレイジ・スティーブと交代!メインタンカーは予定通りセシリア!サブタンカーは忍でいく!リザレクションは二人を最優先に回してください!」


 討伐隊参謀のネームレスは素早く支持を飛ばす。


「サ、サブタンカー?俺は何をすればいいんだ?」


 いきなりサブタンカーって言われてもボスの討伐なんか初めてだからさっぱり分からない。


「あなたはいつもどおり何も考えずに戦えばいいのよ!ただし!範囲攻撃は全部さっきのやり方で防いで!」

「わ、分かった!ダッシュスラッシュ!!!」


 作戦を確認した俺は再び敵の背中に切り込んでいく。


「はぁっ!たぁっ!たぁっ!たぁっ!とぅっ!せいっ!せいっ!貫けええええええっ!」


 滅多切りからの打突コンボ。

 いつこっちにタゲ(敵の狙い)が移るか分からないからさすがに風車は使えない。


「忍さん!スタミナポーションは持っていますか?」


 PTメンバーのヒーラーから声がかかる。

 スタミナポーション……SPを回復するポーションか。そんなものはお店に売ってなかったんだけど。


「持ってない!」

「なら、次に範囲攻撃を防いだらこっちに来てください!渡します!」

「助かる!」


 仲間の支援が嬉しい!みんなの役に立てるのが楽しい!強い敵とやりあえるのが面白い!ボス狩りってこんなにも素晴らしいものだったのか!

 ボスが赤いオーラに包まれる。


「範囲攻撃来るわよ!」

「分かった!」


 オーラを纏った時は確か水魔法による範囲攻撃だったはずだ。

 4つの水玉がボスの周辺に浮かび上がる。


「『ガードインパクト!』」


 水玉が弾けるのに合わせてスキルを発動する。


 そう、このヴァルキリーヘイムの世界では魔法は万能ではない。


 魔法は革や金属を何事もなかったかのように貫通するような夢物語ではないのだ。

 だから武器や盾を使ってガードすることもできる。


 クレイモアが襲い掛かってくる水を切り裂いていく。


 その途端に俺の反対側……姫の方でも魔法の威力が弱まった。

 しかし、やはりボスの攻撃を殺しきることができず魔法ダメージを受けてしまい、後ろへと弾き飛ばされる。

 とはいえ、さっきほどではない。なぜなら体力が低く精神が高いダークエルフは物理ダメージより魔法ダメージに強いからである。


「『エクストラヒール!』」


 そしてすぐに仲間から回復魔法が飛んできてHPが完全回復する。

 しかし、さっきヒーラーの人が言ったとおりSPがかなり減ってしまっている。


「姫!一旦下がる!」

「任せない!『こっちよ!』」


 姫が再び『挑発プロヴォーグ』を発動した。まだ他の人に狙い(タゲ)は移っていないが、定期的に『挑発プロヴォーグ』を使い、敵愾ヘイト値を上昇させ続けることで狙い(タゲ)を自分へと維持し続けることができる。

 俺は『ダッシュ』を使ってヒーラーのところまで駆け寄ると既にポーションが具現化されていて、すぐに手渡してくれた。


「ほら、これ飲んで」

「ありがとう!」


 その場で一本飲み乾すとSPがMAXまで回復していた。SPポーション凄いな。


「あはは、君ってSPまで低いんだね」

「え、と、とにかく戻る」


 一体どういうことだろう?俺のSPが低い?

 まぁ疑問は後だ。

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