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第2話 キャラクタークリエイト

「ようこそヴァルキリーヘイムへ。私はヴァルキリーオルトリンデ。あなたの名前を教えてください」


 旧作でもこの戦乙女オルトリンデがキャラクタークリエイトを担当していた。

 それにしても本当にすごいな。当時はグラフィックの粗い3D映像でしかなかったのに。

 名前か……。

 俺はシステムウィンドウを操作して名前を打ち込んでいく。


 当時からずっと使用している名前「しのぶ


 最近のMMOは名前以外にも各キャラクターでIPが振られているため、例え既に誰かに使われている名前であったとしても登録が可能になっている。そもそも現実リアルでも同名の人なんて腐るほどいるんだから、名前が被ってるから登録できないっていうのはずいぶんと過去の話だ。

 それほどまでにMMOユーザーの数は膨れ上がっていた。


「『忍『で間違いありませんか?」

「ああ」

「それでは種族を選択してください」


 システムウィンドウに種族の一覧リストが表示される。


「前よりずいぶんと増えてるな」


 人間、エルフ、ハーフエルフ、ダークエルフ、ドワーフ、ノーム、ドラゴンハーフ、オーク、ライカンスロープ、ワーキャット…それにフェアリーか。めちゃくちゃ多いじゃないか。

 ドラゴンハーフって強そうだなおい。なになに?筋力と体力と魔力と精神が高く、器用と魅力が低いためファイターとメイジに向いており、アーチャー、シーフ、サマナーに向かない?タフで近接と魔法が強いって一体どんなチートキャラだよ…。

 そりゃあ、戦いが全てってわけじゃないだろうけどこの種族を選ぶ奴は多そうだな。ドラゴンハーフは避けよう。

 ワーキャットってやっぱり猫耳なのか。可愛いけどこの年で猫耳はないな。

 うお!オークがすげぇ格好いい!よく他のゲームなんかの雑魚で出てくるみたいなでっぷりとした感じじゃなくて、背が高くて筋肉質でいかついし、顔も全然豚っぽくないぞ。

 ライカンスロープは…狼人間か。渋いな。

 でもやっぱりここはダークエルフだろう。確か俺がちょうどヴァルキリーヘイムを辞めるときにダークエルフが実装されるかどうかって話が出ていた気がする。何よりこの青白い肌が格好いい。なんていうか青と黒を足してそれを美白したような色?ちょっと分かりにくいかな。

 えっと特徴は…筋力、敏捷、精神が高く、体力、魅力が低い?

 一撃離脱型の紙装甲…まるでアサシン向きのステータスだ。これでアサシン以外を目指してみるのも面白そうだ。茨の道っぽいし、これは燃えてくる。何だかんだ言って育てにくい不遇なキャラほど愛着が持てるんだよな。


 よし決めた!ダークエルフに決定っと……ぽち。


「それでは忍。あなたの生前の姿を思い出してください」


 生前の姿を思い出す……そういえばヴァルキリーヘイムのプレイヤーたちは一度死んでヴァルキリーによってその魂を召喚されたっていう設定だったな。

生前の姿ってことは、つまりプレイヤーが操作するキャラクターの見た目の設定してくれってことか。

 当時俺は黒髪の優男にしていたが……。


「性別は女、髪は黒のロングで、顔と背格好は現実リアルの自分をベースに……」


 顔や身体のパーツをどんどん変えていくと選んでいくと、俺の好みが全面に押し出されたキャラクターが出来上がってしまった。はっきり言って元の俺とは似ても似つかない。ほんのり面影があるかなってくらいだ。

 身長は175cmほどで凛とした顔つきにグラマラスなボディ。さすがにダークエルフなだけあってむせかえるほどの色気だ。できることなら自分のキャラじゃなくて仲間に一人欲しいところである。

 しかしなぜ性別を女にしたかというと別に女装癖があったり性転換を夢見ているわけじゃない。

 ただ単に男が戦っているところより女が戦っているところを見ている方が楽しいからだ。

 モニタ画面でMMORPGをやっていたときはよかったけど、VRMMOになってからはリプレイ動画でしか自分の姿が見えないので微妙と言えば微妙である。が、まぁそんな不純な動機。

 目の前に出来上がったキャラクターに満足がいくと、俺はOKボタンに触れた。

 その瞬間自分の身体が今設定したキャラクターの姿へと作り変わっていく。

 凄いけど自分の姿が変化していくのはちょっと変な感じだ……。


「それではステータスを振り分けてください」



ボーナス 10

 筋力 13

 体力 6

 器用 10

 敏捷 14

 魔力 13

 精神 12

 魅力 4



 おお!強いじゃないか!……前線に立ったら即死しそうだけどな。

 当時の同じなら筋力は物理攻撃力。体力はHPとSPと物理防御力。器用さは命中率とクリティカル率。敏捷は攻撃速度と移動速度と回避率。魔力は魔法攻撃力とMP。精神は魔法防御力とMP回復速度。魅力は召喚魔法の召喚限界に影響を与えたはずだ。

 俺は両手剣メインの剣士にしようと思っているから、筋力全振りでいいか。



ボーナス 0

 筋力 23

 体力 6

 器用 10

 敏捷 14

 魔力 13

 精神 12

 魅力 5



 これでよしっと。俺はOKを押した。


「本当によろしいですか?」

「ああ」


 こういった後で取り返しのつかない内容は繰り返し確認されることが多い。

 確かヴァルキリーヘイムではLVが上がってもこの7つの基礎能力値は変化しなかったはずだ。あ、いや、24980円払えば振りなおしが出来たか。全く阿漕あこぎすぎるぜ……。

 その他の方法でステータスを上げようとするならステータスアップ効果の付いている装備品を手に入れるしかない。もちろんそれらはレアアイテムって言われているほどの希少品だ。


「それでは武器を選択してください」


 突如視界が眩い光に包まれる。

 一体何なんだこの無駄にった演出は……。

 視界が戻ってくるとオルトリンデの横には数々の武器が並んでいた。

 片手剣からレイピア、槍、ナックル、杖、魔道書、弓、斧、鎌、鞭、オーブ……本当にたくさんあるな。

 両手剣だけでも2種類もある。

 野太刀にツーハンドソードか。

 野太刀は確かに格好いいんだけど、俺の場合力任せに叩き切ることしかできないから、引いて切ることで威力を発揮する日本刀のたぐいは使えそうにないな。

 というわけでツーハンドソードを選択。


「これちょっと持ってみてもいいか?」

「どうぞ、お気に召すまでお試しください」


 ツーハンドソードをその名の通り両手で持って振り回してみる。

 うん、敏捷補正か筋力補正かは分からないけど、振りが遅いってことはないな。これなら十分戦えそうだ。


「じゃあ、これにしよう」

「武器はそちらでよろしいですか?」

「問題ない、大丈夫だ」

「それではあなたの今後の活躍に期待します……」


 俺は再びまぶしい光に包まれていった。

 そして次に目を開いたときにはギリシャ風の神殿の中にいた。

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