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7 「このホテルに部屋をとってあるのよ」

 「このホテルに部屋をとってあるのよ。行きましょう」

 って、おい、俺は変なことになるつもりは全くない!

「あれぇ、変なこと考えてる? 大丈夫よ、襲ったりしないわよ。そっちはどうかわからないけどね」

 艦長、こんなところで俺の理性を試さないでください!

 

「さ、行きましょう。種明かしするんでしょう?」

 そう言って彼女はすたすたあるいていく。 俺はついていくしかなかった。

 

 

「さあ、来たぞ。早くしゃべってくれ」

 今日は調子が狂いっぱなしだった。さっさと帰りたい。 ふかふかのクッションに沈みこみながら、俺は下宿の煎餅布団に焦がれていた。

 

「せっかちねぇ。……ねぇ、遼クンはどんな風に思ってるの? 推理しているんでしょ、遼クンのことだから。聞かせてよ」

 彼女は相変わらずの余裕を見せながら、指を組み合わせた。

 

「……アンタ、親戚なんて嘘だろう?」

「そうね、本当は親戚じゃないわ」

 悪びれもせず彼女は認めた。

 俺は今日一日考えていたことを話し始めた。

 

「考えたんだ、親戚じゃないにしても、俺のことに詳しすぎる。ある程度は近い存在に違いない。それにさっき、親父の口癖にうけていただろう」

「……だとしたら、どうなのかしら?」

 薄ら笑いとも見える表情で、彼女は聞き返す。

 覚えてろ、吠え面かかせてやる。

 

「アンタ、親父の愛人だろう」

 

 彼女はたっぷり一分は固まっていた。

 それから、口許がほどけていったかと思うと、いきなり笑いだした。

「そ、それって……うけるぅ。……それは思いつかなかったわぁ」

 

 なんだ、違ったのか。

 家庭内争議の危険性まで考えていたので、ちょっと安心。バカにされたような気になってちょっと悔しいが。

 

 だとしたら、この女は一体何者なんだ。

 親戚じゃなくて、俺のことに詳しい。前の彼女の芙美子のことまで知っていた。

 小学校のあだ名や、親父の口癖、お袋の旧姓まで知っている、この女は誰なんだ?

 

「うふふー、今日、遼クン誕生日でしょう? お誕生日おめでとう」

 

「……お前は誰だ?」

 

 彼女はにっこり微笑んだ。

 長くなるわよ、と前置きしてから彼女は話し始めた。

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