第7話 学校での3人ルーティンと、練習日の提案
恋歌ちゃんとのデートの翌日、月曜日。
昨夜の激しい夜の余韻がまだ体に残ってる。
恋歌ちゃんの甘い叫び声と、俺の苛立ちを全部受け止めてくれた優しい体温。
朝起きた時、恋歌ちゃんは満足そうに俺の胸に顔を埋めて「翔くん、大好き……」って呟いてまた寝てしまった。
天使のくせに、あんなに乱れて……と思うと、愛おしくて仕方ない。
激しい交わり合い。いや、交わり愛だ!
優しく丁寧にがモットーの俺だったが、女の子をモノみたいに扱う乱暴な求め合いがあんなに興奮するとは全く知らなかった。
恋歌ちゃんも恋歌ちゃんで、いつものは凄く好きだけど、こっちの強い刺激も新鮮で最高だと言ってくれた。
毎回アレでは体が持たないので、時々自分を解放するのもありかもしれない。
強い刺激って慣れると物足りなくなるしな。両方のバランスを上手くミックスさせていきたいところだ。
でも、頭の片隅で翔子の顔がちらつく。
また練習日を設けようって言ってたよな。
まだ連絡はないけど、きっと来るんだろう。
「翔吾っ」
「ん?」
後ろを見ると、丁度家から出てくる翔子がこちらに向かって手を振って走ってくる。
「たまには一緒に学校行ってもいい? レンたんにはあらかじめ許可は取ったから」
「準備のいいこったな。そうだな。恋歌ちゃんの許可つきなら大丈夫だろう」
この頃は恋歌ちゃんという恋人がいることもあってか、一緒の時間に登校するのはお互い自然と避けるようになっていた。
普通に考えて、いくら幼馴染みだからって彼女以外と2人きりで登校するのは避けるのが常識だろう。
「あのさ、これ見て翔吾」
「なんだ?」
翔子は何かを見せたいのかスマホの画面を差し出してきた。
そこには恋歌ちゃんとのやり取りが映し出されているようだった。
「マジか……女の子って凄い会話するんだな」
色々と書いてあったのだが、要約するとこういう感じだ。
――――――――――
【レンたん】――昨日の翔くんとのエッチ凄かったよ。あんなに興奮したの初めて♡ 翔子ちゃんのおかげだね、ありがとう♪
【翔子】――そうなんだ! 体を張った甲斐があったね!
【レンたん】――提案なんだけど、明日の朝、翔くんと一緒に登校してきてくれないかな? 私と付き合ってからは遠慮してくれてたよね?
【翔子】――そうだけど、どうして?
【レンたん】――考えてみたら幼馴染みなんだから一緒に登校しても不自然じゃないし、何より、私サイドの寝取らせ妄想にも拍車が掛かってちょっと興奮するっていうか……(笑)
【翔子】――おっふ(笑) レンたんも性癖に磨きがかかってきたねw 了解!
――――――――――
「ってな感じでさ」
「おっふ……うちの彼女ェ……。なんだか複雑な気分だ」
「言わない方が良かった?」
「今更だな。まあ変に隠されるよりはいいさ。ところで悠真くんとはどうだった?」
「どうだったって、何が?」
「何がってお前……あんな事したのに何も言ってないのか? 電話するって言ってただろ」
「え、あ、ああっ。えっとね。やっぱり本番当日まで練習してることは内緒にしようと思って」
「なんでだ?」
「えっとね、私も色々と調べてみたんだけど、寝取らせ好きの人ってさ、申告してのプレイももちろん良いんだけど、実はその裏で、【知らない間に色々と】っていうのも凄く興奮するんだってさ」
「それで先日の練習は本番まで内緒ってか? 寝取らせ初心者がハードル高いことやると危険じゃないの?」
「悠真くんに喜んでほしいからって意味合いが強いし、それに、そんな事じゃ嫌いになんてならないから心配しないで」
本当に大丈夫かよ……。まあ2人の問題だし、いわば舞台装置である俺からアレコレ言っても意味はないだろう。
せいぜい2人が上手く行くように祈る事にしよう。
「そうか。まあもしも悠真くんとの関係性が破綻したら、俺が取りなしてやるよ」
「え?」
「関わった以上は責任を持つ必要があるからな。やりすぎて悠真くんが傷ついても本末転倒だ。誤解を解く役目くらいするさ」
「あはは、翔吾優しいね……」
そう言うと何故だがションボリしているような表情になる。
「あのね、翔吾、わたし――」
「お、恋歌ちゃんだ。おーいっ」
翔子が何か言いかけたような気がしたが、校門の前に恋歌ちゃんを発見した俺の声にかき消される。
「すまん、今なにか言いかけたか?」
「ううん。なんでもない。おーい、れんたーん」
翔子は何事もなかったかのように恋歌ちゃんの元へと走って行った。
翔子が俺を見る目が少し熱っぽい気がしたが、まあ気のせいだろう。
「おはよ、翔くん!」
腕に絡みついてくる。朝から甘えん坊だな。
一緒に教室まで歩いてる途中、翔子が向こうからやってきて合流。
「昨夜はデート楽しかった?」
翔子が少し遠慮がちに、でも興味津々って顔で聞くと、恋歌ちゃんは俺の腕をぎゅっと握って、嬉しそうな表情を見せた。
「うん、すごく楽しかったよ! 翔くん、優しくて……えへへ、凄かった」
翔子がくすくす笑って、恋歌ちゃんに目を向ける。
「おーおー。羨ましいですなぁ。どれ、その辺を詳しく聞こうじゃあーりませんか」
「オイコラ。うちの彼女に酔っ払いオヤジみたいな絡み方すんな」
「えー、いいじゃん。レンたん、教えて教えて」
「もう、翔子ちゃんったら」
恋歌ちゃんが照れくさそうに笑いながら、翔子の肩に軽く手を置く。
翔子は恋歌ちゃんの親友だから、こんなやり取りは普通だ。
でも俺は少し離れた位置で二人の会話を聞いてて、なんだか複雑な気分になる。
恋歌ちゃんは彼女で、腕に絡んでくるのは自然だけど、翔子は彼氏持ちなのに、こんなに俺たちに近づいてくる。
幼馴染みだからって言い訳はできるけど、最近この3人でいる時間が長すぎて、俺自身も「これでいいのか?」って思う瞬間が増えてる。
翔子は恋歌ちゃんの隣を歩きながら、時々俺の方を見て微笑む。
その笑顔が少し寂しげに見えたのは、きっと気のせいだよな。
授業中も集中できない。
昨夜の恋歌ちゃんの体温と、予行演習の翔子の感触が交互に頭に浮かんで、俺の理性がぐちゃぐちゃだ。
昼休み、翔子が教室に顔を出して「翔吾、購買一緒に行こ」って誘ってきた。
クラスメイトの視線が痛いけど、恋歌ちゃんも「私も行くー!」って合流する。
購買でパンを買ってる間、翔子が俺の袖を軽く引いて小声で言う。
「翔吾、今日レンたんの家寄ろうよ。宿題一緒にやろ」
恋歌ちゃんが即座に頷く。
「いいね! 翔くん、来てね♡」
俺は断る理由が見つからず、「…分かったよ」って答えた。
放課後、いつものカフェでケーキを食べながら、翔子が少し緊張した顔で切り出した。
「ねえ翔吾……今週末、また練習しない?」
やっぱり来たか。
俺はコーヒーを飲む手を止めて、ため息をついた。
「またかよ。……悠真くんの本番はいつになるんだ?」
翔子は少し目を伏せて、スプーンでケーキをつつく。
「うん、悠真くん最近連絡が遅くて……医学生だから忙しいのかな。もうちょっと待っててって」
またそのパターンか。
なんか毎回同じような言い訳だな……と思ったけど、すぐに「まあ、忙しいんだろうな」で納得しようとした。
でも、心のどこかで小さな違和感が残る。
恋歌ちゃんが俺の腕にくっついてきて、フォローするように言った。
「翔くん、翔子ちゃんの悩み解決してあげたいよね? 私もまた3人で……したいな♡」
恋歌ちゃんの「したいな」が甘すぎて、理性が揺らぐ。
翔子は少し遠慮がちに俺を見て、恋歌ちゃんの言葉を待つような表情。
俺は結局「…分かったよ」と答えてしまった。
翔子がほっとしたように微笑むのを見て、俺はまた複雑な気分になった。
彼氏持ちの翔子が、こんなに俺との時間を楽しみにしてるの、普通なのか?
でも恋歌ちゃんがOKしてるんだから、いいんだよな……。




