第6話 side恋歌&翔子 ~秘密の始まりと、脆い絆の現在~
【side 恋歌】
高校2年の秋、ちょうど翔くんと付き合い始めたばかりの頃だった。
あの日は翔くんに送ってもらいながら学校から帰って、部屋で宿題を広げてたんだけど、スマホが鳴った。翔子ちゃんから。
翔子ちゃんはいつも明るい声で話すのに、その日はなんか違った。声が震えてて、鼻声みたい。
「翔子ちゃん、落ち着いて。どうしたの?」
「レンたん……私、翔吾のこと、好きだったみたい」
その一言で、電話の向こうで翔子ちゃんが泣き出しちゃった。
私はびっくりして、スマホを握りしめたまま固まった。
翔吾のこと、好きだったって……翔子ちゃん、そんな気持ちを抱えてたの?
翔くんと私が付き合ったって聞いた瞬間、翔子ちゃんの中で何かが壊れちゃったんだろうな。
私は慌てて声を優しくして聞いたけど、心の中はざわついてた。
翔くんは私の恋人だよ。独り占めしたいよ。でも翔子ちゃんは私の親友で、翔くんのこと誰より知ってる子で……。
「ごめん……ごめんね。こんなこと、レンたんに絶対言っちゃイケないって、分かってるのに……」
翔子ちゃんの涙声が続いて、詳しく聞いてみたら、翔くんと私が付き合ったって噂を聞いて、急に胸が苦しくなったんだって。
今まで「幼馴染み」って思ってたのに、翔くんが他の女の子とくっつくのを見たら、嫉妬みたいな感情が湧いてきて、自分が翔くんを好きだったことに気づいた、って。
私はベッドに座って、スマホを耳に当てたまま、天井を見上げた。
翔子ちゃんの気持ち、分かるよ。翔くんは優しくて、かっこよくて、誰だって好きになるよね。
でも……私、どうしよう。
翔くんを手放したくない。翔くんは私のエンジェルで、毎日一緒にいるだけで幸せなんだもん。
翔子ちゃんを傷つけたくない。翔子ちゃんがいなかったら、私と翔くんの関係もここまでスムーズじゃなかったかも。
ふと、変な想像が頭に浮かんだ。
もし……翔くんが翔子ちゃんとエッチしたら、私はどう思うんだろう?
翔くんが翔子ちゃんの黒髪を撫でて、唇を重ねて、翔子ちゃんの細い腰を抱き寄せて……。
翔子ちゃんは清楚で美少女なのに、内面はおっさんみたいで、でも体はすごく魅力的だよね。あの胸とか、翔くんが触ったらどんな顔するんだろう。
(……え、待って。私、何想像してるの?)
心臓がドキドキして、顔が熱くなった。
嫉妬するはずなのに……なんか、胸がざわついてるけど、悪い感じじゃない。
むしろ、翔くんが翔子ちゃんを抱いてる姿を想像したら、体が熱くなってきて……。
翔くんの普段見せない顔、翔子ちゃんを気持ちよくさせる表情、私の知らない翔くんを見てみたいかも。
翔くんが翔子ちゃんに欲情して、私の前でそんなことしてるのを見たら……えへへ、ヤバいかも。
(私、変態かな?)
翔くんと付き合う前から、AVとかエロ漫画でNTRモノが気になってたけど、あれは被害者側じゃなくて、翔くんが他の子を抱くのを見て興奮する側かも。
翔くんが翔子ちゃんとエッチして、私がそれを見て、嫉妬混じりのドキドキを感じて……それで翔くんが最後は私に戻ってくるの、最高じゃない?
あ、待って。これ、歪んでるよね。普通の彼女なら、そんなこと想像しないよ。
でも、翔子ちゃんの気持ちを思うと、翔くんを共有するのもアリかも……。
翔くんを二人で分け合うの、翔くんは嫌がるかな? でも翔くんは優しいから、うまく誘導すれば……。
翔子ちゃんに「寝取らせ」設定で翔吾を誘わせて、3人で……ってのはどう?
翔子ちゃんは処女だから、最初は怖いかもだけど、私がサポートすれば大丈夫。
悠真くんって架空の彼氏を作って、翔くんを竿役に抜擢して、少しずつ慣れさせて……。
えへへ、これならみんな幸せになれるかも!
翔子ちゃんの電話で、私の中で何かが弾けた。
この作戦、翔子ちゃんに提案してみよう。
電話の続きで、私は翔子ちゃんに提案した。
翔子ちゃんは最初びっくりしたけど、すぐに「それ、いいかも!」って乗ってきた。
こうして、私たちのハーレム計画が始まったんだ。
◇◇◇
そして、その作戦の第一段階は非常に好調なスタートを切った。
翔くんが翔子ちゃんとエッチして、たまらなくなって私も参加して……。
自分の彼氏が他の女の子と睦み合っている。
それを間近で見るのがこんなに興奮するなんて、予想の遙か上をいく甘美だった。
そして迎えた2人きりのデートを終えて、翌朝の今日。
その余韻は、未だに私の体の中にマグマのような静かな高熱を駆け巡らせていた。
昨日は本当に最高だった。
翔くんがいつもより激しくて、ちょっと怖いくらいの目で私を抱いてくれるの……想像以上にドキドキした。
あれはきっと、翔子ちゃんとのプレイで生まれた戸惑いを、私にぶつけてくれたんだよね。
それが嬉しい。翔くんが私を信頼してくれてる証拠だもの。
翔くんはまだ気づいてないけど、私のこの属性……他の女の子と翔くんが絡んでるのを見ると、嫉妬より先に体が熱くなっちゃうってやつ、もう完全に覚醒しちゃってる。
(ああ、ダメ……思い出したらまた熱くなっちゃう)
最初は自分でもびっくりしたよ。
だって普通、恋人が他の子とイチャイチャしてたら怒るはずでしょ?
でも私は違う。むしろ「もっと見せて」って思っちゃう。
翔子ちゃんみたいな完璧美少女に翔くんが触れて、翔くんが気持ちよさそうな顔してるのを見ると、頭の中が真っ白になるくらい興奮しちゃうんだ。
本当は、最初から全部計画通り。
翔くんを独り占めしたい気持ちはもちろんあるけど……それ以上に、翔くんが翔子ちゃんみたいな美少女を抱いてる姿を見たら、どんなに興奮するだろうって想像しちゃって。
翔子ちゃんは昔から翔吾の話ばっかりしてたし、私だって幼馴染みとして翔吾のこと知ってるから、翔子ちゃんの気持ちは痛いほど分かった。
でも私、翔くんを手放したくない。
だから思ったの。
「だったら、3人でいいじゃん」って。
翔子ちゃんは「彼氏が寝取らせ癖」って嘘をついて彼を巻き込む。
悠真くんはもちろん架空。翔子ちゃんはまだ誰とも付き合ったことないし、もちろん処女。
全部、翔くんを自然にハーレムに落とすための作戦だった。
翔吾は常識人だから、急に「3人で付き合おう」なんて言ったら絶対引くでしょ?
だから少しずつ、少しずつ慣れさせて、最後に「もうこのままでいいよね」って言わせる作戦。
もちろん、罪悪感はある。嘘をついて騙してる訳だし、私を捨てて翔子ちゃんとお付合いをすることになる可能性だってあるし、2人とも嫌われちゃう可能性だって高い。
だけど、私は自分を抑えることができなかった。
翔くんが、複数の女の子を侍らせてる。それって、凄く素敵だもの。
翔くん、ごめんね。でももう少しだけ、この設定で遊ばせて。
最終的に3人で幸せになれるんだから。
翔くんが私たち二人を同時に抱きしめてくれる日が来るのを、楽しみにしてる。
◇◇◇
【side翔子】
高校2年の秋、私の日常が一変した日。
翔吾とレンたんが付き合い始めたって噂を聞いた瞬間、胸がざわついた。
最初は「へえ、翔吾も彼女できたんだ」くらいに思ってたのに、時間が経つごとに心がモヤモヤして、夜も眠れなくなった。
翔吾のこと、幼馴染みとして大好きだって思ってた。でもそれ以上じゃなかったはずなのに……レンたんみたいな可愛い子と翔吾が手を繋いで歩いてるのを想像したら、なんだか息苦しくて。
私、翔吾のこと、好きだったんだ。
それに気づいた時、涙が止まらなくなった。
気がついていた時には、全てが遅すぎた。
悪い事だって分かってる。レンたんは私の親友で、翔吾はレンたんの恋人だよ。横から割り込むなんて、絶対ダメだ。
でも、どうしていいか分からない。翔吾の笑顔を思い浮かべるだけで胸が痛くて、でも諦められない。
翔吾の彼女になれなくてもいいから、近くにいたい。触れたい。キスしたい……なんて考えが頭をよぎって、自分が怖くなった。
こんな気持ち抱えてるの、惨めだよ。
どうしよう。誰にも相談できない。レンたんに言ったら、友情壊れちゃうかも。
結局、我慢できなくて、レンたんに電話した。
声が震えて、最初は言葉が出なかった。
――「レンたん……ごめん。私、翔吾のこと、好きだったみたい」――
電話の向こうで、レンたんは静かに聞いてくれた。
泣きながら全部話した。翔吾のことが気になって仕方ないこと、悪い事だって分かってるのに、どうしたらいいか分からないこと。
レンたんは優しくて、「翔子ちゃんの気持ち、分かるよ」って言ってくれた。
それで少し落ち着いたけど、心の中はまだぐちゃぐちゃ。
レンたんがいなかったら、私はこの気持ちを抱え込んで、翔吾に変なことしちゃってたかも。
レンたん、ありがとう。あなたみたいな優しい子が翔吾の彼女でよかった……でも、それでも翔吾が欲しいよ。
こと恋愛に関して、自分の心がこんなにも脆くて愚かだとは知らなかった。
◇◇◇
その日から、私達はどうやったら関係性を破綻させずに翔吾に受け入れてもらえるかを相談し始めた。
その結果出した結論が、【架空の彼氏の寝取らせ癖に悩んでいるシチュ】というものだった。
レンたんは昔から、自分には変わった性癖があると告白してくれた。
それは奇跡的とも言える利害の一致を生み出す結果になった。
つまり、私は二番目として翔吾に受け入れてもらえる。
レンたんは、自分の大切な彼氏が他の女の子と睦み合っている姿を見られる。
そして自分の所に戻ってきて、より情熱的に自分を求めてもらえる。
翔吾はとても優しいけど、極々一般的な常識を持ったまともな人だから、普通のやり方では絶対に受け入れてもらえない。
だからこその、寝取らせ架空彼氏なのだ。
翔吾に嘘をつくことには変わらないし、不誠実極まりないのは2人とも分かってる。
だってこれは、好きな人を騙して自分達の都合の良いようにコントロールしようとしてるんだもの。
翔吾の気持ちを考えてない、エゴによる騙し討ちみたいなものだから。
下手をすれば2人とも彼を失ってしまうリスクすらあった。
だから、この秘密は翔吾に隠し通さないといけない。
架空の彼氏の存在なんて嘘は絶対に長持ちしないし、ボロを出さないうちに別れたことにして、存在を抹消してしまう必要がある。
そして、3人一緒に幸せになる。
それが私とレンたんの出した理想の未来の縮図だった。
◇◇◇
そして今、予行演習の翌朝。
私はベッドの中で、まだ昨夜の余韻に浸っていた。
翔吾の熱い手が私の体に触れた感触、唇が重なった瞬間、胸に押し当てられた柔らかくて力強い胸板……。
全部が夢みたいで、でも確かに起きたこと。
翔吾に触れられただけで、体が震えて、頭が真っ白になった。
処女の私が、あんなに気持ちいいなんて思ってもみなかった。
でも、最後まで「ここはダメ」って守ったのは正解だったと思う。
本番はもっと特別な日にしたい。レンたんと一緒に、翔吾に全部捧げたい。
スマホを手に取ると、レンたんから朝のLINEが来てた。
『翔子ちゃん、おはよ! 昨日は楽しかったね♡ 翔くんも満足そうだったよ』
レンたんはいつもこうやって、私を気遣ってくれる。
私が泣きながら相談したあの日から、レンたんは私の支えになってくれた。
悪いことだって分かってるのに、私のわがままを聞いてくれて、一緒に嘘をついてくれて……。
レンたんがいなかったら、私は今頃どうなってたんだろう。
翔吾を諦めて、ただの幼馴染みでいるしかなかったかも。
それか、友情を壊してでも翔吾に迫って、全部失ってたかも。
私、本当に脆いんだ。
翔吾のこと考えるだけで胸が締めつけられて、涙が出そうになる。
レンたんの優しさにすがってなければ、こんな作戦に乗れなかった。
レンたんが「みんな幸せになれるよ」って言ってくれるから、私も頑張れる。
翔吾に嘘をつくのは心が痛むけど、レンたんが一緒にいてくれるから耐えられる。
レンたん、ありがとう。
あなたがいなかったら、私は今も一人で泣いてたと思う。
これからも、レンたんに甘えちゃうかも。
翔吾を二人で愛して、3人で幸せになるまで。
その日が来るまで、私のこの脆い心を、レンたんの優しさで支えてほしい。
私は一番になれなくていい。なるべきじゃないし、そんな資格はない。
二番目でも、もしかしたら三番目や四番目になったっていい。
本命のレンたんだけじゃ物足りない時の捌け口だって構わない。
だけど、もしも理想が叶うとしたら、私は翔吾をレンたんと一緒に囲んで幸せになれる形を実現するために全力を尽くしたいと思った。
――――――
※後書き
はい、というわけで99.9%の人にはバレバレだと思いますが、悠真くん、存在しませんww
実はそうでなくとも第1話で既に答え言ってます。
【この物語の主要人物が揃った】とw
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