第11話 真実告白
土曜日の午後、俺は翔子の家に向かった。
最近の連絡で「大事な話があるから来て」って言われてたから、なんか胸騒ぎがした。
インターホンを押すと、翔子が少し緊張した顔でドアを開けた。
「翔吾……来てくれてありがとう。入って」
リビングに入ると、恋歌ちゃんがソファに座ってて、俺を見た瞬間立ち上がった。
「翔くん……来てくれたね」
二人の顔が真剣で、俺は自然に緊張した。
「大事な話って……何だ?」
翔子が俺の隣に座って、恋歌ちゃんが向かいに座る。
恋歌ちゃんが深呼吸して、最初に口を開いた。
「翔くん……私たち、翔くんに嘘をついてた」
俺は一瞬、言葉が頭に入ってこなかった。
「嘘……?」
翔子が目を伏せて、震える声で続けた。
「悠真くん……最初からいなかったの。全部、私たちの作戦だった」
俺は腕を組んで、二人の顔を交互に見た。
「ああ……そうじゃないかと思ってたよ」
声が少し低くなった。
やはりそうだったのか。どうりでおかしいと思った。
しかし、そうだとしたら、やはりその理由は……。
二人は顔を伏せて、申し訳なさそうに肩を震わせた。
恋歌ちゃんが声を詰まらせて言った。
「翔くん……本当にごめんね。私が言い出したの。翔子ちゃんが翔くんのこと好きだって知って、3人で一緒にいられるようにって……嘘をついちゃった」
翔子がすぐに恋歌をかばうように言った。
「レンたんは悪くないよ。全部私のワガママのせい。翔吾のこと好きだって気づいて、レンたんに相談して……レンたんが優しくて、作戦に乗ってくれたの」
俺はゆっくり息を吐いて、言葉を選んだ。
「最初はびっくりしたよ。寝取らせ設定で俺を巻き込んで、悠真くんが架空だったなんて……常識的に考えておかしいよな」
「翔くん……ごめん、ごめんなさい。私、3人でいるのが楽しくて……翔子ちゃんにフラれて欲しくなくて……でも翔くんは誠実な人だから、3人で付き合おうって言っても、きっと受け入れてもらえないと思ったから」
「うーん、そうだなぁ。結果論だけど、確かに最初にそう言われたらいきなり受け入れるのは難しかったかも……ただ、やっぱり嘘はつかないでほしかったかな」
「そうだよね……ごめんなさい。ちゃんと責任は取ります。私のこと嫌いになったら、お別れは受け入れます」
「私も、翔吾にはもう近づかないようにする」
「待て待て。慌てないで。怒ってるとは言ってないよ」
「え?」
俺は首を振って、二人の手をそれぞれ握った。
「皆で一緒に幸せになりたいからした事だろ? 俺のことが好きで、翔子の事も好きだからそうしたかった。 それがわかって、嬉しいよ」
「翔くん……」
「確かにやり方はズレていたかもしれない。でもその根幹が悪意じゃないなら、俺を想っての行動なら、これ以上は咎めないさ」
「翔くん…翔くんっ、うぇえん、ごめんなさい。ごめんなさい翔くん」
俺は恋歌ちゃんを抱きとめて頭を撫でる。
涙でシャツを濡らし、震える声で何度もごめんなさいを口にする彼女に愛しさが募った。
「翔子、お前の気持ち、気づいてたよ。熱っぽい目で俺を見てくるの、幼馴染みだからわかるさ。恋歌ちゃん、君のフォローも完璧すぎて、なんか変だと思ってた」
翔子が涙をこぼして、声を詰まらせた。
「翔吾……ごめんね。私、翔吾のこと大好きで……レンたんも大好きで……3人で一緒にいたくて……」
恋歌ちゃんが翔子の肩を抱いて、涙声で言った。
「ひくっ……翔くん、私も、翔子ちゃんの……気持ち知って、えぐっ、翔くんが翔子ちゃんを抱くの、見て……興奮しちゃう自分の気持ちもあって……ごめんね、ごめんね」
俺は二人の手を強く握って、静かに言った。
「わかったよ。3人で一緒にいる時間、俺も好きだ。悠真くんがいなかったのはびっくりだけど……確かに2人の作戦は大成功だよ」
「「え……?」」
「もう2人とずっと一緒にいたいって思うようになった。悠真くんが実在しなかったら、そうだったらいいなって、この間からずっと思ってたんだ」
「翔くん」
「本当に?」
「ああ。これからは嘘なしで、3人でいようぜ」
恋歌ちゃんが俺の胸に顔を埋めて、声を震わせた。
「翔くん……ありがとう。本当に、ありがとう」
翔子が俺の腕に抱きついて、涙声で言った。
「翔吾……私、幸せ……」
俺は二人を抱き返して、胸が熱くなった。
「俺もだよ。二人とも、俺の大事な人だから。今まではそれぞれ違う意味の大事だったけど、今日で同じになった」
「翔吾、嬉しいよ」
部屋が静かになって、三人の息が混じり合う。
恋歌ちゃんが俺の胸に顔を押しつけて、囁くように言った。
「翔くん……これからも、ずっと一緒にいてくれる?」
俺は二人の頭を優しく撫でて、はっきり答えた。
「当たり前だろ。俺は二人を離さない」
翔子が涙を拭いて、俺の目を見て微笑んだ。
「翔吾……私も、ずっと翔吾のそばにいるよ」
恋歌ちゃんが俺の手を握って、穏やかに言った。
「私たち、3人で幸せになろうね」
俺は二人を抱きしめて、胸の奥で確信した。
この関係、おかしいかもしれないけど……俺にとっては、これが本当の幸せだ。
夕陽が部屋をオレンジに染めて、3人で抱き合ってる姿が、なんだか永遠に感じた。
これから先、何があっても、俺はこの二人を守る。
嘘は終わった。
これからは、本物の3人でいく。
さて、ロマンチックとシリアスはこれで終いだ。こっからはいつもの調子に戻らせてもらおうか。
「よーし、そんじゃあとりあえず2人にはお仕置きしないとな!」
「「はうっ⁉」」
俺はその場立ち上がって腰に手を当てる。
いわゆる仁王立ちってやつだ。
2人を見下ろすようにして睨み付ける。
「まずは翔子!」
「は、はいっ」
「悠真くんはいなかった。つまりお前の彼氏はこの俺だ。そうだな?」
「しょ、翔吾、いいの? 私、彼女になんてなれると思ってない。二番目でも、都合の良い女でも」
「黙れおっさん美少女」
「酷っ⁉ けなしながら褒められたっ」
「たった今大切にする言ったろうが。卑屈は許さん。全力で俺を愛せよ? やるからには俺も全力で愛してやる」
「はう……なんか翔吾が厳しい。でも嬉しい♡」
「当たり前だ。まあ経緯はどうあれ、俺を好きなあまりの行動だとは理解したからそこを責めるつもりはない。もう一度聞くぞ。お前は俺の恋人だ。そうだな?」
「う、うん……♡ 私、翔吾の恋人になる」
「よし。だったらお付合い記念だ。今から処女よこせ。散々焦らされたんだ。もう遠慮も容赦もしないからな」
「うんっ♡ あげる♡ 翔吾に私の全部、あげるから! お願い、めちゃくちゃにして奪ってほしい♡」
「よーし。次に恋歌ちゃん」
「あうっ」
「経緯はどうあれ、嘘で俺を自分の都合の良い方向に動かそうとしたのは事実だ。3人で幸せであろうとしたと言えば聞こえはいいが、ようするに君自身の願望、言い方を変えればエゴが生み出した結果だ。そうだな?」
「うん。いいえ、はい、そうです。どんな罰でも受け入れます」
「よし、さしあたって、今日から君は……いや、お前のことは恋歌と呼ぶ。翔子と一緒に恋人になるんだ。扱いに差があっちゃよくないからな」
「はうぅん♡ 呼び捨て、なんかゾクゾクしちゃう……翔くんワイルドで素敵♡」
「とりあえず今から翔子とエッチするから、そこで見てろ。今日はご褒美エッチ無しだ。俺と翔子が浮気エッチしてる姿みて惨めな気持ちでオナニーしとけ。いや、いっそ椅子に縛り付けるか」
「それぇ、それご褒美になっちゃうよぉ」
「だからこそ良いんだろうが。せいぜい気分を高めておけ。俺がムラムラしたら抱いてやる。エッチなおねだりのセリフ考えておけよ」
「うん♡ いっぱいお仕置きして♡」
「よーしっ、そんじゃ始めるぞ翔子! 優しくなんてしてやんねぇから覚悟しろ」
「してぇ♡ 翔子のことめちゃくちゃにしてぇ♡」
そうして俺は翔子をベッドに押し倒し、組んず解れつの大運動会を開始したのであった。
幼馴染みのスイートヴァージンは甘美なる味がした。
当然寝取られスキーに目覚めたマイハニー恋歌ちゃん、いや恋歌は大いに盛り上がり、最後は3人で盛大にハッスルすることになる。
こうして嘘の寝取らせから始まった一連の騒動は、俺達らしいハチャメチャなエンディングを迎えることになったのだった。
※後書き※
次回、最終話 本日18:30に投稿します




