第10話 作戦会議~翔子と恋歌~
学校でのイチャイチャが日常になってから、数日後の夜。
恋歌の部屋で、二人はベッドに座ってスマホを覗き込んでいた。
翔子が少し慌てた顔で口を開いた。
「レンたん……翔吾、悠真くんの写真見ておかしいって思ったみたい。AIで作った合成写真だって、バレちゃうかも」
悠真くんの写真はAIツールを使った架空の人物であった。
背景を読み取り、そこに架空の男性AIを映り込ませる。
精度としてはかなりのものだったが、それでも見る人が見れば分かってしまう。
なぜなら【悠真くん】の画像は、翔子が翔吾を思いながら、できるだけ理想に近づけるように、それでいて翔吾にバレないようにデザインしたモデルだからだ。
あまりにも綺麗すぎるその写真は、ある意味で現実よりも美しすぎて違和感を覚えてしまうほどに。
恋歌はスマホを置いて、翔子の手を優しく握った。
「翔子ちゃん、落ち着いて。翔くん、まだ本気で疑ってるわけじゃないよ。ただ、心配してるだけだと思う」
翔子はため息をついて、膝を抱える。
「うん……わかってる。でも、翔吾の目、優しいのに鋭くて……、どうしよう」
恋歌は翔子の肩を抱き寄せて、穏やかに言った。
「翔子ちゃんの気持ち、分かるよ。私も翔くんに嘘をつき続けるの、すごく辛い。でも翔子ちゃんの脆い心を支えたい気持ちは本物だから……もう少しだけがんばろう」
翔子が涙目で恋歌を見る。
「レンたん……ごめんね。いつも私を支えてくれてるのに、私のせいでレンたんまで辛い思いさせてる」
恋歌は首を振って、優しく微笑んだ。
「謝らないで。翔子ちゃんが翔くんのこと好きだって気づいた時、私の属性も目覚めたんだよ。翔くんが翔子ちゃんを抱いてる姿を見たいって思っちゃって……それで作戦始めたんだから、私も同じ罪悪感持ってる」
翔子が少し顔を上げて恋歌の顔を見る。自分の責任なのに、恋歌が辛そうにしている姿を見て胸が締め付けられた。
「レンたんも……辛いんだね」
恋歌は頷いて、翔子の手を強く握った。
「うん。翔くんの優しさを裏切ってるみたいで、心が痛む。でも、翔くんが私たちを大事に思ってくれてる今、嘘を続けるのは限界かもって思うようになった。
翔子ちゃん、もう打ち明けようか? 翔くんに本当の気持ちを伝えて、ちゃんと向き合おう」
翔子は少し考えて、涙をこらえるように言った。
「私も……そうしたい。でも翔吾に嫌われちゃったらって、怖くて。レンたんがいてくれるから、ここまで来られたのに……」
恋歌は翔子の肩に頭を寄せて、優しく囁いた。
「翔くんは優しいよ。きっと受け止めてくれる。私たち二人とも、翔くんのこと大好きだから……嘘を終わりにして、本物の幸せになろう」
翔子が涙を拭いて、頷いた。
「うん……レンたん、ありがとう。明日、翔吾に話す勇気、出してみる」
恋歌が翔子の手を握り直して、穏やかに微笑んだ。
「一緒にがんばろうね。翔子ちゃんの気持ち、私も大事にしたいから」
翔子が少し声を震わせて言った。
「レンたん……もしも翔吾が受け入れてくれなかったら、どうしよう?」
恋歌は少し考えて、静かに言った。
「もしも受け入れてもらえなかったら、私も責任をとって翔くんと別れる」
翔子が目を丸くして、慌てて言った。
「それはダメだよ! レンたんが別れるなんて……」
恋歌は翔子の目を見て、優しく続ける。
「これは私が言い出した事だから。私達、最初から選択を間違えたのかもしれない」
翔子が涙目で恋歌の手を握り返す。
「最初から、素直に言えばよかったってこと?」
恋歌は少し目を伏せて、ゆっくり頷いた。
「分からない。分からないけど、私達の嘘で翔くんが傷ついたなら、その責任は取らないといけないから」
翔子が声を詰まらせて言った。
「レンたん……そんな、全部一人で背負わなくていいよ。私も……私が悪いんだから、責任を取るのは私だけでいい。翔吾と別れるなんて、絶対ダメ! それこそ翔吾が傷つくよ」
恋歌は翔子の言葉に、少し涙ぐんで微笑んだ。
「翔子ちゃん、ありがとう。でも翔くんの気持ちが一番大事だから……もし翔くんが私たちを受け入れられなかったら、私は翔くんの幸せのために、身を引くよ。翔子ちゃんをこれ以上傷つけたくないし、翔くんを困らせたくない」
翔子が強く首を振って。
「レンたん、そんなこと言わないで。私も翔吾のこと好きだけど、レンたんがいなかったらこの気持ちを抱え込んで壊れてたかも。レンたんの優しさが、私を支えてくれたんだよ。一緒に翔吾に伝えて、受け入れてもらえるようにがんばろう。もしダメなら……私も一緒に謝って、翔吾のそばから離れるよ」
恋歌は翔子の言葉に、優しく抱きしめた。
「翔子ちゃん……ありがとう。二人でがんばろうね。翔くんの優しさを信じて」
二人は軽く抱き合って、静かにスマホを閉じた。
翔吾の疑惑、バレそうになる前に、何とかかわした。
でも、二人は知らない。
翔吾の心の棘が、少しずつ大きくなってることを。
※後書き※
いよいよクライマックス。あと2話でエンディングです。
明日は2本投稿します。是非お楽しみに!!
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