8.魔王軍四天王ハラヤは、なんでネタバレしてんの?
アイカ達はピピン王国の城に入り、王の間についた。
玉座の間には、異様な静けさが漂っていた。
豪奢な王の椅子に、黒き装束の男がふんぞり返っている。
その名は、魔王軍四天王のひとり名はハラヤ。
ハラヤ「フフフ……よくぞ来たな、勇者どもよ」
低く響く笑い声が空気を震わせる。
ハラヤ「我が名は、魔王軍四天王・ハラヤ。ここまで辿り着いたことは褒めてやろう……だが」
ハラヤはゆっくりと手を掲げ、その指先がアイカとサクナへと向けられた。
ハラヤ「俺を視認した時点で……トラウマが蘇るぜ」
魔王軍四天王ハラヤの能力はネガティブ。ハラヤを視認すると過去のトラウマが蘇る。
その瞬間、サクナの膝が砕けるように地に落ちた。
そのまま頭を抱え、震えながら呟く。
サクナ「いや……いや……っ……!」
脳裏に焼き付く消えぬ過去。
サクナの瞳に宿るのは、恐怖と絶望。
だが、その隣にいたアイカは迷わず駆け出していた。
そして——
ドンッ!
振り抜かれた拳が、正面からハラヤの顔面を撃ち抜く。
ハラヤ「ぐっ……!? な……なぜ効かない……!?」
驚愕に歪むハラヤの顔。不思議がるハラヤ。
すぐになぜ効かないのか分かった。
アイカの目は——閉じられていた。
ハラヤ「……なるほど。目をつぶれば……視認できない、か」
ハラヤ「なんて、頭のいい人間なんだ。」
ハラヤは薄ら笑いを浮かべたまま唾を吐きかけた。
だが、それでもアイカの拳は止まらない。
アイカ「汚いんだよ」
アイカは怒りを抑えきれない。
アイカの怒涛の連打。力強く、迷いのない拳。
ハラヤの存在を打ち砕いてゆく。ハラヤは力尽きた。
やがて、ハラヤの体は淡い光の粒子となって散り始めた。
その最期に、ハラヤは微笑すら浮かべて言う。
ハラヤ「……よくぞ、私を倒した。だがなぁ……」
ハラヤ「我は、魔王軍最弱。」
アイカは袖で顔を拭い、サクナのもとへと駆け寄った。
ハラヤが何かを叫んでいるが……もはやどうでもよかった。
アイカ「サクナ!」
アイカはしゃがみ込み、サクナの両肩を強く掴む。
アイカ「もう大丈夫だ」「ハラヤは倒した。」
サクナの目に、光が戻っていた。
サクナ「ありがとう、アイカ……もう、大丈夫だよ」
サクナはアイカに微笑んだ。
こうして、魔王軍四天王ハラヤを討伐した。