5.魔王軍四天王メイメイは、なんで周りから慕われてんの?
ギィスたちの計画は見事に成功した。ギィスが魔王軍四天王メイメイを倒したのだ。
ギィスたち「やったぜ! メイメイを倒したぞ!」
歓声が上がり、勝利の喜びに満ちあふれていた。
だが、戦場の片隅で、メイメイの体は光の粒子となり、ゆっくりと空へと昇っていく。
金髪の長い髪をしたきれいなエルフがメイメイのそばにいき、涙を流した。
エルフ「消えないで、メイメイ……」
声が震え、胸にこみ上げる悲しみを抑えきれない。
背が低いががっしりした体格のドワーフもメイメイのそばに駆け寄る。
ドワーフ「あなたがいなければ、この国は……」
ドワーフ「人間の独裁国家になってしまう。」
視線を落とした。
メイメイは悲しそうな顔をした。
メイメイ「……みんな、ごめんね」
儚げに微笑みながら、声はかすかに震えていた。
そこにいたのと思えるぐらい小さい小人が叫んだ。
小人「あんたは魔王軍かもしれないけど、俺たちにとっては英雄だよ」
瞳に涙を浮かべながら、心からの言葉を贈る。
メイメイは涙を流す。
メイメイ「……ありがとう」
その言葉はまるで風に溶けるように優しく響いた。
そこへ、サクナが一歩前に出て問いかけた。
サクナ「魔王軍四天王メイメイ、一つ聞いていい?」
胸の中に湧き上がる疑問と優しさを込めて。
メイメイ「ええ、なあに?」
静かに応じ、空を見上げる。
サクナ「どうして、あなたは平和を求めたの?」
メイメイ「どうしてだろうなぁ……私は魔王様から生まれた存在。
でもね、魔王様は――きっと昔は人間に恋をしていたんだと思う」
メイメイ「今はもう、人間を憎んでいるかもしれない。
でも私は、その失われた心の一つ……なのかもしれない」
メイメイは目を閉じた。
翌日。
メイメイの光の粒子はなかなか成仏せず、ふわふわと漂い続けていた。
メイメイ「ここでひとつ。布団が吹っ飛んだ。」
どこか気まぐれで、ふざけたような口調。
エルフ「消えてください。」
苛立ちと焦りが混ざった声が響く。
2日後。
メイメイ「どうやら、ここまでのようだ。」
少し疲れたように呟く。
ドワーフ「うるさい。」
簡潔に一喝。
3日後。
メイメイはついに完全に消えた。
その直後、ギィスたちはドワーフ、エルフ、小人たちに襲いかかり始めた。
ギィス「ラララー王国は人間様のものだ!」
凶暴な声が響き渡る。
空から光の粒子が降り注ぎ、メイメイが復活する。
メイメイ「ブレス。」
口から炎の息を吐き出した。
ギィスは黒焦げになった。
怒り狂ったギィスはメイメイに斬りかかるが、メイメイは幽体のまま。攻撃はまったく効かない。
4日後。
ギィス「差別しません。成仏してください。」
嘲るように言う。
メイメイは静かに消えた。
ギィス「うそだよ!」
天から光の粒子が降ってくる。
メイメイは再び火のブレスを放つ。
ギィス「かんべんしてくれ」
アイカはあきれ顔でため息をついた。
アイカ「メイメイ、お前が成仏してくれないと魔王城の結界がとけないんだ」
メイメイ「ああ!大丈夫俺はもうなくなっている」
メイメイはそう答えた。
アイカ「サクナ。次の魔王の手下のところに行こうか。」
サクナ「そうだね。」




