20.囚われの聖女は、なんで救いを求めてんの? パート2
ある日の午後。
豪奢な絨毯の敷かれた広間で、ユウキュは優雅に──いや、騒がしく声を上げていた。
ユウキュ「ぶりっこお願いします!」
唐突な宣言。
自らを鼓舞するかのように、ユウキュは両手をパンパンッと打ち鳴らす。
ユウキュ「よ! よ! よっ!」
気合いのかけ声が響く。
目の前には、冷めた表情のマイがいた。
彼女は黙って片目をウインクする。
ユウキュ「いただきました……!」
ユウキュは荒い息を漏らした。
その顔には、なにかを手に入れた男の悦びが滲んでいた。
一方のマイは──
(反吐が出そう……)
心の中でそう呟いた。
だが、ユウキュの暴走は止まらない。
ユウキュ「マイマイ、胸の前で肘と肘、くっつけられる〜?」
無邪気な笑顔で尋ねる。
無言のまま、マイは肘と肘を合わせる。
それを見たユウキュは、目を輝かせた。
ユウキュ「肘と肘を合わせられるのは、〇乳の証拠だよッ!」
マイの眉が、ぴくりと跳ね上がった。
その瞳には、怒りが宿る。
ユウキュ「でも心配しないで!」
ユウキュはへらへらと笑った。
ユウキュ「〇乳はステータスだからっ!」
気持ちの悪い笑い声が部屋に響く。
マイは再び思った。
(反吐が出そう……)
そんな中、突然一人の部下が現れた。
部下「ユウキュ様、よろしいでしょうか。」
ユウキュ「……私の、人生で最も楽しい時間の真っ最中になんだ?」
部下「上玉を見つけましたぜ。」
その言葉に、ユウキュの瞳が見開かれる。
ユウキュ「なんだと!?」
興奮が爆発しそうだ。
マイは三度目の吐き気を堪えた。
(本気で出そう……)
コン、コン──
扉が静かにノックされ、開かれる。
そこに現れたのは、
透き通るような白い肌。
金色に輝く髪。
そして、サファイアのように澄んだ瞳。
息を呑むほどの美しさ。
ユウキュは、文字通り息を止めた。
そして次の瞬間、意識が戻るや否や、
もだえるように身をよじった。
ユウキュ「あああんっ、あ、あのぉ〜、お、お名前をぉぉお教えてくだしゃいぃ〜!」
テンパりきったユウキュは、なぜか自分のあそこを押さえていた。
美女は頬をほんのり染め、恥ずかしげに名乗った。
「サクナです。」
サクナは、清楚なメイド服に身を包み、頭を下げた。
その瞬間、ユウキュの口から漏れたのは、たったひとこと。
ユウキュ「……尊し(とうとし)……」
マイ「気持ち悪い」




