19.新しい仲間
その日、少年は一本の木の枝を手に担ぎり、草原を歩いていた。
鼻歌を歌いながら、彼は夢を語る。
「俺の名前はバイオレット。ビックになってやる……世界一ビックな男に!」
バイオレット、身長170cmの17歳の男の子。
青空の下、自信に満ちたその声は、まるで風に乗ってどこまでも届きそうだった。
次の瞬間——
謎の声「バイオレット、世界を救いなさい。」
どこからともなく響いた謎の声に、バイオレットは立ち止まった。
バイオレット「……だ、誰だ!?」
辺りを見回す彼の前に、一本の杖が空中からゆっくりと現れ、地面に突き刺さった。
謎の声「この先のマンマミーア村に行き、勇者に会い、仲間になるのです。」
バイオレットは目を見開いた。
バイオレット「勇者……!」
希望と興奮を胸に、彼はその場から駆け出した。
【マンマミーア村】にて
その頃、穏やかな風が吹くマンマミーア村。二人の旅人が村の広場に立っていた。
サクナ「今日はここで一泊しようか。」
アイカ「ああ、そうだなぁ。」
そこに、突如として現れた一人の少年——
バイオレット「うおおおおおおおお!」
バイオレットだった。彼はそのまま二人の前を全速力で駆け抜けていく。
その手には、謎めいた杖が握られていた。
その杖に目を留めたのは、アイカだった。
アイカ「……おい、そこの少年!」
呼び止められたバイオレットが立ち止まる。
アイカ「その杖……元勇者のものにそっくりだな。」
バイオレットは息を整えながら語った。
バイオレット「さっき、謎の声がしてさ。目の前にこの杖が現れたんだ。」
その時、彼の視線はサクナへと向けられる。
何かが、彼の中で弾けた。
(ドキンッ)
サクナ「あなたが……勇者ですか?」
バイオレットの視線はサクナに釘付けだった。
バイオレット「謎の声は言ったんだ。勇者と一緒に世界を救えって。……つまり、それは……!」
真剣な目でサクナを見つめながら、彼は口にする。
バイオレット「あなたと俺様が結婚することが、世界のしあわせなんだ!!」
沈黙——。
アイカ「おい、俺が勇者だ。」
隣で静かにしていたアイカが、呆れたようにツッコむ。
サクナ「私はサクナ!勇者の仲間よ。」
サクナは思わず笑ってしまいながら、自分の立場を明かした。
その言葉を聞いたバイオレットは、両手を広げて叫んだ。
バイオレット「マンマミーーーア!!!(なんてこった)」
魔法使いバイオレットが仲間になった。