18.囚われの聖女 パート1
聖女マイは魔王軍四天王ユウキュにとらわれていた
マイ「誰か、助けて――!」
声にならない叫びが、マイの心の奥深くからこぼれ落ちた。
マイは幼いころから、不思議な力を持っていた。手をかざせば傷が癒え、病が消えるその力は、やがて「聖女の奇跡」として人々に知れ渡った。そして――その力ゆえに、マイは聖女を祀る大教会へと"売られた"のだった。
生きるため、マイは多くの人々を癒してきた。微笑みながら、涙を飲み込んで。
誰かの希望であるために、心をすり減らしながら。
だが、ある日――
その教会は、突然現れた魔王軍四天王のひとり、「ユウキュ」によって占拠された。
男たちは労働力として地下へ。
女たちはユウキュの“美少女コレクション”として、豪奢な鑑賞室に飾られるように「管理」された。
マイも、その一人となった。
ユウキュ「ディふでぃふ……ふふふ……マイマイ、こちらにおいで」
玉座に座るユウキュが、薄気味悪い笑みを浮かべて手招きする。
マイ「……はい」
マイは、従うしかなかった。逆らえば、自分だけでなく他の少女たちにも危険が及ぶ。
――気持ち悪い。
心の中で吐き捨てた。
ユウキュ「いつものお願いだよ、マイマイ」
その瞬間、マイの瞳に怒りが灯る。
パァン――!
乾いた音が、鑑賞室に響いた。
マイは、ユウキュの頬を全力で平手打ちした。
マイ「……別に、あんたのことなんて好きじゃないんだからねっ!」
震える声で、そう言い放つマイ。
心が、今にも崩れそうだった。
しかし――
ユウキュ「……たまりませんなぁッ!!」
頬を押さえながらも、ユウキュはうっとりとした顔でうなずく。
ユウキュ「このツンとした拒絶! 魅力的すぎる……ッ!」
魔王軍四天王・ユウキュ。
悪夢のような日々の中、マイは再び心の中で叫んだ。
マイ「……誰か、助けて……!!」