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明かされる真実

前回のあらすじ

真実を求め、ベギレネスのもとへ向かうフェニックス。

研究室へと続く扉の前。心臓は激しく鼓動を打ち、言葉にならない思いが渦巻いていた。そしてついに、フェニックスはベギレウスに問いかける。

「俺に濡れ衣をかけたのってお前だよな。」


その言葉は、胸の奥の何かをぎゅっと締め付けた。ベギレネスは一瞬、言葉を失ったように沈黙した。せめて一言、否定してほしかった。心のどこかで、あいつじゃない。あいつはそんな事しないと信じこんでいた。違うと言ってくれることを願っていたのかもしれない。


「…それは…」「正直に話して欲しいんだ。別に怒っているわけじゃない。復讐しようとかも考えてない。ただ…知りたいんだ。真実を。」


俺の声はいつもより少し低く、震えていたかもしれない。それでも、真実を知る覚悟は決めていた。ベギレネスの肩が小さく震える。彼もまた、感情の渦の中で揺れているのが分かる。長い沈黙の後、奴はふっと笑った。その笑みはどこか壊れた光を帯びていた。


「…真実、ね。君は昔からそうだ。何でも真正面から受け止めて、まっすぐ突っ込んでくる。」「ベギレネス…」「だからこそ、ボクは…」


言葉を切り、机を蹴って立ち上がる。その目には怒りでも憎しみでもなく、どうしようもない苦しみが宿っていた。全身から震えが伝わるほどの切実さ。俺はただ、立ち尽くすしかなかった。


「フェニックス!ボクだって…君を憎んでなんかない!ただ…!ただ君が眩しかったんだよ!」


ベギレネスの瞳は揺れ、口元は歪む。声は震えていたが、その次の瞬間ふっと笑った。その笑みは、俺の知っている彼のものではなかった。どこか遠く、誰も知らない場所にいる人の笑み。


「…ベギレネス?」


その目は至極色に染まっていくようで、身体の震えは止まらなかった。まるで別人のようだ。少なからず、俺の知っているベギレウスではなかった。


「そうだよ。ボクが君に濡れ衣を着せたんだ。ここから消えてもらったんだ。簡単な話。上も馬鹿だよね。匿名で告発したら、簡単に信じ込んじゃったんだもん。証拠もうまいこと作ってさ、みんな信じちゃった。君の味方なんていなかった。」


覚悟していたはずなのに、胸が張り裂けそうに痛む。理解していたつもりだった。でも現実に直面すると、心の奥が冷たく締め付けられる。


「俺、嫌われてたんだ。」「別に嫌ってなんか…ゔっ…」

突然、ベギレネスが頭を抱え、苦しそうにうずくまった。俺は思わず駆け寄る。

「大丈夫か…」「ばーか。敵に優しくしてどうする?」「…俺は敵なんて思ってない。ベギレネスは友達だよ。大切な親友だよ。」「…なんで。なんでそんなこと言うんだよ。一思いにやれなくなるだろ。」


ポケットから取り出したナイフを、こちらに向ける。その刃先がわずかに光を反射し、緊張で空気が張り詰める。俺の心臓が跳ねる音が耳に響いた。


「今こっちが圧倒的優位な状態にあるのになんでそんな笑顔でいられるんだよ…!!」「それでお前が満足するなら、俺は受け入れるよ。親友が苦しんでたことに気づけなかった。俺も悪いんだから。」「はぁ…!!」


そっと目を閉じ、そのまま身を委ねる。しかし、痛みは一向に訪れず目を開ける。そこにはフレディたちが立っていた。


「…フレディ?」「…何してんのよあんた!このままだったら怪我してたわよ!」「グレース…?なんでここに。」「あなたの師匠から話は全部聞いた。やっぱりこいつが犯人だったのね。早く何とかしないと…!」「でも今僕たち何も持ってないよ。相手はナイフ持ってるし!」「むやみに行ったら怪我させられちゃうよ…」「でもどうしたら…」


今、ベギレネスはフレディの動きで抑えられている。だが、いつまで続くかわからない。どうすればいい。傷つけたくない。フレディたちのこともベギレネスのことも胸の奥が張り裂けそうだ。


「うわっ…!」「フレディ!」


フレディは突き飛ばされ、倒れ込む。その隙を突いて、ベギレネスがナイフを振り上げた。鋭い刃先が光を反射し、空気は張り詰める。


「やめろ…ベギレネス!」「ボクは…!」


ベギレネスの声には、誰にも理解されなかった過去の痛みが滲んでいる。






ボクは間違ってない。悪いのはみんな、理解してくれなかった人たちだ。




物心ついた頃には、わけのわからない主人のもとで働かされていた。朝早くから働かされ、寝るのは次の日付を回った頃。食料もほとんど与えられず、風呂にも入れさせてもらえなかった。逃げ出そうとした仲間が捕まり、酷い目に遭っていたことも知っていた。歯向かうこともできず、ただ耐える日々だった。

でも、ある日あいつが、ここで同じように働かされている友達のレオンがこう言った。

「一緒に逃げ出そう。」


捕まったら終わりの逃走。

仲間が捕まり罰を受けていたのを知っている以上、失敗はできない。二人で国境を目指した。そこまで行けば追いかけてこないだろうと思っていた。

夜中、主人が寝た隙に外に飛び出した。裸足で逃げ、足の裏は血だらけになった。やっと自由だと思えた。国境が見えて、明日から新しい人生が始まる!そう思った。

だが現実は残酷だった。誰が情報を漏らしたのか分からないが、主人が待ち構えていたのだ。


「リネル!お前だけでも逃げろ!」「レオン!」「振り返るな!行け!」


ボクは逃げた。レオンを置いて。それからのことは覚えていない。気づけば来訪者管理局にいて、気づけば捜査員になっていた。そこでフェニックス…ヒュラドと出会った。あいつはレオンに似ていた。明るくて、ボクにとってヒーローのような存在だった。

友達を失うことの苦しさを痛いほど理解しているのに、ボクは自ら幸せを手放した。身体が勝手に動き、フェニックスを告発してしまった。後悔してるかと聞かれたら、もちろんしてる。けどもう後戻りはできない。最後までやり抜くしかないんだ。

次回予告

ベギレネスの告白。その言葉は、フェニックスの胸に深い亀裂を残した。ナイフが振り下ろされる瞬間、時間が歪む。仲間の叫び、揺れる決断。

フェニックスがとった決断とは…

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