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おじいさん

前回のあらすじ

フェニから情報を得たフレディは、施設の奥に潜む「マントの人物」の噂を耳にする。

真相を確かめるべく単独で動くが、命を狙われ窮地に陥るフレディ。その時、駆けつけたのは再び集った仲間たちだった。

俺たちは牢屋に集まっていた。

これからのことについて語り合う。


「あのマントを被った誰かは怪しいことをしていた。でも、何を…」

「フレディ、なにか情報とかないの?ここにいちばん長くいるのはフレディだし。」

「色々調べてはいるけど、あのマントの人のことについては何も。でも、この前助けてもらったよ。道に迷ってた時教えてくれたんだ。」

「でも、なんでフレディの命を狙ったんだろう。」


ソフィアがそう呟く。確かに俺は噂が本当かどうか確かめに行っただけで、何か見たわけではない。ならどうして…


「…分からない。ただの偶然かもしれないし、俺自身に原因があるのかもしれない。」「フレディ…」


不安げに見つめてくる仲間たち。その視線が少し重い。


「とにかく、俺たちだけで考えてても埒があかない。明日、もう一度外の様子を探りに行こう。今度は俺一人じゃなくて、皆で。」


そう決意を口にしたとき、グレースが小さく笑った。

「やっと分かってきたじゃない。仲間ってのはそういうもんでしょ。一人で突っ走らないでよ。」

「もうわかったって。」


グレースに釘を刺された。前のおれなら間違えなくそうしてしまっていただろう。




「フレディ、1人で突っ走りすぎるなよ。」




…なんだろう。今のは。なにか懐かしい記憶のような…記憶を失う前の俺が言われた言葉だろうか?残念ながら思い出すことは出来なかった。




「明日、さっきの場所で観察しましょう。」

「これからどうする?」

「裏切り者についても調べないと。」

「フレディ、裏切り者についての情報なにかないの?」

「うーん…裏切り者は外部にこの組織内の情報を漏らしたみたいで、処刑されたって書いてあった。名前のところは黒く塗りつぶされててほとんど分からなかったよ。あと、チュラさんが記録人だったて。」

「チュラさん?」


3人はキョトンと首を傾げた。


「チュラさんは、俺の担当の人。本当はチュラメリダさんって言うんだけど長いから、俺がそう呼んでるだけ!」

「…その人もなにか関係あるかもね…」

「チュラさん?普通にいい人だと思うけどな…」

「人は見かけによらないわよ。優しいと思ってた人が突然豹変したりなんて、ざらにあるわ。」

「そうなのかな…いい人に見えるのに…そう言えばフェニはグレースたちは外で調査をしてるって言ってたけど、どうだったの?」

「大したこともなかったわ。強いて言うなら裏切り者はこの国では禁句の存在だってこと。」


グレースが淡々と口にしたその言葉に、空気が一気に冷えた気がした。


「外でも、そんなに大ごとなの?」「ええ。口にしただけで処罰されるくらいにはね。だから余計に、内部から漏れた情報ってのが重罪だったのよ。」「……じゃあ、その裏切り者が誰なのか、わざと隠してる可能性もあるんじゃ…」


俺は無意識に呟いていた。黒く塗りつぶされた名前。そこに記された誰かが、もし今も生きていたとしたら…


「フレディ?」「いや、なんでもない。」


胸の奥に得体の知れないざわめきが広がっていく。


「とりあえず今日はこの施設を回って情報を集めましょう。どこに何があるか分からないしね。」

「それなら、俺地図持ってるよ!これ!」


そこに置いておいた地図を取り出した。


「こんな地図どこで…」

「なんか親切なおじいさんに貰ったんだ!ここで働いてた人みたいで。」

「親切って…その人怪しくない?普通渡す?私たち今囚人みたいなもんなんだし…」

「わざわざ自分の隠し部屋まで案内してくれたんだ!」

「怪しさ満点だね。」


みんなが俺に向かってため息をこぼした。


「もう俺の事はいいじゃん!とにかくいろいろ回ろう。俺もまだ行ったことない場所あるし。」

「そうだね。」


俺たちは地図を持ち歩き出した。

この施設の事についてみんなに説明する。


「あっちに訓練場があって、それからあそこは食堂。ここのご飯すごいおいしいから、後でみんなで食べよう!」

「確かに最近あんまりおいしいもの食べてなかったし。いいんじゃない。」


俺の考えに、みんなはうんうんと首を振って頷いた。別の部屋を覗くと、人があまりいない書庫のような場所だった。


「本がたくさん…この中に何か情報がないかな?」

「でも、こんな鍵もかかってない誰でも入れるような場所に重要な情報を置くかな…?」

「確かに…重要なものって鍵のかかってる部屋とかそういう場所に置いてあるものだし…」

ドス。奥の方から音が聞こえた。

積み上げられた紙束の間から、椅子に座っている人影が見えた。


「あれ…」

俺が声をかけると、その人影がゆっくり顔を上げる。


「おや、君か。先日の…」

あの時、地図を渡してくれたおじいさんだった。


「おじいさん!なんでここに?」「この場所は人もあまりおらんし、暇つぶしにはちょうど良い場所なんじゃ。わしはこの施設の手伝い係として残っておるが、たいした仕事もなくてな…暇な時はここで本を読んでいるんだよ。」

「そうですね。みんなこの人地図をくれたおじいさんだよ。」


みんなにおじいさんのことを紹介した。おじいさんは立ってこちらに来て、俺たちをまじまじと観察し始めた。


「ほうほう…君の仲間かね?」

「はい!みんなで一緒に旅をしてるんです。」

「そうか。仲間がいるのは良いことじゃな。して、なぜこの部屋に来たのじゃ?この部屋はほとんど人が立ち入らないのじゃが…」

「この施設を色々と回ってたんですよ。何か情報がないかなって。」

「情報?」

「はい!裏ぎ…」

「ここにいる人たちの情報を探してるんです!」


グレースが慌てて、俺の言葉を遮った。


「最近この施設で怪しい人が出るって言う噂を聞いて、私たちそういう噂とか結構好きなので何か情報はないかなって。」

「施設の奥の方でマントを被った人がいるって言う噂なんですよ!」

「そうなのか…」


ノアも慌ててフォローしてくれた。


「情報ね…マントを被ったと言うのはわからないが、怪しい人物の記録はこの本に載ってると思うぞ。」


机の上の古い書類を俺に差し出した。


「この本にはたくさんの人の名前が載っているからね。かつてここに送り込まれてきた旅人たちの名前。他にもこんなことがあったなどの記録書となっている。」

「…なんでこんなもの持ってるんですか?」

「この記録書は重要でないと判断されたもの。いらないものとして、ここへ流れ着いた。それをわしが分けて保管しておるんじゃ。中には重要なものもあるのに、中途半端に仕事をしようって。それから…お前さんたち、裏切り者について探しているんだろう。」


その場の空気が一瞬について凍りついた。

次回予告

突如として「裏切り者」という言葉を口にした老人。

なぜ彼がその存在を知っているのか。

閉ざされた記録の中に眠る真実とは?

そして、仲間たちを揺るがす衝撃の一言が放たれる…

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