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忘却の世界で━奪われた記憶と終わらない約束  作者: 夜空るる
1章 ファンシービビット王国編
4/50

シャドウジョーカー

前回のあらすじ

琥珀村で少女たちが連れ去られる現場を目撃したフレディ。助けられなかった自分の無力さに悔しさを抱く中、「どんな悪にも裁きを下す」組織、シャドウジョーカーの噂を耳にする。少女を救うためフレディはシャドウジョーカーと接触する。

「絶対に2人を助ける」


シャドウジョーカーに依頼をすべく、村の裏道に来ていた。

裏道には倒れている人が大勢いて皆貴族にやられたのかと思うと無性に腹がたった。


歩いていると灯りが点る小屋をみつけその小屋に近づき、中を覗いた。


「集めた情報を整理しょう。まずはA班。」

「僕たちは動向を探るべく領主であるゴルドを尾行しました。ゴルドは家を出たあと街で買い物をし1度帰宅。その後再び家を出て村の裏道へ入っていきました。」

「裏道で何を?」

「何やら話し合いをしていました。話し相手は闇商人かと思われます。」


例の貴族、闇商人。聞こえてくる言葉は、不穏なものばかりで聞いているこっちまで気持ちが暗くなってしまう。


「他に情報は?」

「どうやらその貴族は屋敷で奴隷を管理しているとの事。連れてこられた人々はいずれも闇商人から買われた人たちで、一刻も早く解放しないと…」


さっき出会った少女達が男に追われていた理由は貴族もしくは闇商人に管理され、それから逃れるために…

そんなことを思っているとすぐそばでカタッ言う音がした。俺がすぐそばにあるゴミを蹴ってしまったらしい。


「そこに誰かいる!」


やばいと心の中で叫びながらすぐそばの物陰に身を潜めた。


「誰かに聞かれてた?だとしたらまずい…あたりを見て人がいないか確認して!」


シャドウジョーカーのメンバーと思わず人たちが次々と出てきて、俺を探し始める。

息を殺して見つからないように、影をひそめる。心臓がうるさい位に音を立てて周りの音もかき消すぐらい。

足音はどんどん近づいてきて、ついに俺の近くで止まってしまった。


「そこにいるんだよなぁ?」


隠れているのを見つかってしまった。

血の気がサーッと引いていくような感覚だった。額には嫌な汗がたまり、呼吸はどんどん浅くなっている。


「見つかった?…あなた、昼間の…」

「グレース知り合いか?」

「今日ものを盗まれてたからちょっと助けてあげただけ。」

「なるほどなぁ…で、そんなお前がなんでここにいるんだ?お前この村のもんじゃねーだろ。」


自分より年上の男性に詰め寄られて、なんと答えるべきかわからない。

見た目は大柄で力がありそうな感じだ。その隣には黄色い髪をサイドの低めの位置でお団子にしてくくっている、昼間にあった女性が立っていた。


「ここで何してるんだ?答えられないって事は何かやましいことでもしてたんじゃねーか?」

「そんなことが一切ないです!ただ俺は…」

「ただ?なんだよ?」


圧をかけられ沈黙を貫いていた。

すると見かねた女性が男性に話をしてくれた。


「オーウェン。落ち着いて。一度、彼らの話を聞きましょう。あなたが熱をかけてるせいで話しづらいよ。聞かれたらダメなことでもある?」

「…あなたたちに話が合ってきました。」


勇気を振り絞り、ここに来た理由を話した。


「話?何?個人的な話なら後にしてくれる?私たち今忙しいから。」

「シャドウジョーカーに依頼をしたいんです!」


女性はパッと目を見開き驚いた表情をしていた。男性はと言うといまだに少し不服そうな顔していて何か言いたそうだった。


「私たちに依頼をしに来たんだ。わかった。中に入って話はそれからよ。」

「グレース中に入れるのか?こいつ俺たちの話を盗み聞きしてたようなやつだぞ!」

「えぇ。お客さんに変わりはないんだから。オーウェンの話は無視してちょうだい。ついてきて。」

「はい!」


女性についていき、先程の小屋に入った。

こじんまりとした小屋で、中には机と椅子が2脚、そして壁中に地図や写真、武器などが飾られていた。地図の中には赤いペンでマークされているものも多く、何かに取り掛かっているんだろうという事は目に見えてわかった。そしてざっと数えて20名ほどの人がいた。

パン、パンと女性が手を叩くと小屋にいた人全員がこちら側に注目しており、まるで舞台俳優か何かでスポットに当たっているような気分だった。


「彼私たちに依頼があってきたんだって。今から彼の話を聞く。」

「リーダー外のものとは何だったんですか?」「あぁ。あれね…別になんともないわ。猫か何かがいただけじゃない?」


女性は俺がいたことを黙っていてくれた。盗み聞きをしていることがばれたら。きっとここにいる全員にボコボコにされてしまうのはわかっていることだ。

女性は俺を守るために嘘をついてくれたんだ。言われなくともなんとなくそんな気がした。

これは2脚あるうちの1つの椅子に座らせてもらい、向かいにあるもう一つの椅子に女性が座った。


「さて、話を聞かせてもらおうかしら。」

「その…シャドウジョーカーに依頼があってきました。力を貸して欲しいんです!2人の少女を助けるために!」

「少女?」

「はい!ついさっきのことなんですけど、歩いてたら少女にぶつかってしまって…」


先ほど起こったことをシャドウジョーカーのメンバー全員に話し、かつ依頼の内容を詳細に伝えた。

一通り説明が終わると、メンバーは少し顔をしかめていた。


「依頼はこんな感じです。お願いします。力を貸して欲しいんです!」

「それはできない!」

「えっ…?」


答えたのは先ほど俺を見つけた男性だ。


「なんで…なんでですか?」


理由を問うも一向に答えてくれない。

すると、女性が口を開きこう答えた。


「依頼内容はわかったわ。でもあなたに協力することはできないの。私たちがやってるのはあくまで受けた依頼をこなす…すなわち私たちだけで言われたことをする。協力と言う依頼については別物よ。」

「そんな…」


悔しくて仕方がなかった。せっかく見つけた頼みの綱はこうも、たやすくなくなってしまうとは。

そして、同時にこう思った。もし俺がこの村に来ていなければ⋯あそこでぶつからなければ、少女たちは逃げ切れたのだろうか?

俺にぶつかって時間をとられて、男たちに見つかってなのに、俺は何もできなくて…

どうしようもない自己嫌悪から抜け出せない。


「…あなたに協力することはできない。でもその依頼を私たちだけで受けることならできる。どう?あなたがそれでも良いのなら、私たちはこの依頼を引き受ける。」


女性はそう提案してくれた。それでも良い。最初はそう思った。少女たちが、それで助かるなら。

しかし少女を助けられなかったことについての責任が重くのしかかってきた。

この手で助けたい。何故かわからないけど。


「それはできない。自分の手で助けたいんだ。自己満足だって事はわかっている。少女たちの安全を優先すべきだ。それはわかっている。でも助けたいんだ!みんなを助けられなかった分も…!」

「…何言ってんだ!そんなの無理だ!帰ってもらうしかない。」

「ちょっと待って、オーウェン。」

「グレース?」

「あなた、どうしても自分の手で助けたいの?」


もちろんイエスだ。イエス以外の選択肢があるものか。俺は自信満々にそう答えた。


「なら、私たちの試験を受けてみて。」

「おい!グレース!」

「オーウェンは一旦黙ってて!シャドウジョーカーでやっていけるかどうかを試す試験を行う。ーカーでやって行けるかどうかを試験するの。身のこなしを見せてもらうわ。私たちは危険な場所にも行く。その時にちゃんと自分をそして周りを守れるかどうか、これが判断基準よ。」

「わかった。やり遂げてみせる。」

「オーウェンそれでいいわよね。」

「…わかったよ。」


俺の真剣な顔を見たからか男性も俺が試験を受けることに合意してくれたみたいだ。

そういえば、まだ名前を聞いていたかったことを思い出し、名前を聞いた。


「あの2人の名前は?」

「そういえばまだ言ってなかったわね。私はグレース。それでこっちがオーウェン。私はシャドウジョーカーのリーダーでオーウェンがサポート、つまり副リーダーをしてくれてるの。あなたの名前は?」

「俺はフレディって言います!よろしくお願いします!」

「フレディね。それじゃフレディ、明日の朝試験をするわ。準備しておくようにね。」

「はい!」




俺は小屋を出て、明日に備えることにした。夜はかなり深け満月が闇夜を照らしていた。明日のために何か準備をしようかと思ったが、これといって何をしたらいいのかわからない。

そのため明日に備えて寝ることにした。

胸の中で2人を助けに行くこと強く誓いながら。




朝日が昇り、夜が開けたことを告げる。約束通り朝、シャドウジョーカーの小屋に向かった。


「あら、おはよう。」

「おはようございます。」

「今から試験の会場に行くわ。ついてきて。」


グレースさんとオーウェンさんについて行き会場に行く。

会場について目に入ってきたのは平原に1部木が生えた場所があるどこにでもありそうな景色だ。よく見てみると、大きな木が1本や木材瓦礫それから土管やドラム缶などがある。

グレースさんは、俺に向き直り、目を合わせてこう言った。


「今から試験を始める。」

次回予告

ついに始まった、シャドウジョーカー加入のための試験。

追跡、罠、そして迫る制限時間

フレディは無事突破できるのか。

仲間のため、守るべきもののため、

少年は己の限界に挑む。戦いが今幕を開ける。

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