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忘却の世界で━奪われた記憶と終わらない約束  作者: 夜空るる
1章 ファンシービビット王国編
3/50

琥珀村

前回のあらすじ

ターフェアイト王国を旅立ち見つけたのは小さな村だった。フレディが出会うものとは。新たな冒険が今始まる。

「ここは…?」


俺の中ではずっと北に進んでいるつもりだ。しかし、ここがどこなのかわからない。ミナミは確か北に行くとグラジオラス邸があるって言っていたはず。

しかしあたりを見渡してもそれらしきものは見えず、ただただ家が立ち並んでいるだけだった。


「ミナミはずっと北に進んで行くって言ってたけど、俺方向音痴だしな…とにかく歩いていくか…」


どうすることもできずとにかく歩いてみた。もしかしたら奥のほうにグラジオラスがあるのではないかと言う淡い希望を抱きながら。

頭を悩ませながら進んでいると、すれ違った人に体をぶつけてしまった。


「あっ!すいません!」

「チッ…気おつけろよ…」


ぶつかった男性から睨まれてしまった。

鋭くこちらを見ており、なんだか心がひんやりと冷たくなる感じがした。

男性の手をよく見るとミナミ達からもらった袋を持っていた。

どうやらぶつかった時にとられてしまった。ミナミから貰った大切なものだ。心の底から怒りが込み上げてきた。


「ちょ!そこの人!俺の財布取りましたよね!」

「はぁ、何言ってんだおめぇ、証拠とかあんのか?」

「その袋は俺が大切な友達からもらったものなんです!返してください!」

「そんなのいくらでも言えるだろ。」


返してくれる気はないらしくどうしようかと頭を悩ませていると男性が去っていってしまった。呼び止めたがが止まってくれはしない。

何とかして取り替えさなければ。すると、こちらに向かって女性が近づいてきた。


「はい。これ、アンタのでしょ。」

「えっ…そうですけど…」

「どうせ盗られたんでしょ?まあ、この街でよくあることだから」

「ありがとうございます。」

「あんた、どこ置いてたの?それ。」

「この剣のすぐ隣に引っ掛けてたんですけど…」

「はぁ?バカなの?そりゃそりゃ盗られるに決まってるでしょ。この町治安悪いんだから気をつけないと。」

「そうなんだ…ありがとうございます。教えてくれて!」


治安が悪い街なのか…気をつけないと。教えてもらったことに感謝しつつ彼女に何かお礼をしたいと考えた。


「別に。それじゃ私は行くから。」

「あっ、ちょっと待って!何かお礼をさせてください!」

「お礼?別にいらないけど…じゃあ、あそこの店で奢ってくんない?」

「わかりました!」


言われた通り、店に入りご飯をおごることにした。

ついでに、オブリビオンの事についても聞いておきたい。


「じゃあこれとこれお願いします」

「はい!ごゆっくりどうぞ~」

「…ひとつ聞いてもいい?」

「なに?」

「その、オブリビオンについて知りたいんです。」

「オブリビオン?なんで?」

「まぁ色々あって…」




「…ふーん、別にいいよ。って言っても私も大したことは知らないけど。」


若干めんどくさそうな顔しながらだが、教えてくれるみたいだ。


「人の記憶を奪う怪物。招待は未だに謎のまま。最近はさらに活動が活発になってきて被害も拡大してる、ってことぐらいしか私は知らないよ。こんなこと誰に聞いてもわかると思うけど。」

「そっか…ありがとうございます。」

「別に…」


2人の間に気まずい沈黙が流れる。何とか空気を変えたくて話しかけてみたものの会話が続かず、結局ほとんどしゃべらず店を出てきてしまった。


「じゃあ私はこれで。」

「はい。あっ!」

「何?」

「助けてくれて本当にありがとうございました!」


何も言わず去って行ってしまった。これからどうしようか。日が暮れてきて辺りは暗くなってきている。人通りも少なくなっていた。


「今日はこの辺で宿でもとろうかな。」


宿を探そうと辺りをキョロキョロしていると、女の子が突然ぶつかってきた。


「きゃ!」

「あっ、大丈夫ですか?」

「お姉ちゃん!」

「だっ大丈夫です。ごめんなさい。前はよく見てなくて…」

「俺の方こそすいません。怪我ありませんか?」

「あっ、大丈夫ですのでお気になさらずっ…!」

「お姉ちゃん足腫れてるよ!」


少女の足を見ると赤く腫れ上がっており見るからに痛そうだ。


「手当しましょ!」

「大丈夫ですから!」

「でも…!」

「ほんとに大丈夫ですから…!早くにげなきゃ…!嫌だ…あの生活に戻るなんて…」


逃げなきゃ、とはどういう事だろうか?なにか追われている?


「お前ら!見つけたぞ!」

「はっ…!」

「何逃げてんだァァ?あぁ!?」


見るとそこには大柄な男性が2人おり1人が少女の髪を掴んで引っ張っていた。


「ごっごめんなさい…」

「ごめんなさい!謝るから…許してください…!お姉ちゃんに酷いことしないでください!」

「誰に口聞いてんだ!?謝りゃ済む話じゃねんだよ!!」


パチンと言う音が空に響く。


「やめてください!」


咄嗟に体が動き少女立ちを庇っていた。


「なんだぁ?てめぇは!」

「俺は通りすがりのものです!この人のこと離してください!」

「こいつらは俺の所有物なんだよ!!他人のお前にとやかくゆわれる筋合いはない!」

「でも!痛がってるじゃないですか!」

「そもそもこいつらが逃げ出したのが悪い!おい!行くぞ!」

「きゃっ!」

「わっ…!」


少女達は腕を捕まれ男に連れていかれそうになっている。助けに行こうと走るも、もう1人の男に邪魔されてなかなか助けに行けない。

すぐそばに手を伸ばせば届きそうなのに、あと一歩が届かない。もどかしい気持ちでいっぱいだ。


「ちょ!」

「これ以上着いてきたらコイツらがどうなってもいいのか〜?」


少女達を人質に取られ思うように動けない。今ここで動けば彼女達の身に何があるか分からない。俺はその場でとどまる選択をした。動きたいのに動けない。この現状を変えられない自分に腹が立つ。


「ちょっとは賢いやつじゃねぇか。おい行くぞ!」


そうして男達は少女を連れて行ってしまった。

少女達は見た感じ子供だった。子供をあんなに痛ぶって許せない。どうにかして助けないと…

しかし俺はこの街のことについて全然知らないし、アイツが誰なのかも分からない。

もし俺がこの街についてもっと詳しければ、もっと勇気があればあの子たちを助けられたかもしれない。

助けられなかった自分の無力さに打ちひしがれていた。

すると少し遠くの方で街の人たちの話し声が聞こえてきた。


「なぁ聞いたか?シャドウジョーカーの話。」

「聞いた聞いた!あれだろ、あのお偉い貴族を没落させたんだってな。」

「まぁ、やってる事がやってる事だったからな、没落させられても仕方ないみたいなところあるよな。」

「でもまぁすごいよな。依頼したらなんでもこなしちまうシャドウジョーカーって噂されるだけあるわ。」


シャドウジョーカー?なんでも依頼をこなしてくれるという話が聞こえた。

もしシャドウジョーカーの力を借りれば少女達を助けられるかもしれない。そう思いまちの人に話を聞きに行った。


「あの!その話詳しく聞かせてくれませんか!」

「ん?別にいいけどうしたんだなぁ兄ちゃん、そんなに慌てて。」

「それより、さっきの話!」


俺が慌てて聞くと街の人は焦らなくてもといいたげな表情で話をしてくれた。


「この町って結構治安良くないんだよ、貴族が統制してたり、闇商人がいたりで色々やばめところなんだよな。

それで身分が下の者は身分が上の者に何をされても何も出来ない。それがあまりにも不公平だろだからシャドウジョーカーっていう組織が現れたんだ。」


先程の男達はきっと貴族、もしくは闇商人に違いないということはわかった。少女達をいたぶっていたのもこの身分制度のせいか。そしてシャドウジョーカー。


「シャドウジョーカーは依頼をすればどんな相手にでも平等に罰を下してくれる。それが最近じゃ噂になってな。みんなシャドウジョーカーに依頼をすること増えているらしい。

俺の知っているのはこれぐらいかな。」


そしてそういったたちに制裁を与えてくれるシャドウジョーカーという存在があること。

有益な情報だ。


「なるほど…ありがとうございます!」

「なんか力になれてなら良かったわ。そんじゃあな。この辺り夜は危ないから気をつけろよ!」


そう言い街の人は離れた。

シャドウジョーカー…この組織の力を借りれば助けられるかもしれない。今の自分はあまりに無力だ。せめて、諦めたくない。



「あの2人を絶対助ける。」

次回予告

琥珀村出てあった2人の少女。フレディは無事少女たちを救うことが出来るのか。そしてシャドウジョーカーとは一体何なのか。

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