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オブリビオン

第1話です。

目を覚まし歩いて行くと着いた場所は、大きなお城がそびえ立つ街でした。



初めて投稿するのであまり仕様があまりわかっていませんが、よろしくお願いします。

陽の当たる丘の上、まるで時が止まったかのように静かな場所。

そこで1人、目が覚めた。


「ここ…どこ…?」


辺りを見回しても人の気配はなく、ただ風が草を撫でていた。

そして傍には剣が置かれていた。


「剣…?なんで…というかそもそもなんで俺はここで寝てるんだ…?」


この場所は戦いとは程遠いような平和な場所。にも関わらず剣があり他には何もない。

おかしいと思い辺りを見渡すがやはり何もない。

直前の記憶を辿ろうとするが、モヤがかかったように霞んで何も思い出すことができない。

なにか大切なものがぽっかり抜け落ちたような感覚。

ここに居ても何も変わらないと思い人を探すため立ち上がり、剣を持ちひたすらに歩きはじめた。



少し歩いていくとそこには大きな街が見えてきた。城が聳え立ち、活気に満ち溢れた街だ。


「きゃ!」

「わっ!」


ぼーっと歩いていると人にぶつかってしまった。


「ごめん!ちゃんと前を見れてなくて…」

「こっちこそごめん!私もちゃんと見えてなかったから、これ剣?ってことは君騎士なの?」

「そうなのかな…?実は記憶がなくて、とりあえずこの街に来てみたんだ。」

「もしかして、アイツらの仕業?オブリビオンって言ってね記憶を奪う怪物なの。」


オブリビオン。聞いたことがあるような言葉だった。

やはり頭の中にモヤがかかったように思い出せない。


「未だに正体は掴めてない。何が目的なのかも全くわからないし、それに急に出てきて急に消えてくの意味わかんない。」

「俺はそいつに記憶を奪われたのかな?」

「うーん、絶対とは言いきれないけど可能性はあるかもね。それに全部の記憶を奪われるってなかなか聞かないしな〜」


少女と話していると近くでドスッと重い荷物を置いたであろう音が聞こえてきた。

見ると、大柄な男性が大荷物を運んでいた。


「あっ!父さん!重いもの持っちゃダメってお医者さんにあれだけ言われたでしょ!ただでさえ腰に負担かけちゃダメなんだから!」

「すまん、すまん。これは母さんやミナミじゃ持ててないからな〜」

「無理しないで!私と母さん2人で運ぶからさ!」


どうやらこの男性は少女の父親らしい。


「良かったら俺運びますよ?」

「えっ、いいの?」

「君は誰だ?この街じゃ見ない顔だな。それにこの荷物はかなり重いんだ、君に運べるわけ…」

「よっと。」


荷物を軽々と持ち上げると2人は目を丸くして驚いた。


「重くないの?」

「はい、全然。」

「俺でも重い荷物を軽々と…じゃあ、そこに置いてくれ。」

「はい、分かりました。」


どうやら俺は相当力があるらしい。

記憶を失う前はなにか力仕事をしていたのだろうか?

荷物を置き終えると少女が天真爛漫な笑顔で話しかけてきた。


「ありがとう!ほんとに助かったよ!父さんすぐ無理しようとするから。」

「いえ。これぐらい」

「そういえば、何も覚えてないんだよね。じゃあ帰る場所もわからないんじゃない?」

「あ、そういえば…」


話をまとめると、少女の父親が腰を怪我してしまい少女と少女の母親だけじゃ力仕事は限界がある。

だから腰の怪我が治るまでの少しのあいだ仕事を手伝ってくれないかとの事。

また、手伝うお礼として家に泊まらせてくれるとの事。


「仕事を手伝うことは構いませんけど…泊まるなんて迷惑じゃ…」

「迷惑なんかじゃないよ!むしろ大歓迎お願いしたいぐらい!いいよね父さん!」

「確かにあれだけの力があればな、俺が腰をやってる間、お願いできないか?まぁ、あと1週間もすれば治ると思うんだが。」

「俺こそよろしくお願いします!」

「よし!じゃあ決まりね!そうだ!この街案内しようか!見たら何か思い出すかもよ!さっ!行こ!そういえばまだ名前言ってなかったね!私はミナミ。ミナミ・ラミレスよろしくね!あなたの名前は?」


名前⋯記憶が何も無い今名前すら覚えていない。

頭の中にある情報を巡り合わせて見るものの、これといった情報はなくどうしようかと悩んだ。




「フレディ」




頭の中に浮かんだひとつの言葉


「お、俺はフレディって言います!」


「名前は覚えてるんだ。」

「何故か名前だけ、頭の中で誰かに呼びかけられたような気がして。」

「そうなんだ…あとさん付けしないでいいし、敬語もつかわないでいいよ!見た感じ同い年っぽいし!」


彼女からの期待の眼差しがこちらをキラキラと見ている。


「わかった。よろしくね、ミナミ。」

「じゃあ早速案内するね!」

「えっ!ちょ!」




「ここはすっごく美味しい食べ物屋さん!あそこが病院!で、もうちょと行くとね服屋があってね。」


急に手を引かれ言われるがまま街の様々な場所に連れ回された。

初めて来た場所なのにまるで以前来たようなそんな不思議な感覚だ。


「フレディおなかすいてない?なんか食べる?」

「でも俺今お金ないし…」

「君!良かったらこれ食わねぇか?できたてのパンだ!」


パン屋の店主に声をかけられた。

手には香ばしい匂いのパンがあり、匂いを嗅ぐだけでお腹がすごく減ってきた。


「これ家で1番人気のパンなんだぜ!」

「俺お金…」

「試食だよ。試食。とりあえず食ってみなって!」

「じゃあいただきます…」


店主に勧められるがまま1口かじる。

すると口の中いっぱいにほのかな甘さと香ばしさが広がった。

外はカリカリ中はふわふわのとても美味しいパンだ。


「ほらお嬢ちゃんも」

「いいんですか!ありがとうございます!う〜ん!すごく美味しい!」


2人で夢中になって頬張っていると、パン屋の奥から店主の奥さんと思わしき人がでてきた。


「あなたまたパン配ってたの?」

「あぁ!家の美味しいパンをたくさんの人に食べてもらいたくてな!」

「も〜ごめんなさいね…この人に無理に押し付けられたんじゃない?」

「いえ、ちょうどお腹すいてましたから。」

「お父さんのパン美味しいよ!」

「ほらロバートもこう言ってることだしさ!」

「そうやってまたすぐに調子に乗る。」


2人は少し険悪なムードになっていた。


「でもこのパンすっごい美味しいです!」

「あらホント?なら良かったわ。」


俺がゆっくりと食べている隣で、ミナミは店主の好意でパンを2個おかわりしていた。

よくそんなに食べれるなーと素直に驚いた。


「ご馳走様でした。」

「また来てくれよな。」

「はい!もちろん!また来ます!」

「それじゃね」

「バイバイー!」


パン屋のご家族に手を振りその場をあとにした。


「美味しかったね〜」

「うん。」

「じゃあ街の案内を…」

「ねぇねぇまたオブリビオンが出たらしいわよ。」

「あらまた?最近多いわよね。怖いわ…子供たちにも言っておかないと…」


街の人は不安の声に溢れていた。

この街はかなり活気が溢れている。しかし陰では暗くどんよりとした空気がいやでも感じ取れた。


「またオブリビオンか…」

「オブリビオンって街によく現れるの?」

「うん。前までは月に2回ぐらいだったんだけど最近は週に3回以上現れるようになって…」

「そう…なんだ…」

「この街でも記憶奪われた人もかなり居て私の知り合いとかも被害にあってる人がいて。誰かの記憶を奪わないと消えないの。だから必ず1人犠牲者が出る。それに1度記憶を奪った人からは、もう記憶を取らないの、賢いのかなんなのか分からないんだけど…」


ミナミの話を聞きなんと声をかけたらいいか分からなかった。

みんな楽しそうに過ごしているにもかかわらず人々は恐怖に脅えながら生活をしている。

そんな事実を知りやるせない気持ちになった。


「なんかごめんね、暗い雰囲気にしちゃって。」

「大丈夫だよ。」

「よし!じゃあ気を取り直して!」

「きゃぁぁぁ〜!!!!」


街中を包むような大きな声が響いた。


「オブリビオン!オブリビオンが出たわ!」

「オブリビオン?!早く逃げなきゃ!」


どうやら街の奥でオブリビオンが出たらしい。どんどん人が逃げてきている。


「私たちも逃げよ!」

「うん!」

「ロバート!おいどこだ!返事をしてくれ!」

「どうしたんですか?」

「ロバート、ロバートがいなくなってしまって、俺の息子なんだがさっき一緒にいた。」


店主ははぐれてしまった。ロバートくんを探してる。

わかった途端体が勝手に動いて駆け出していた。


「どうしたの!早く逃げよ!」

「先に行って!あとから行くから!」

「ちょ!フレディ!」


人混みをかき分け、2人を必死で探していた。

走っていくと段々と人は少なくなっていき、黒い体に紫の光を放つ大きな生物がいた。

言葉では言い表せられないような不気味で見られただけで、体が凍りそうだった。

そしてその後ろにはパン屋の奥さんとロバートくんがいた。


「わぁぁん〜おかぁ〜さん…!怖いよ…!」

「大丈夫よ。ロバート!お母さんがついてるわ…!」


2人は一刻も早く助けなくてはいけない。

そう思ったが、体が思うように動かない。

あの気味の悪い生物から2人をどうやって助けたらいいか思いつかない。

それ以上に、恐怖で足がすくんで動かない。

しかし、オブリビオンの手は、パン屋の奥さんの目の前にありいっときの猶予も許さない状態。


「ロバート!お母さんを置いて逃げなさい!」

「そんなことできないよ…!僕怖い…」

「あっ…!」


2人を助けなきゃ…!


「2人から離れろ!」


硬直していた体を何とか動かしオブリビオンに体当たりをした。

すると間一髪のところで2人を助けることに成功した。


「あなたさっきの!」

「お兄さん!」

「早く逃げてください!」

「でも⋯」

「俺は大丈夫ですから!」

「ありがとう。あなたも無事でいてね。ロバート行くわよ!」


そう言って、2人が無事に去り安心したのもつかの間、目の前にいる怪物にどう立ち向かおうか思考を巡らせていた。


「フレディ!」

「ミナミ!?危ないから来ちゃダメだよ!早く安全な場所へ!」

「フレディだって危ないでしょ!突然走り出しちゃって心配したんだから。」

「ごめん…それは悪かったと思ってるけど…」

「それはって何!」

「ウォォォン!」


ミナミと少し争いになっていると後ろでオブリビオンが叫んだ。

それと同時に襲いかかってきた。


「こんなこと言ってる場合じゃない…」

「どうすればいいの…」




「フレディ剣を使え。あいつ斬れ。」




頭の中に言葉が響いた。

剣を使え?腰元に剣があったのを思い出し咄嗟にそれを持った。

なんだかとても手に馴染む。


「俺なら…やれる。」


オブリビオンに一歩ずつ近づき着実に距離を詰めていく。

相手の死角に回り込み攻撃の算段を整える。

オブリビオンも負けてたまるかと言わんばかりに、フレディの方へ手を伸ばしてきた。

体が大きい分避けるのも一苦労。

何とか反撃の隙を見計らって一撃でもいいから、攻撃を与えたいところだった。

しばらく交戦していると腕を伸ばした瞬間にわずかながら隙ができることがわかった。

その隙を狙ってやるしかない!


タイミングを見てからって…!


「今だ!」


ガシュッという斬撃音がした。

振り返るとオブリビオンは、空中に淡い光を放ちながら塵となって消えていった。


「よかった…ミナミ無事?」

「うん。私は大丈夫。ねぇフレディ。フレディって何者なの?」

次回

フレディがする新たな決意。そして出会う人とは。


土曜日更新予定です。

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