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異世界転移③地霊の加護



スニーカーのゴムが焼ける不快な匂い。


物理法則に(のっと)れば、美咲よりやや小柄な【鍛冶師】は、蹴りの衝撃と鎧の重さによって後ろに倒れていなければおかしい。


具足も何も無い、ほぼ素足の状態での回し蹴りでは、金属製の鎧や兜に当たれば足が使い物にならなくなる。


だから鎧の胴体部分への前蹴りで、小鬼の体制を崩すのが最適解。


美咲は気付いていないが無自覚な【言霊】による【願い】で、既に効果は切れかけていたとは言え身体能力が向上していた。


勢いを乗せた渾身の前蹴り、美咲の方が小鬼よりも頭一つ大きく体格差も有る…だが…


突然右足が燃え上がる。


正確には鎧に触れた足裏、スニーカーのゴムが燃え溶け、そこから渦を巻くように炎がグルグルと身体に向かって巻き付くが如く、それはまるで生き物の様に…


遠目から見れば足に巻き付く炎の蛇の如く見えたかも知れない。


「嫌ぁぁ!!!火が?!アァァァァァッ!」


一瞬…炎の蛇に右脚から腰にまで巻き付かれ、火傷の痛みとホットパンツに燃え移った炎を消し止めようと美咲は地面の上を転がりまわる。


「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」


【鍛冶師】は蹴りの勢いで転ぶ事も無く、あれ程の勢いの蹴りにも微動だにしない。


少し揺れたぐらいで、その場から動いてすらいない。


【鍛冶師】は防御の構えを解かずに、のたうち回る現人のメスが立ち上がり何らかのアクションを起こすのを待っているのか?


そのナイフで隠された下の表情は読み取れない。


「ハァ…ハァ…痛ぃ…熱……火傷が……今のは何…?」


地面の上で転げ回り、何とか炎は消し止めたが、右足の靴や靴下は所々焦げ、地肌には何かが巻き付いた様な火傷の跡が出来ている。


混乱しながらも、震えながら、ふらふらと立ち上がろうとしたその時だった。


目の前の小鬼が金属製の鎧を着用しているとは思えない身軽さで、体勢を低くしながら青く光る刃を煌めかせるのを、混乱しながらもかろうじて視認出来た。


鎧や具足をガチャつかせて重そうにゆっくりと歩いて居たのは油断を誘う為のフェイクだったらしい。


その狡猾さは人間と遜色ない、いや、まるで人間の様に姑息だと言うべきだろうか?


対応しようと足掻くが、何故か身体が鉛の如く重く反応が出来なかった。


ナイフの刃は、すれ違いざまに美咲の軸足、左足の足首を…


恐らくはアキレス腱を狙っての一撃だったのだろうが、少し狙いを逸れて脹脛ふくらはぎの部分に赤色の筋が付き、皮膚が裂けてそのの下の赤い肉が見える、切断部分が赤く滲み、血液が流れ出す。


「なっ!………ああっ!」


右足の火傷の痛みと左足の裂傷と流血…そして…


先程までの無敵になったと誤認する様な、万能感と溢れる力、無限の気力は霧散した。


急激な疲労感と四肢の痛み、火傷と出血、強烈な喉の渇き、水分が足りずヒリ付く喉を抑えながら、その場に膝を着き…そのままうつ伏せに顔面から倒れる。


何故か声が出ないほどに身体が重く、口を閉じる事すら出来無い。


微かに感じる土の味。


火傷の痛みのお陰で、意識は失わずに済んでいる。…が…


(……あ……れ?……なんで……力が入らない……火傷がヒリヒリする…血が流れたから?……でも……見えなかった…いつ切られたの?……音が聞こえなかった…あぁ…痛いよぉ……起きなきゃ……連れて行かれて…あの生き物に犯され…身体が動かない…声が…誰か助け…)


だが、口に出たのは微かな呻きのみ。


「た…ぁ…ぁ…」


絶体絶命の状況で数日前に見せて貰った、タウン誌の編集長、尾形の持っていた古い書物の事を思い出す。


アレが本当にあった出来事なら、確かな年代は分からないが、恐らく八百年〜千年以上前にあの地域に小鬼達が何らかの方法で転移して騒動を起こしたのは間違い無いだろう。


小似呼(かっこ)村に関する伝承が正しければ…


そんな事が実際にあったのかは分からない、あの場に居た美咲達がそう考察しただけでしかない。


産まれて来た者達に関する事にまでは書物では言及されていなかった。


あの時はそんな事が有ったら面白い、本当に鬼の子を身籠った女達が隠れ住んだのなら…と


そんな風に若干の気持ち悪さと、不思議な話に胸が躍るワクワク感さえ感じていた。


あの時は港湾大学のサークル活動に参加するのも意外と楽しい…それだけだった。


まさか自分が…その…大昔の女達と同じ目にあうなどとは考えてもいなかった。


危機感は有るが身体は鉛の如く重い……


だが…美咲の危機感に反して小鬼達にはそんなつもりは毛頭無い。


離れた場所から美咲には聞き取れない言葉で怒声が飛ぶ。


「バッ!コトジャ!ザセ!」


(早く言霊使いを殺せ!)


【鍛冶師】は少々残念そうにナイフを振り回しながら、弱々しく(うめ)く現人のメスに近づく。


彼にしてみれば現人のメスには然程興味は無い、メスは獣人の方が好みである。


彼の目の前で微かに蠢く肉塊の役割は、命を奪う前に己が鍛えた武器の性能を存分に試しつつ、皮を裂き…肉を切り…


このメスが鳴き叫ぶのを楽しみたかった…が、族長が急かすなら仕方無い。


周囲を取り囲むギャラリーからわっと歓声があがる。


それには多少の非難の響きも混じってはいたが、族長の命令である、仕方あるまい。


大抵は食欲、或いは残忍なショーに沸く観衆の様な雰囲気で有る、非難の声を上げた者も、可哀想だから…では無いのは間違い無い。


恐らくは勿体ない…であろうか?


それに、切り刻み甲斐がありそうな長髪のオスが残っている、そちらで楽しめば良いだけだ。


美咲に近づいた【鍛冶師】が両手でナイフを逆さに構え…背中に向かって刃を突き下ろす!



 ◆ ◆ ◆



一体目の前で何が起こっているのか?


ほんの一瞬前まで勢いに乗っていた筈の美咲は、今や満身創痍。


周囲の小鬼達は仲間の華麗な勝利に喝采を送り…


だが続いてボスらしき小鬼が何か叫ぶと、あからさまに不満の声を上げる者もたらほらと確認出来るが…


大抵の小鬼達は流血ショーの始まりに沸騰している。


(何故??突然…今、足が燃え上がった?…それに炎の蛇?………違う!!………美咲ちゃんを助けるんだ!……でも…何も出来ない俺が飛び出した所で何になる?…でも…どちらにしろコイツらに(なぶ)り殺しにされるならいっそ…最後に……待て待て!良く考えろ正人!)


チラリと、焦りながらも、既に涙も枯れたのか?


腰が抜けてその場にへたり込み青い顔で小刻みに震える涼夏を見る。


(そうだ!鈴本さんを連れて逃げるんだ!そう…仕方無いんだ…鈴本さんを守らなきゃ……英二と美咲ちゃんには悪いけど……囲みに穴でも有れば…)


涼夏を守る。


そんな考えは単なる誤魔化しに過ぎない、サークルに入って最初の頃は近くに居る唯一の女子でも有り…


何度か…あわよくば…などと考えて、それとなくデートに誘ってみた事もあったが、知れば知る程に恋人にしようなどと言う考えは霧散した。


いつもジャージで色気も無く、もっさりした地味な見た目に反してペラペラと早口で自分の意見をまくし立てる、気が小さい割に持論を語る時は妙に押しが強い…


それなりに仲良くはなれたが、意見が対立する事が多く、所詮サークル仲間の域を出ない。


恐らく…お互いに「この人は無い」と感じているに違いない。


だから、卑怯では有るが二人を見捨ててこの場から逃げる理由が欲しい。


涼夏を理由に、度胸の無い自分を誤魔化しているだけに過ぎない。


だが…周囲をぐるりと見回しても、何処にも逃げれる隙は無い、そもそも逃げたとて何処とも知れぬ異世界でどうしようと言うのか?


膝が笑って逃げる事もおぼつかないと言うのに。


(そうだよ…俺は卑怯者だよ…あの小柄な英二だって美咲ちゃんを守る為に………俺は…俺は…)


そうこうしている間に鎧の小鬼が美咲にゆっくりと近付きナイフを逆手に構え…


(あぁ…もう駄目だ…美咲ちゃんが…終わりだ…俺も何も出来ない…足が震えて…逃げる事すら…)


小鬼が美咲の背にナイフを突き立てようと振り下ろす…


その瞬間…


あれ程に騒がしかった周囲の雑音が消えた。


いや、周囲の小鬼達が邪悪な顔でニヤニヤと口を開けたままで停止している。


鎧の小鬼がナイフを突き立てようと振り下ろしている途中で固まっている。


ふと後を振り返れば涼夏が、緊張と恐怖に耐えきれずに白目を剥いて背中から倒れそうになって微妙な角度で停止している。


「なっ!?なんだっ?!……時が止まっている?……のか?」


不意に…目の前に人の形の白い霧の様なものが現れ、徐々に人間の形を取って行く。


やがてそれは白いマント羽織った髪の長い男の形を取る、顔は…全てが白いので表情は良く分からない。


『あ〜あ〜聞こえるかな?僕の言葉分かるよね?』


ややのんびりと、間延びした男の声、異常な事態に驚き、半ば悲鳴をあげる様に叫ぶ。


「うわぁっ!霧が喋った!!」


だが霧男は、そんな正人の驚きには一切取り合わずに話を続ける。


「君は本当に情けない男だねぇ?友達を見捨てて逃げるって?そっちの女の子ダシに使ってぇ?……がっかりだよ…」


敵では無い様だが、いきなりの非難、確かにその通りで、図星を突かれ怒るべきか嘆くべきなのか?


「なっ!そんなんじゃ!…………あぁ!…そうだよ!……でもっ!この状況で俺に何が出来るって言うんだ!俺だって二人を助けたいさ!化け物か神様か知らないけど、わざわざ時間止めて説教でもしに来たってのかよ!」


霧男の表情は一切読み取れない、返ってきた言葉は更なる説教でも同情や謝罪でも無く…だた興味深そうにこちらを観察しているが如く…実験動物に対しての見解を述べる学者でもあるかの様に…


「ふぅ〜ん…この時点の精神性の低さは……そっかぁ…頑張ったんだなぁ…まぁ…これからって事なのかな?」


「な、なんだよ…意味が分からない……今にもみんな死にそうだってのに…」


霧男の声色が変わり、間延びした呑気な調子から凛とした雰囲気に変わる。


「人は死なないよ、肉体が朽ち、霊体が霧散しようが魂は残り続ける、肉体が朽ちて終わりになる程、楽じゃ無いよ?兄弟よ…魂を持つに至った生物は終わらない、生きて抗う方が遥かに楽であると知れ、」


「へ?兄弟?神様?化け物と?魂?霊体?何なんだよ…いきなり…」


何故に兄弟なのか?ヤクザ者が良く使うが…彼?の雰囲気やニュアンスは全く違う、正人の疑問には答えずに霧男は続ける。


「僕は神様でも化け物でも無いよ、良いかい?僕がそこに行くまで持ち堪えてくれ、他の誰も頼れない、君がやるしか無いんだ、今からその方法を教える、まだ時間は気にしなくて良い、時間なんて単なる設定でしか無いからね、とは言え君等に取っては違うだろうし、別に時間を止めてるんじゃ無いけど、今の自分の状態を見てみなよ」


そう言われて気づく、自分の手足が透けて地面に転がる小石が見える…ふと…横を見れば焦り顔の自分が固まっている。


「うわっ!これは!……幽体離脱?って奴か…」


「ん…ちょっと違うけど…君の意識を僕の世界に呼び込んだんだ、体外離脱なら確かに時の流れは違うだろうけど、肉体とリンクしている状態ではそう変わらない、肉体のままでは時と言う設定を無視する事は出来ない、でも意識なら別さ、僕の意識世界、さしずめ閉じた空間ってとこかな?だから周囲の者には知覚出来ないし、こちらも外の世界に影響を与える事は出来ない、僕がそちらに到着しない限りはね…」


今すぐには助けられない、と言う事をちゃんと含んだ言葉で正人の逃げ道を塞ぐ。


「じゃあ…この閉じた空間から出ても…美咲ちゃんは助けられない……って事か……英二は意識が無いし…鈴本さんは……今…気絶したところ……こんなのどうしようも無いじゃ無いか……」


「そうじゃ無いだろ?僕ががっかりしたのは自分の事を棚に上げて、言い訳染みた理由を作って逃げる算段をするその心根さ、全て試してどうにもならないから切り捨てるってなら僕も文句は言わないよ?申し訳無いんだけど、愚痴を零すのは後にしてもらって、閉じた空間の中でお互いの思考を加速させてるから止まってるように見えるだろうけどね、分かんないと思うけどちょっとづづ時間は動いてる、設定とは言ったけど、あくまで魂の話でね、肉体と霊体はその影響を受けるからね、それに…君はちゃんと試練をクリア出来る」


この霧男は何故無責任に、そんな事が言えるのだろうか?文句を言いたくなったがぐっと堪え、知恵を借りる事にした。


「わ…分かった…もう愚痴は言わない…俺はどうすれば良い?…この石斧で何とか…」


「うん、適正…と言うかおあつらえ向きの加護も有る、触媒には悪く無いけど、君にはまだ少し早いかな?接近戦も他の生き物を傷付けるのも、君には抵抗が有るんだろ?」


確かに喧嘩などした事も無い、小学生の頃に居合の真似事にハマった事もあったが…


近所の道場を覗くだけで、実際にはやった事も無い。


生き物係で兎の飼育をやっていたお陰か、生き物を傷付けるなどとても出来るとも思えない。


「うっ!確かに…襲われたら抵抗くらいは出来ると思うけど…自分からは……加護ってなんの話だ?」


「君は気付いて無いだろうけど、大地を感じれる場所で妙に力に溢れたり元気が出て来た事は無い?それが君が持つ【地霊の加護】なんだ…特に君の場合は…まぁ…要点だけね…つまり君がその気になれば、さっきの彼女に近い事が出来るってわけさ」


美咲の事だろうか?そう言えば途中で見えなくなったり妙に力に溢れていた様に見えた。


「じゃあ…あれは…美咲ちゃんにも地霊の加護が有ったからあれだけ鬼を圧倒出来たんだな?俺もアレが出来るのか…でも…」


「いや、彼女に加護は無いね…水と火の相反する素養が少しと、彼女の願いを肉体が叶えてくれた結果だろうね、よっぽど自分の元々の身体能力に自信があって、恐らくは積み上げて来た物を信頼してたから、身体がそれに応えてくれたんだろうね、無意識に言霊を使ったんだろう、それと今の君に彼女の動きを真似するのは無理だ、近い事って言うのは言霊を使って戦う事、今は…取り敢えず身を守る事は出来る…みんなを守る事もね…」


言霊を使う…オカルト好きでは有るので言霊と言うワードは聞いた事は有るが漠然としており…確か…魂が宿るとか…若干意味不明でハッキリしない話しか、聞いた事が無い。


「良く分からないって顔だね、でも君達の世界にも有る筈だけど…まぁバラバラに分割された多層世界だからねぇ…物理は物理…霊界は霊界ってね…隣に有っても知覚出来ない世界では……それでも純粋に願えば時間は五年〜十年は掛かるけど確実に願った事は、言葉に出した事は現実化するんだけどね、それに地霊や他の力も確かに存在する、でも…さっきの彼女みたいに、例えば加護持ちが向こうの世界で無自覚に暴走させると、例えば火の力に秀でた者が多い西方の人の中には突然に自然発火しちゃう人もいる、聞いた事無いかなぁ?」


確かに密室で自然発火の話は月刊アトランティスでもそんな記事は見た事が有る。


「地霊って事は土に関する力って事ですよね?…土…土…何が出来るんだ?」


人…と呼んで良いものか?兎に角話しているうちに冷静さは取り戻せた。


自然と彼を信じて何とかこの苦境を脱しようと勇気も湧いて来た…話を聞くにも真剣になる。


「よし!まだ時間は有ると言っても無限じゃない、あのナイフは確実に彼女の心臓を狙っている、説明を続けるよ?君の地霊の加護は、守ってくれていると言うよりは君の霊体そのものが地霊を核に出来上がっている。だから他の精霊力が邪魔をしない環境でさえ有れば、自然に治癒の力を発揮出来るし、体力は無限に湧いて来る、大地は生命の根幹だからね…外法(がいほう)内法(ないほう)も使える筈だ、外に影響を及ぼすのも自身の力を高めるのもどちらも可能…だが今の状況と君に出来る事は、邪鬼をどうにかするよりも彼女を回収して、そうだなぁ…他の皆を守る壁を作って凌いでくれ、僕が到着するまでね」


「土壁を作る…か…でもここから出たら時間も流れますよね…美咲ちゃんの場所までは…」


「うん、だから大地を動かして……う〜ん…少し乱暴だけど傾斜状に大地を隆起させて、こちらに引き寄せる…それからすぐに壁を作って……良いかい?言霊は口にしなければならないけど、全てを詳細に言葉に出す必要は無い…想像して…そして願え…声法(せいほう)を訓練していないから事象の具現化には精神力をごっそり持って行かれると思うけど、地霊の加護…霊体が地霊そのものの君なら動けなくなる様な事にはならない、自分自身だからね、どこかで力をセーブすると思う、瘴気で吸収を阻害されてはいるけど、ここにも大地は有るから、大地と自分自身を信じるんだ…もうゆくっくり話してる時間も無い、僕も急ぐから…術を解除したらすぐに想いを込め…想像し…叫べ!」


もう…時間は限られている…この男の言う事を素直に信じる事が出来たのは、確かに思い当たる節があったから。


山道を登る時気分は爽快で無尽蔵に力が溢れた。


水泳は実は全くの金槌で未だに全く泳げない。


小学校の体育の持続走や短距離走ではトップになれはしなかったが成績も良かった。


中学に上がり急に成績が悪くなった。


グラウンドのトラックはゴム製だった。


霧男の姿は霧散し、周囲の小鬼達の不快な声や雑音が戻って来る。


ナイフを今にも美咲の背中に突き下ろそうとする鎧の小鬼。


『地霊よ!美咲ちゃんをこちらにっ!!!!………』


辛うじてここまで言えた。


大地が震え…


鎧の小鬼の動きが止まる。


【鍛冶師】はナイフを持った腕を元に戻し…


警戒しながら周囲をキョロキョロと見渡す。


そして…………


硬い筈の地面が波打った。


m(_ _)m

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