束の間の休息②ジョーイの告解
正人とジョーイ、涼夏は巫女の元に向かう前に、一応…英二達にも声を掛けようと女部屋の扉の前で迷っていた。
「いや…だからさっき言ったじゃないデスか…今は…」
「でもさぁ…巫女が目覚めたんだから全員で行くべきだろう…爺さんは帰っちゃったし…」
などと言って涼夏の反対を押し切り、扉に手を掛け…ずに何故か聞き耳を立てる。
「うわっ…正人君…最低ですね…私みたいに気を使うのが常識デスよ…」
「正人…気持ちは分かるが、流石に仲間の情事を覗き見る様なマネは…」
「大丈夫…見るわけじゃ無い…聞いてアレならすぐに…」
だが…結局皆気になる様で…三人で扉に耳を扉に付ける。
突然扉が開いた。
「あだっ!」「わぁ!」「ひょえ!」
「わっ!何だよ!三人して!何で扉の前に……まさか……」
薄物を羽織った美咲がブツブツ言いながら顔を出す。
「英二?どうしたのぉ??お湯貰って来るんじゃ無いの?あ〜〜ん!シャワー無いと不便よねぇ?あれ?みんなどうしたの?」
英二が眉を顰め目を細める。
「ば…バカ野郎!俺達がそんな事するわけ無いだろー!今来た所だよ!焔の巫女が目を覚ましたから全員で行こうって…」
「えっ!?あの娘起きたんだ!あっ!折角だから街で快気祝いに果物か何か買って行かない?!お風呂は後で良いかなぁ♪」
「ん?あぁ確かに、そうだね♪お願い事の交渉をするのにも手土産を持って行った方が良いか…精神的なダメージが少なければ良いんだけど…」
「その点は大丈夫だと思いますよ、治癒師さんとの会話にもある程度は答えていましたし…それに…お仲間やジョーイさんの事も気に掛けてましたから…強い人です…」
「巫女様が……そうか…うぅっ…良かった…本当に…ぐすっ…」
幸いにも、美咲や他の者が割り込んで来たお陰で、それ以上は突っ込まれ無かった。
(ヤバかった、ちょっと魔が差しただけなんだが、魔界の入り口みたいな所だからな、仕方無いか、いや…違う、だとしても何かのせいにするのは良くないよなぁ…反省…)
些細な事では有るが、この手の事も有る程度は小さな試練なのかも知れない。多分…
五人は美咲が準備を整えるのを待って、街に買い出しに出かけた。
とは言え、比較的新しい街で商店も少ない、いくつかあるそれぞれの冒険者ギルドと、その併設された施設を中心に少ない商店と、まばらな民家の他は地術師がこしらえたであろう天然石の防壁くらいしか無い。
それも特に特殊な加工もしてない岩山と変わらない大雑把な岩壁と木製の門。
各種ギルドに所属する冒険者や行商人達の辺境、魔界に向かう為の中継地点。
そんな役割があっての街なのだろう。
◆ ◆ ◆
【アシハラの政治と経済】
この森のそばに作られた街は元々あったわけでは無く、十数年前に辺境奥地への中継地点として作られた街で、元々は魔界とも呼ばれる六区やその更に奥地の七区へ向かう行商人や、冒険者達のベースキャンプ的な役割が強い比較的新しい街である。
とは言え、六区での生活の中から気付きを得て、精神性を高め上位の区画へ行く住人や、逆に精神性を落として上位区画での生活に支障をきたす、或いは問題を起こして放逐された者達…
六区から来たのは良いが、これ以上先に進めなくなってしまった者達が、集まり暮らす様にもなり、人の出入りは激しく小さいながらも中々に流動性も有り活気に満ちてはいた。
正人達の世界で言えば所謂スラムでは無いが、ドヤ街の様な雰囲気の有る街、と言った所だろうか?
古き前世界の世界秩序と違って、現在は国と言った人間の集団を作るのに適さない世界である。
龍脈に新たな法則を組み込み、認知させる事によって出来た新世界秩序。
いや秩序では無い、人々が精神性を上昇させた結果、秩序が生まれる世界なのだ。
誰も法や秩序を押し付ける事はしない、例えるなら節度と相互理解の有る人間と、自らの思想や正義に固執し我欲のままに生きる獣とに分かれて暮らす時代…有徳律の時代で有る。
人に理解を要求し自らを顧みず生き方を至高とし、或いは独善的な正義を押付ける者は獣と変わらぬのだ。
最初の避難船は新生暦24年、聖暦に換算すれば2032年、アシハラを囲う南の岩壁が一部崩壊した年であった。
勿論、三区や二区に行けた精神性の高い者は別として四区から六区に大量に入植した東大陸や西大陸極東部の避難民達は、フロンティアに自分達の国を打ち立てようと行動し始めた。
だが…ことごとく失敗に終わっている。
何故ならそれを先導した指導者達が、四区での生活が困難になり、やがては五区での生活が困難になり、やがては…
つまり指導する立場の人間の精神性があからさまに低い事が分かってしまえば、肝心の指導者が自分達より精神性の低い人間で有れば従う謂れも無い。
どれだけ口が上手く甘い夢と希望に満ちた言説で演説しようが、説得力など無い、精神性が透けて見えてしまう世界ではどうにもならない。
当然有能ではあったろうし、行動力もあったろう。
だが既に数千年続いた世界秩序は崩壊した。
有能で金を作るのが上手かろうと精神性が低く魔界のそばに、或いは魔界に住まなければならない精神性の低さでは尊敬など得られないのだ。
最初は上位者の説明を受けても、現地のアシハラ人のタワ言だと誰しもが思っていたのだが、入植してからほんの数年で、先ずは四区に移住した避難民が計画から離脱した。
アシハラの文化を壊さぬ様に新たに土地を開拓し、別々に生活し始めたのだ、土地に古くから住むアシハラの人々に頭を下げ土地に関してのノウハウを学びながら懸命に、自らの手で生活基盤を地道に整えて行った。
五区では最初こそ入植者達が現地人との共生を訴えていたが、結局入植者達がやったのは…
土地や財産を持っていない事を訴え、援助を要求し、開拓済みの土地やインフラの乗っ取り…
文化と生活様式、価値観を押し付け、自分達の基準に合わせろと…つまりは教化であった。
直ぐに現地のアシハラ人との溝は深まり、アチコチで武器を取り紛争が起き始めた。
それを止める国や政府など無い、上位者は止めない、それは摂理であり起こるべくして起こる膿出しの様なものであるから…
それまでは可哀想、不憫、人道、人種や種族の違いを超えて…などなど…
甘ったるい綺麗事に固執していた五区のアシハラ人と言えど、実際に自らの生活が脅かされれば…そんなもので有る。
彼らは取り繕っていた仮面を脱ぎ捨てた。
自分達の生存が脅かされるとなれば直ぐに武器を取り、破壊の為の言霊を横暴な避難民達に向けて歌い始めたので有る。
◆ ◆ ◆
聖暦1990年代…
徐々に外国人が移住し始めると僅かながら軋轢が生まれ、問題は表面化し始めた。
その当時…
そう云った綺麗事を述べていたかつての著名人や権益利得者は安全な場所、オートロック付きの高級マンションから…世間に語った。
有る著名人はこう言った。
「人々の精神性の劣化は嘆かわしい、世界に魔界は溢れ住む場所も無く貧しく困っている人々を何故受け入れないのだ、文句を言って迫害するなど、人間のする事では無い…」
或いは、南大陸の力が強い大型獣人をメインに雇用していた人材ビジネスで潤う権益利得者はこう言った。
「優秀な人材にはわざわざ来て頂いて居るんです!いちいち文句を並べ立て労働環境に文句を言う大八島の人々は転落して当然なんです!文句を言わずに何でもこなす海外の方々を見習いなさい!」
だが…新世界は富と地位を持つ人々が安全な場所から物を言える様な世界では無くなっていた。
インフラにただ乗りすべく都市部に居住していた多くの移民共々、その多くは海中に没した。
或いは、かろうじて生き残った者は魔界に住む事を余儀なくされ、移民達の中でも祖霊の導きによって僻地へ、現在の四区に住まいを求め移住していた者だけが助かった。
甘い考えを持ち、声高に人道やら正義をを叫んでいたアシハラ人の多くは終末の大戦以降は五区や六区に集まっていた。
オートロック付きのマンションでも高級住宅地でも無かったが、少しでもインフラが整った場所に住み着く事を選んだのだ。
彼らも老いてから、或いは中年になってから、かつての…若かりし頃の自らの言説に反旗を翻すとは思っても居なかったのだろう。
大八島国は元々災害の多い土地でもある。
明日は我が身、そんな言葉も大災害以前は裕福であった彼らの頭には無かったのだろう。
◆ ◆ ◆
聖暦1999年に起こった大八島国の大災害でアシハラ人の棲み分けは自然に完了している。
都市部は殆ど海中に沈み、生き残った者達は精神性に応じた土地へ導かれる様に自ら向かって行ったのだ。
例え、新しく出来た大地が不毛で何も整備されて居ない土地だとしても、精神性の高い者達は自然と現在の一区〜三区に向かい開拓をした。
これには真人達上位者も大いに助け舟を出した。
五区の不毛な戦いが十数年で終結に近づくと、今度はその戦争で精神性を落とした現地人や海外の避難民が六区に流入し、現地人か入植者どちらかに支配されていた六区でも戦争が起こり始めた。
この戦争は収まったり、ぶり返したりしながら四十数年程前まで百年以上継続していた。
同じ世界…同じ島に…いや規模を考えれば小大陸だろうか?
ともかく同じ島に天国と地獄が存在していた。
現在は環境が完全に逆転し、一区や二区の神域を起点として、三区の数万人規模の都市だけではあるが、環状鉄道が整備され…そうでない街や村にも道路網が整備された。
エネルギーは完全に無料供給、街ごとの決まり事は有るものの節度有る金融システムで街と街の協定も出来た。
文化は衝突する事無く、適度に融合し、元々は大八島時代からここはそう言う土地ではあったのだが…
そんなわけで今や三区はアシハラの金融、経済システムの中心になっている。
金融システム、それは三区の環状鉄道を結ぶ街で協定が結ばれ共通の貨幣が作られ、これはかつての反省も含め特定の個人や一族が独占する事は出来ない。
あくまでも発行元は、それぞれの街で有り、全て可視化され透明化された状態で運営担当は複数人、兼業であくまでボランティアで数年毎に交代する。
三区の環状都市の人間は、資格ある者は何もしなくともある程度の生活が保障されている。
何もしない者はいないのだが…
邪心を抱けは瘴気を生み、追放の罰が待っている。
…いや…そもそもそんな者が三区にいれば苦しくて仕方が無いだろう…
自分で街を離れて行く事になる。
で…有るので金融業務に携わる者はそれで利益を得る事は出来ない。
世界宗教が力を失って以降…台頭してきた少数の一族が金融で世界を支配していた事も有るが、彼等の遣り方は人類の生活レベルを大いに向上させたが、反面、権益利得者を腐敗させ魂を汚す事になり、結果欲望や邪心に引き寄せられた集まった悪霊や、瘴気により都市部は魔界化し、数多の生きながら邪鬼と化す魔人化現象の温床になってしまった。
だがそれも、今や過去のほんの数百年の事でしか無い、歴史の彼方である。
税金などは無く、大きな出費は議題に掛けられ、住人の評決で採決しその都度賛成反対の票を取る。
賛成者は出金し、反対者は出さない、つまり予定の金額が集まらない場合は、否決とみなされ即時返金される。
常に周知と説得と応援してくれる賛同者を増やしておく事が重要なシステムでは有る。
いちいち面倒?
前時代の文明の利器を使えば手間は掛からない、住人全てが持つデバイスでスムーズに行われる。
ちゃんと人類の作り出したものの知識は神域に補完されていたのだ。
だから特定の為政者者は必要無く、街の代表は本当に街の代弁者でしか無く、交代制で誰でも良い。
報酬も無いが、個人が全責任を負う必要も無いのだ。
とは言え、これは鉄道が通る環状都市だけのシステムでは有るのだが…
三区に関しては何処も公平な運営を心掛ける町が多い。
利益は全てインフラや街の運営費に回される。
かつて大八島で僻地、田舎とされていた四区では完全に各文化圏ごとの棲み分けが完了している。
それでも互いの町や村に足りない物を取り引きしながら交流し、四区の中にも大きな都市には多人種多種族の町もチラホラでき始めている。
ゆっくりと緩やかに…軋轢を起こさずに…
住人達は古来の牧歌的な生活を送りながら、日々労働の汗を流し、現在ではアシハラの食糧供給を支える大穀倉地帯として機能している。
五区では未だに揉め事は絶えないが、年々刃傷沙汰は減っており、四区の在り方が浸透しつつもあり、もう紛争などは起こらないだろう。
少なくともここ数十年は大きな人種間種族間対立は起こって居ない。
対立は未だに根深いが、六区は疲弊しており、紛争どころでは無い。
他の区域からの商人や冒険者が来てくれない状況では、食料や物資さえ自分達で賄えないのだ。
犯罪は多いが他の区域から来た者が犯罪に巻き込まれるケースは減っている。
多少俯瞰して、状況を見る事が出来る街を支配している一族や為政者達、或いはその側近が目を光らせている。
外から人が来なくなれば街も為政者達も没落して行くしか無いのだから…
だが一応深度の浅い魔界でも有る為、魔界から産出される瘴気で変質した希少植物や鉱物、魔獣から取れる素材、廃墟からの遺物を目当てに商人や冒険者が数多く訪れる。
勿論、街や為政者たちの組織した探索者や私兵が魔界の深部へ踏み込むが、ちょろまかしも多いのは仕方が無いかも知れない。
そう…世界全体で見れば兎も角として、少なくともここアシハラでは新しい有徳律が順調に稼働しており、人々の精神性も全体的に徐々に向上していると言って良い。
かつては転落するのは金の争いに負けた人々や、知らない間に有力者達に様々な法律を勝手に作られ隅へ追いやられた人々だったが…
今の転落者は利己的で、己の利益を優先させる人々に代わった。
前時代と同じく落語者がいるのは変わらないのは確かである。
魔界の深部とされる七区にも人は住んでいる。
とは言えその殆どは魔人と化しており、彼等に取っては逆に居心地が良いかも知れない。
また魔界の街で生まれ環境に揉まれ、瘴気を打ち払い精神性を高め、他の区域に向かう者も居る。
終末の大戦以前の魔人と化した人々は政治家や実業家著名人、いずれも摩天楼で下々の者を見下ろし美酒に酔っていた人々であったのだが…
彼等は既に死に絶え、平行世界の何処か或いは近くの森で小鬼や魔女に変貌しているで事であろう。
現在の魔人と他の邪鬼、果たして森と街とどちらが暮らしやすいだろうか?
そんな七区に向かって商売をしようとする強者も居れば、更なる希少素材を求めて向かう冒険者も居る。
…魔界に住む人間や魔人達には重要な収入源で有る。
冒険者や商人向けの商売をする者も居る。
但し宿や売春窟は避けた方が賢明だろう。
物取りや強盗の被害に遭う者が多発する。
姿は現人や獣人でも中身は邪鬼と変わらない事が殆どなのだから…
アシハラでは国は存在せず、政治は街ごとに自治組織が有るだけで、経済は新時代の摂理により安定している。
いずれ人類が世界を取り戻せばそれが世界の標準になるだろう。
だが、それを阻むのは…異次元の想念を受け半ば同化した者達。
摂理や因果の法則を歪め、破壊する存在…
大鬼や魔王種を代表する逸脱者達である。
逸脱者は世界が存在を許さないだから、奴等は結界には入れないが…
今の状況では人類の生息圏は魔界の範囲に対して余りにも小さく儚い…だから…
◆ ◆ ◆
守護ギルドや薬剤ギルドそして浄化ギルド…狩猟ギルド…
街を行き交う冒険者の中には、これらのギルドに所属していない四区に本部が有る古物収集ギルド者も数多くいるだろう。
直せる物はギルドの修理工場で直して、難しい精密機器などは三区の研究者達に買い取って貰うのだそうだ。
ギルドの冒険者を中心としたベースキャンプ。
大手のギルドハウスは街の中心区画に有り、その近くにはそれぞれのギルドの為の倉庫や他の施設。
狩猟ギルドは食事が出来る酒場なども併設されており、ここを使うのはギルドの人間だけでなく、他の冒険者や街の住人達も使える様に解放されている。
そして、浄化ギルドに併設されているのは治療院、大部屋ながら入院出来る設備も整っている。
ここも、ギルド加盟者が優先では有るが、街の住人や他の冒険者も使える様になっている。
何も無く、普通の仕事が少ない事を除けば、医療費の負担も軽微で、薬も安く買えるこの街は五区の他の街よりも住みやすいかも知れない。
近くに山岳が有るので、山からの恵みで畑をやる者も居るのだが…
場所が場所だけに、作業も警戒しながらでは中々捗らず、そんなわけで一般の住民もギルド関連の仕事に就く事が多い。
「あぁ…それなら大丈夫だと思いますよ、先程涼夏さんが出て行ってから、ホントビックリしちゃう、小鬼達に攫われてたわけだし、起きたらどんなに錯乱するかと、でも本当に強靭なんですね、ケロッとして今は食事を取ってますよ、本当は起きたばかりで胃も小さくなってる筈だから、あんなに食べない方が良いと思うんだけど、でも私の料理が懐かしいらしくて…喜んで貰えるのは嬉しいんだけどね」
極東系の調理担当の現地スタッフが驚いていた。
顔立ちがアシハラ人と少し違うので、極東からの移民の子孫なのだろう。
彼女の案内で大部屋に入り、隅のベッドで野菜入りの蒸し饅頭に齧りつくアイラと目が合った。
「んっ……済まない…ちょっと待ってくれ……んっ………ふぅ…」
水が入ったカップを手に取り大急ぎで食物を流し込み、身だしなみを整えベッドから出ようとするが、それをジョーイが押し留める。
「ああっ!巫女様!そのままでいてください!長い事、食事も与えられず放置されていたらしいじゃ無いですか!どうかそのままで!」
「そうか、なら君の言葉に甘えよう…こんな格好で済まないが、本当にありがとう、あのまま助けが来なければ…きっといずれは精神性を大きく落とし魂を黒く染め上げていたに違いない、上位者の血族としてそんな事になっては亡き父母に申し訳が立たない。ジョーイもう一度心からの感謝を、君を従士に任命して良かった。勇士達を集めて救いに来てくれるとは…本当にありがとう…」
アイラの明るい笑顔と手放しの感謝の言葉に心が痛む。
本当の所をキチンと説明しなければならない、で無ければ惨めな気分は晴らせない。
「いえ…俺にはそんな事を言って戴く資格は有りません、俺はあの場所から逃げだして飲んだくれていた卑怯者なんです。この正人達が俺の前に現れなければ今もスス原の酒場で飲んでいたかも知れません…」
アイラは卑下するジョーイを宥める様に優しく語りかけ、それから正人達に目を移す。
「それでも君が助けてくれたのは事実、ん…君は…確か岩屋を開けてくれた…それに……この波動は…君達は…現地のアシハラ人かと思ったが…もしかして転移者かい?」
美咲が目を剥いて驚く。
「えっ!!何で分かるの?他の人にはこっちから言わなきゃ分からなかったのに…」
「ああ…魂の音と霊素の放つ振動と言えば良いのかな?昔…大陸で魔界に事故で転移して来て、たまたま父に助けられた者と会った事が有るんだ。波動は似ているが少し違うか?犬型の獣人であったし、我々に尻尾が無い事と耳が違う事や、他の種の獣人が居る事に驚いていたよ、別の世界だったのだろうが…それは兎も角…ジョーイ…君の心が軽くなるなら…そちらの正人殿の事も含めて話を聞こう…」
ジョーイはこれまでの事を話し、アイラは長い話しにウンウンと耳を傾ける。
そして…口を開く。
高評価ブクマ宜しくお願い致しますm(_ _)m
手直し完了
違いを悪としてしまうのが善の下道、自分に取っての善を押し付けるのが悪の外道だ…ふむ(´・ω・`)




