真人の庵にて③最後の神域
正人にしてみればこんな恐ろしい世界に、一秒たりとも滞在したくは無かった。
滑り止めで受けた地方の三流大学に入学する事になっても頑張れと、学校の箔だけが全てでは無いと励ましてくれた両親…
東京は品川区の商店街で夫婦で喫茶店を営む両親を放り出して異世界に残るなどと言う選択肢は正人には無い。
瘴気立ち込める魔の森で恐ろしい思いをし、皆同じで有ろうと思い込んで居ただけに、帰らないと言った涼夏の言葉に激しい反発を抱いた。
自分の事を兄弟と呼び、神に近い存在でもあるマドカなら自分の味方になってくれるで有ろうと…
あからさまにマドカに好意を抱いている涼夏、マドカに説得されれば、涼夏も考えを改めてくれるであろうと僅かな期待をしていたのだが、彼の言葉は残念ながら正人を安心させる物では無かった。
「ん?なんで?人生は試練の連続だよ?何処であれ、その人の魂が学ぶべき課題が人生の壁として立ちはだかって来る、場所は関係無いのさ、人生を楽しむのだって成長に繋がる事も有るだろうし、魂の学びは急いでするものでも無いしね、帰ろうとして帰れるなら因果の法則がそれを許すだろう、君達に一つ断って置くと、君達が望む知識も技術も僕が知ってる限りの事は伝えれるし、望むならこの世界で生きる為よ訓練にも付き合おう。求められたらそれに答えるのが上位存在、神格者の義務だからね、でも時空に穴を開けるのを手伝えと言う話しなら、この世界の法則に殉じる者として手は貸せない。僕から得た知識、或いはこのアシハラを巡って手に入れた知識でそれを成すなら僕は止めない、穴が再び空いて君達が帰れるなら帰るべきなんだろうし、そう出来ない状況ならその時では無いと言う事だ。その時は新たな目標を見つければ良い、この世界でね、三千世界は自由意志の世界なのだから、それが魂を磨く事に繋がれば何でも良い」
そう、普通の人間であれば、向こうの世界の常識的な大人で有れば、正人の言葉を間違い無く肯定するのだろう。
今は肉体を持つ存在ではあるが、マドカノミコトは有る意味においては死を超越し、生命や魂を持つ事の意味を知る高次元の視点を持つ存在である。
人間の一般的な年長者の視点とはそもそも違う、物事を語るのに地に足を付けてで有るとか、大人として息子としての義務を果たせ、等々の定命の人間の狭い視点で世界を見てはいない。
そもそもそんな大人達よりも遥かに長生きでも有れば、様々な人間の人生とその結末を魂の記憶で知っている。
正人が思う大人が言うで有ろう一般常識などは、たまたま数十年安定した世界が続き、それに胡座をかき、それに浸かりきった自称常識人の意見くらいにしか思わないだろう。
ではどんな人生が正解なのか?マドカに言わせればこう言うかも知れない。
「どんな人生と状況でも良いんじゃ無い?魂がその様にあれと設定した人生なんだからさ、だから…魂を燃やし学べる事を学び、遊びたい様に遊べ、そもそも人の意見を盲目的に聞かず、自分の魂の望みに応えてあげ給えよ…」
そんな人間を逸脱した上位存在からハッキリとを断られてしまっては帰す言葉も思い付かない。
今の状況で彼に対して何を言おうと、それは正人のごく個人的な事情としか思われない、それくらいは理解している。
「うっ!…そんなにハッキリと断らなくても…」
「兄弟にはハッキリと細かく言うさ、厳しいかもだけどね、ちゃんと成長して欲しいからね」
ズビズビと鼻を啜っていた美咲も…
この世界に残りたいと言う涼夏も押し黙り…
普段で有れば、美咲の気持ちを考えて激昂しそうな英二までも…
「正人、命を救って貰っただけでも感謝しなくちゃ、彼がいなければ全員死んで、いや女の子達は…もっと酷い目に遭ってたかも知れない、マドカさんには立場もある、僕らはイレギュラーな存在で…本来ならわがままを言える立場じゃ無い、幸い色々と教えてくれて訓練までしてくれるってんだから、俺達で力を付けて帰還すれば良いじゃ無いか♪鈴本さんだって別に力を貸してくれないって訳じゃないんだろ?森に入るなら鈴本さんの力は絶対に必要なんだしさ、俺達全員の力もね♪」
この世界に来てから田中英二の精神的な成長は目を見張る物が有る、あの小鬼の森で、そしてマドカとの対話の中でも余すところ無く何かを掴み取ったのだろう。
それは守るべき者が、少し精神的に脆い彼女、美咲が存在するが為の成長だったのだろうか?
彼女は確かに強い、単純な殴り合いの喧嘩であれば男女の腕力差は有れど、身体能力と格闘センス、戦闘経験の有無で今のところは、美咲が一番強いのだろう。
だが…今の彼の…英二の強さはそう言ったものとは別の強さが有る。
(なんてこった…あの、英二が、俺でも分かる。英二の魂の成長と輝きが、これが魂を磨くと言う事なのか?試練に向き合い生き残り、例え他の助けの結果だったとしても、これが成長か…クソッ…俺は…いや…これからだ!)
彼の、田中栄二の言葉は人の心に火を灯す、それは彼の適性故であったろうか?
自分本位な事を言ってしまったと反省していた涼夏もそれに応える。
「も、勿論です!正人君達が帰りたいなら私もそれをお手伝いしますよ!当たり前じゃ無いですか!サークルの仲間ですから!」
「英二…ぐすっ…ありがとう…そうだよね…まだ帰れないって決まったわけじゃ無いし、うん…アタシも頑張る!小鬼でも他の怪物でも、みんなぶっ飛ばして家に帰る!」
そんな四人の学生の様子を見てウンウンと一人納得するマドカは、嬉しそうな、何処か寂しそうな…
いや…何か後悔でもしている様な、兄弟と呼ぶ正人では無く英二に、それから少し悲しそうな瞳で涼夏を、最後に期待を込めた瞳で美咲を見る。
【真人】…東洋では神仙、仙人等と呼ばれ、人よりも神に近いとされる上位存在、彼は何かを考え込むかのように己の思考に沈む。
「……カさん!マドカさんってば!どうしちゃったのさ…ぼーっとしちゃって…」
正人に声を掛けられハッとした顔で謝罪する。
「あ…僕とした事が申し訳ない、で…どうする?」
「うん…腹は決まったよ…もう泣き言は言わない…人のせいにもしない、自分達で帰還してみせる…俺達に言霊…声法を教えてくれ!訓練と…この世界の知識を!」
「分かった、僕は三ヶ月後に…アシハラを出て海を越えなければならない一年は帰って来れないと思う、だから三カ月である程度の力を身に着け、辺境を歩き回れるに足る装備も君達で用意しなくちゃならない、出来るかい?」
「三カ月…もう腹は括ったんだ、みんな気持ちは同じだ、目的は違うけど鈴本さんも異論は無いと思う、やるしか無いんだ!俺はちゃんと目標を決めた!決めた事は実行する!必ず元の世界に帰ってみせる」
皆の心に火が灯り…正人も決意を固める。
「分かった!神格者の端くれとして出来る限りそれに応えよう!」
小鬼との戦いで半分ヒビが入った眼鏡をクイッと上げ、英二が気になった事を質問する。
「神格者の端くれ、話を聞く限りでは他にもマドカさんの様な方が他にもいらっしゃるのは分かりましたが、このアシハラは下の世界の僕らの国、日本とリンクする部分が多い様にも感じます…この、貸して頂いている着物も僕らが知っているものに似てはいますし、やっぱり向こうと同じく八百万の神々と言う程に神々、神格者は多いのですか?アシハラは国名と言う事ですか?」
英二は元々宇宙人や超能力、そう言ったオカルト的な物よりも世界の神話や古代文明の遺跡…
そう言った物が好きで旧郷土史サークルに入った経緯が有る、但し浅く広く、と言ったところでは有るので日本の神話にはそれ程は詳しくは無い。
「国名…か、それは後で詳しく説明するよ…八百万…下のいくつかの平行世界だと思うけど普通の人間として転生していた頃の記憶も断片的でね。あまりそう言う事に触れる人生じゃ無かったんだろう…八百万の神…こっちでは聞かないなぁ…」
少し考えて返答する。
「あぁ…百万世界、三千世界と似たような意味なのかも知れない、百万はあくまでも比喩でね、実際の所は…う〜ん…どれだけ有るのかも見当が付かない…それに確かに今は世界中の殆どの神格者が集まる地では有るけど」
「上位存在でも平行世界、次元の観測は難しいのですか?」
「うん…生まれて来た人の数だけ有るのかも知れないし、魂に過去の記憶や技術は蓄積されていても、魂自体には成長すると言う意思はあっても意識や自我は…凄く薄いんだ、逆に肉体は欲求があり自我も割と強い、霊体は意識を司り…自我は肉体に比べれば欲求が希薄な分薄く、記憶容量に制限もある、まぁ個体差によるけどね。だからどのように成長に適した世界を探し当てているのか見当も…いや…匂い、嗅覚の様な感覚は残ってるなぁ、もっと上位に進化すればもう少し詳しく分かると思うけどね、高天宮殿の神人から聞いた事が有る、知ろうと思えば一時的に他の世界に魂を飛ばして観察も出来ると言っていた、かな?僕も一応は千里眼の術、リモートビューイングの方が分かるかな?は使えるけどね、瘴気が濃い場所では精度が鈍るけど、そうだなぁ頑張れば月と火星くらいまでなら短時間はね、次元の壁を越えるのは無理だね」
聞いた事が有るワードが出て涼夏の目が輝く。
「♪私!そのワード気になります!でも…高天宮殿?高天ヶ原では無くてですかぁ?」
「高天ヶ原って…良く知ってるねぇ?…てか随分古い名前が出て来たなぁ…まぁ…大戦の半ば迄は……って見た方が早いかな?…今日辺りならここからでも見えるかも知れないし…今日明日位までは座学も兼ねて…大戦と…今のアシハラの状況…世界の状況も勉強しようか?…寒いけどちょっと外に行こうか?見せたい物…と言うか…島が有るんだ」
「ん?島?…さっきアタシ外に出たけど…下の方は雲と森ばっかりだったけど?…建物の裏手の方?」
「そう、丘みたいになってたろ?その向こう側」
◆ ◆ ◆
五人で庵の外に出る…冷たい風に…白い息を吐き…寒さでかじかむ手を擦る。
庵の裏手の丘を登る遠目で見るよりは傾斜も厳しく、途中マドカが歌うように何かを呟くと風の影響を受けなくなり、傾斜の影響も有ってかやや身体が汗ばむ。
丘を登りきった台地には石畳と手すり付きの柵が設置されその向こうには…広がる大海原。
「ヒィ!断崖絶壁!高い!あの…遥かに下に見える…海に落ちたら…飛び込みで行ける?」
「……美咲ちゃん…多分…途中で意識を失って、海面に叩き付けられて、バラバラになっちゃうから海で泳ごうなんて思わないでね。」
美咲はこれでも有名進学校を卒業した短大生ではあるのだが、水泳のスポーツ特待生の枠を逃し、意地になって足りない頭にテスト勉強の知識を詰め込みすぎたのか、入学したは良いが結局ついて行けずに成績を落とし劣等感を抱え不良になった過去が有る。
そんなわけで当たり前の常識が欠落している。
「海原の加護を持ってるか、水流操作や風か大気に関する言霊や術が、極めて得意な人だったら行けるかもね」
「えっ!マジですか…行けるんだ…言霊スゲェな…」
「え!それじゃアタシも水の適性有るって言われたからワンチャン行けるかも…」
「いやぁ~無理だねぇ、水と火の相反する才能がほんの少し有るから身体の水分を気化して自分の姿を隠す程度は出来るだろうけど…消耗も激しいからね、それよりは魂の記憶によるものなのか格闘のセンスも有るみたいだし、生まれつきの恵まれた身体能力が有るから、生命や肉体に関する強化系の言霊を学んでみんなの剣として行動するのがベストかなぁ?」
「……らしいから…崖から海に飛び込むのは諦めてね、俺は前に出るのは余り向かないけどさ、その分美咲ちゃんは俺がサポートするから!」
英二が持つ適性は炎に関する適性…但しマドカが見た所相当に偏りが有るらしく、自己強化はほぼ使えず、火の内法の基本的な言霊…耐火の術は使えるだろうが…それもある程度、と言ったレベルで炎のダメージを遮断する事は出来ないらしい。
炎の系統の高度な術、自分の肉体から炎を発し敵を近づけさせない、等々の高度な防御術は使えないだろうと見ている、逆に他人や自分の外に影響する術…攻撃…強化に関しては相当なレベルの術まで使える様になると断言してきた。
何故か耐火性能の高い装具を必ず手に入れろと、強く勧められた。
英二が少し引き気味になる程に…マドカはこう言った。
『君の勇気と献身は自らを燃やし尽くす両刃の剣だ…だから…』
と…
涼夏がその絶景に感嘆の声を上げる。
「ヒャぁ〜凄い景色ですぅ〜地平線まで大海原が広がって…アレ…マドカ様?島を見るんじゃありませんでしたっけ?…何処にも見えませんが…」
「島もだけど…どう考えてもこの地形おかしいぞ?アシハラは…この世界は…下の世界とリンクしてるんだろう?世界が上下で離れると地形も無茶苦茶と言うか不自然な作りになるのか?雲海が下に見える程の標高で海に面してる地形なんて…向こうには無かったぞ?…それに崖が左右どこまでも続いていて……ホラ!かなり下の方に!洞窟の中から…滝みたいのが出来てる場所が有る!?」
正人の疑問にマドカは遠い目で海を見つめ答える
「そうだねぇ…過去生の記憶でもどの世界も少しづつ地形は違う…でもここまでの変化は無いだろうね…コレはねぇ…大戦の末期…と終結後にに地形を当時の神人達が作り替えたんだよ……さっきも高天ヶ原に付いて言ってたけど、この世界は天界も冥界も魔界も全てが有る世界だ…当然高い山の上に高天ヶ原も広がっていた。かつてはどの神域もそうだったんだよ、須弥山…オリンポス…アスガルド…かつて大戦初期に西の大陸辺境の氷の島とかつての大八島、今のアシハラだね、を除く西大陸の東西の神人と真人は悪神に戦いを挑み、凄まじい犠牲を出して勝利したが数多の神格者達が来世に魂を飛ばす結果となった。とは言え西の神格者達は悪神と世界宗教に住む場所を追われ東に避難してきていたんだけどね…今から四百と数十年前の話だよ」
「でも悪神は消滅しなかったんだろ?いくつかに分裂して…西方…多分ヨーロッパ辺りの事だろうけど、そこは戦いに巻き込まれなかったのか?」
「巻き込まれはしたけど、そうだね、今までの歴史の話に一つ注釈を加えるならば、あくまでアレは神格者や霊性の高い人間達の視点の話で殆どの現人、獣人達にはそうでは無いんだ、大戦と言った所で彼らには13年ぐらいの大戦末期の事を大戦だと思っている人々が殆どだと思う…」
「悪神は強大な精神体、神々の戦いは常人には見えないってとこか?」
「まぁ…近いね、全く知られないわけでもも無いけどね、どちらかと言えば何が起こったか分からないまま、天災に巻き込まれたと勘違いしたかもね、さっきも少し話したけど有翼人の帝国は千年も昔に滅び、その当時の皇帝や貴族神官達は死後邪鬼に転生した。西方は魔界が増え人々の住む地域は狭まり、帝国時代から行われていた。世界の浄化の名の下に行われて来た侵略は分裂した西方の国家によって継続し南や西…北…やがては東方へも伸びて行った。悪神は新たな特権階級や、より多くの神官達に力を与え続けた」
「そりゃあ…まるで…なんと言うか…」
言葉が見つからない…
「神聖魔法の力の源は信徒達の祈りの力信徒が新しく征服した地域が増えれば増える程力を増し…特権階級や神官達は数回恵まれた環境で子孫に転生すれば魂は黒く染まり、やがては邪鬼にしか転生出来なくなり、そして新たに別の魂が宿った子孫達もまたその魂を腐らせて行く、信徒達もそれに近い、生活は質素だが結局は魂を磨くのを辞めて現世の苦労の代わりに、唯一神の家畜となって来世を安らぎの中で生きる事を望む怠惰と言っていい教義、並行世界は似たような世界宗教が支配している。何処へ行こうが魂を磨く事は出来ない、彼らも何度か転生をする内に魂を腐らせ、そして邪鬼と魔界は増えて行く魔界を幾ら神聖魔法で浄化しようが、新たな地域に魔界が出来る。」
「ああ…分かった…負のマッチポンプみたいだ…悲惨だな」
「だがね…物事には別の側面が有る…その弾圧の中で苦しみ…或いは神官達の中にも疑問を抱く者が居てね、そう言った自分の頭で考える者達の多くは後に真人に覚醒していった。そしてもう一つ、多くの文化を取り込み吸収した事で同時に技術も進歩していったのは皮肉な成果だね…で、とうとう東方に進出して来た時に、避難していた西方由来の神格者達と東方の神格者、弾圧の苦しみの中で覚醒した新たな神格者の連合軍が悪神に戦いを挑んだ…と言うわけ」
「でも…俺の予想だと…勝利はしたが信仰は未だに無くなって無い…でしょ?」
「まぁね…神聖魔法の恩恵が受けれなくなって一時的に混乱し衰退している時に、一部の真人達が元の教義をベースにした新しい教義を広め始めた。元々は内部にいて政争に敗れた、あるいは異端審問で拷問にかけられた神官達ではあったからね、人生を楽しむ事と…天国へ行っても修行は終わらない…ってね。天には段階があって神は至高天に居る…そこへ行く為に死後も修行が待ってるとか、有翼人は絶滅して絵画の中にしかおらず存在も伝説化していたから、修行を怠らなければやがて美しい天使になれる…とかね…宗派も様々に分裂したよ、名前だけはそのままで何々派としてね。」
「うわぁ、嘘を混ぜ込んだんだ…」
「嘘?元々が元々だからね、それにあながち嘘じゃ無いかも知れない、原初の星神達が僕らの祖先を作った理由は、今の星神の一人による考察だけどね。宇宙には昆虫型、爬虫類型、獣人を含むヒューマノイド型がいるらしいんだけど、ヒューマノイド型が少し劣勢らしくてね。進化した高度な魂を増やす為に宇宙中で実験を繰り返した痕跡があるらしい、やがて進化した種が真の創造主に出会う為にってね。だから彼らは自分達の生命の設計図を僕らの先祖に埋め込んだ…ってね。地球の先住民も僕らの進化の速さに驚いててね…ナー…あぁ…話が逸れた。また今度ね…おっ!アレだよアレ!」
海の方…地平線の彼方から豆粒の様な点がゆっくりとこちらに近付いて来る。
それは徐々に大きくなり……
「………はい………?…………地面が……島が………空を飛んでる………」
「…こ、こっちに来るんですが……アレは…何なんです!?」
「空飛ぶ島って……ちょっと待って!島の上の方が輝いてる!…ちょっと…綺麗…」
「わぁぁぁぁ…♡…空飛ぶお城ですよ〜アレ?…でも…どっちかと言えば…要塞???」
「はははははは!どうだい?!面白いだろう!あれが大昔は高天ヶ原!今はこの地球に住む殆どの神人が住む…高天宮殿…そして…戦時中はこう呼ばれていたのさ…」
地球最後の神域…東のエデンと…
m(_ _)m
悪を排除すれば悪は産まれる…悪は抱き参らせるのざそ?
だってさ…




