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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第二章
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第三十六話

飛鳥視点


パタンと部屋の扉が閉まり、外からカチャンと鍵が掛る音が聞こえて、私は上半身を起こす。


「ビッ、ビックリしたぁ〜…」


え、え?何で首筋にキスされたの?な、何かゾワワッとした!勿論、嫌な感じではなくて……何と言えば良いのか分からないけど、変な感じになる。わ、わぁぁぁ〜!ヤバい!ドキドキして顔が自然とフニャリとニヤける…。


「お、落ち着け私」


私は膝を曲げて、掛け布団に顔を押し付ける。と、とと、取り敢えず冷静になろう。え、え〜と?確か…私達はカマエルを倒して、それで体力と聖心力の限界が来て倒れそうになって………あ、明人にお姫様抱っこされて……寝たんだ。


…ん?あれ?よく見ると寝間着に変わってる!身体も綺麗になってる!…ま、まさか明人に!!全身綺麗にされて着替えもして貰った!!


「………っ!?」


恥ずかしい…!で、でも…明人にならっ……いやいや!駄目、駄目だよ!私達はまだそんな不純な交際する訳には……!


「…交際……。えへへ…」


って、付き合ってる事実に喜んでる場合じゃない!明人と今後どんな顔で話をすれば良いか分からないよぉ〜~!!


コンコン。


「は、はいっ!」


私はノックをされて咄嗟に返事をする。


『あ、飛鳥…。起きてる…んだ。起きてる…なら、玲子の部屋……に集まって……欲しいって…。でも、もし…動けない……なら、飛鳥の部屋…で、やるっ…て』

「だ、大丈夫だよ!今行っ…!?」


私はベッドから足を下ろして床へと立ち上がり、扉の方へと一歩踏み出した瞬間にガクンと膝から崩れ落ちて倒れた。あ、ヤバい…。立てない…。全然身体…回復出来てない。


『あ、飛鳥!!だ、誰か!!貴山さん!!飛鳥が倒れた!!』

『なっ!』


慌てた様子の物音が聞こえて、ガチャンと鍵を開けて、中に焦った明人と恵那とミカエルさんが入って、明人は私の身体を持ち上げる。


「飛鳥!無事か!」

「うん。大丈夫。まだ身体が上手く動かないだけだから。だから、そこまで大事じゃないよ」

「充分大事だよ!飛鳥…!」


恵那の今まで聞いた事のない大声に私と明人とミカエルさんはギョッと驚愕してしまう。


「心配するに…決まってる!!飛鳥は…私の、大切な……友達、だから!!」

「恵那…!」


恵那の言葉に私は目頭が熱くなる。凄く抱き締めたいけど、身体が全く動かない。


「玲子を……呼んで…来る。貴山さん…は、飛鳥を……ベッドに」

「分かった」


恵那はタタタッと廊下を早足で駆けて行き、私は明人にお姫様抱っこでベッドに戻された。明人は私をベッドに寝かせるとおでこをポンとデコピンされる。


「あうっ」

「起きたばっかで無理するなよ」

「はい…。ごめんなさい…」


…でも、元はと言えば明人のせいだと言いたいが、そんな恥ずかしい事を言える筈がなく、自分の中で消化出来なくてモヤァと心に残った。


せめてもの訴えとして頬を膨らせてると廊下からダダダッと勢い良く走る音が聞こえ、ダンッとこの場所で力強く止まる。


「飛鳥!!無事!!」

「玲子。大丈夫だよ。ちょっとそっちに向けないけど…」

「……そう。なら、良かった…」


玲子は安心した様子でホッとした息を吐いた。


「ごめんなさい。貴方の怪我と疲労を失念していたわ。…取り敢えず、場所変更ね。エリスト。二人にもこの部屋に変更と伝えて」

「はい」


エリストさんは部屋へと出て、何処かに向かうが直ぐに樋口君とヒューリさんが部屋を訪れた。エリストさんはいつものメンバー全員が集まったのを見て、ガチャと鍵を閉める。


「では、村長から聞いた話をするわ」


玲子は少し瞑目し、息を軽く吐いて瞼を開き、唇を動かし始めた。


「村長から聞き出した情報は三つ。先ずは一つ目、カマエルの作戦。カマエルは村長を利用して所定の位置に勇者を誘導して、反撃される前にゾンビ化する予定だった。まぁ、これは概ね推理通りね。では、二つ目は報酬。村長はこの作戦に成功するとこの村は魔物が退去するというもの。三つ目は……」


玲子は三つ目の情報を躊躇う様子で言葉を切る。話すかどうか悩んでいる顔だ。


「清水さん」


明人はそう言って首を横に振った。それで聞くに堪えない情報だと察した。でも、私達も修羅場を乗り越えてきた。どんな事にでも耐えられる。だから……。


「話して…下さい」


え…。


「恵那…」


玲子は恵那の名を呼び、哀しみを宿した潤んだ瞳で恵那を見詰める。


「私達に……気を使って…る……のは、嬉しい…です。でも…!だからこそ!……遠慮なく、話して……欲しい………です!…だって………仲間…ですから!」

「……分かったわ。覚悟して聞いて頂戴」


玲子の口から紡がれた話はかなりショッキングなものだった。


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