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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第二章
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第三十四話

明人視点


御屋敷の中を周り、二階から一階と下りて入口脇にある窓口の前へと着く。窓口を挟んでダウナー系の長髪の女性が俺に気付く。


「貴方は先程の…」

「ええ。屋敷の案内、助かりました」

「いいえ。その言葉は私達の言葉です」


女性は椅子から立ち上がって頭を下げる。


「私達を魔王の支配からお救い下さり、ありがとうございます。貴方達のお蔭で我々は魔物の脅威に怯える事が無くなり、平和に暮らせます。改めてもう一度、ありがとうございます」


ニコリと彼女は心の底から嬉しいそうに微笑む。と、思ったら急にモジモジと照れた様子で熱を持った視線を俺へと向ける。な、何だ…?


「それで……騎士様は…もう一人…妻が欲しいと思いますか?」

「え?」

「勿論、側女でも構いません。あの女性が大切だと理解しております。だから、一番とは言いません。二番目に私を愛してみませんか?」


彼女は自分の服の襟を引っ張り胸元を見せつける。俺は視線をふいっと逸らす。


「すいません。貴方の想いには答えられません」

「………ですよね♪」

「えっ?」


女性はパッと襟から手を離して笑う。


「そんな簡単に籠絡出来ると思ってませんよ」

「いや、籠絡しようとしないで下さい。…さっさと本題に入ります」

「未経験ですよ」

「ではなく!…俺達の部屋の近くの寝所の鍵を六個下さい」

「あ、いや、相澤達は既に部屋を取ってから四つで」

「はい、四つですね。畏まりました。因みに私はここで寝泊まりしてますので何時でも夜這いに来て良いですよ♪」

「行・き・ま・せ・ん」


俺はクスクスと笑う彼女から鍵を貰って自分の鍵を入れてる反対のズボンのポケットにしまう。


「それじゃ。失礼します」

「はい。何時でもお待ちしております♪」


俺は彼女の言葉を無視して外に出る。


「明人ってモテるんだな」

「一番好きな人にモテなきゃ意味ないだろ。ほら、荷物取りに行くぞ」

「確かに…。そうだな!」


荷物を取りにテントへと戻るとゾンビ達に踏み荒らされたテントを騎士達が修復作業をしている。荷物置いた後、俺も手伝うか。俺なら真っ暗闇でも夜目がきくしな。


「俺達も手伝うか!夜目もきくからな!」


…大和も同じ考えか。


「そうだな。けど、荷物が先だぞ」

「おう!」


俺達はテントの修理作業している騎士達を尻目に自分達のテントに着くが、見事に踏み荒らされている。この中から自分の荷物を取り出すのか…。俺は潰れたテントを捲って這って進もうとしたが、神剣が引っ掛かって動けない。神剣を一度地面に置こうかと思ったが、神剣の形が変わる事を思い出して、神剣を腕輪の形に出来るのでは?と思い神剣に触れると想像通りの無骨な腕輪へと形に変わる。


「おっ、本当に変わった。良し!これなら邪魔にならない」


神剣の問題がなくなり、スムーズに潰れたテントの中から自分が置いた荷物の場所へと辿り着き、俺のバッグを見付けて引っ張り出した。


「ふぅ…」


疲れが混じった息を吐き、外へと這い出る。二人は…まだ出てないみたいだな。と、思ったら少し離れた場所にあるテントから大和が出て来た。


「すまん明人!少し手こずりそう!先に戻ってて良いぞ!」

「なら!俺も手伝おうか?!」

「いや!先に戻って皆を手伝ってくれ!」

「分かった!だったら先に二人の部屋を渡す!」

「おう!」


俺は二人の部屋の鍵を番号見て渡し、先に屋敷へと戻るが、途中気付いた。ヒューリのせいで隊服が汚れている事に…。いや、ヒューリだけのせいではないか。船からの強襲で鎧を着れる時間なく、隊服の状態で戦ったから、多少の返り血を浴びて汚れてる。直ぐに洗いたいが…。早く手伝わないと…。まぁ、お湯に漬け込めば良いか。…そうだ、桶とお湯は窓口の人から貰おう。


「お早いお戻りで。他の御二方は?」

「二人は後で来ます。それとすみませんが桶とお湯を頂けませんか」

「それは何故でしょう?」

「いや、この隊服を洗いたくて…」

「それなら、私が洗いましょうか?」

「良いんですか?」

「はい。構いませんよ」

「それなら…」


と、隊服の上を脱いでる時にふと…この人に本当に任せても良いものか考えたが、流石に純粋な好意を無下にするのは違うと考え直して隊服を渡した。


「それではお願いします」

「ええ。お任せ下さい」


彼女に隊服を渡して自分の部屋へと向かい、鍵を使って開けると中に入って、荷物をベッドの横へと置いて、さっさと部屋を出て鍵掛けて手伝いに向かう。


だが…。


「お前は疲れてんだろ。休んでろ」

「活躍出来なかった分任せろよ!」

「お前のお蔭で勝てたんだ。こんな事させられない」


…と、この調子で何処に行っても拒否される。こうなったら無理矢理にでも手伝うか。そう思って周囲を見渡すと、ある違和感に気付く。


騎士と村人達が壊れたテントと家々を改修しているが、村人の中に男性が見当たらない。いや、全くではないが殆どが女性だ。それに村長以外歳を取った人が居ない。何故だ?


「騎士様♪」

「おおっと」


呼び掛けられた声と共に背中から柔らかい感覚が伝う。振り返ると俺と同い年位のボブのゆるふわパーマの女性が俺を抱き締めている。


「え〜と。俺に何の用でしょう?」

「騎士様って〜四天王の〜カマエルを倒されたんですよね〜」

「は、はい…」


甘ったるい声を出すなこの人。一体何だ?


「私…身体には、自信…あるんですよ〜」


彼女は更に胸を押し付けた。


「あ、あの…マジで何の用で?」

「察しが悪いですね~。簡単な話です。私は…」


女性は抱き締めた手を俺の肩に載せて、体重を乗せる。


「貴方と子作りしたいんです」


と、言って俺の首筋にキスをした。


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